帰ってきた「貂明朝」:SVG と「テキスト」

English (英語) here

(翻訳:Adobe Type チーム 山本太郎、西村美苗)

あれからほぼ一年たった。

貂明朝のバージョン 1.000 をリリースしたのは、昨年の MAX Japan 2017 開催中のことだった。そのフォントの技術的な詳細に関しては、この記事を書いて、おまけに、貂の写真を何枚も貼り付けておいた。さて 1 年後の今、同じく MAX Japan 2018 の開催期間中に、この妖しくも可愛い書体ファミリーのバージョン 2.003 をリリースした。この日本語書体ファミリーに新たに追加されたフォントやその他の改善点について、技術的詳細を知りたい方はこの記事を参照されたい。

SVG グリフ

バージョン 1.000 のフォントには 14 個の SVG(Scalable Vector Graphics)グリフを含める予定だったが、残念ながら実現しなかった。バージョン 2.003 には、タイプフェイスデザイナー西塚涼子が新たにデザインした 18 個の SVG グリフが追加されていることを、ここで伝えることができてうれしい。この中には、十二支の動物に対応するグリフも含まれる。SVG グリフの数は計 32 個となる。次の図版は、最新の貂明朝のフォントを使って私が作成したものである:

次に示すアニメーションには、SVG グリフだけでなく、CFF テーブルに収録される白黒の絵文字グリフも含まれている。一行目にはバージョン 1.000 に収録するはずだった 14 個が、その白黒版のグリフと一緒に示されている。いくつかの SVG グリフには、直接文字コードが割り当てられておらず、他の文字に割り当てられた代替グリフを介してアクセスする必要がある。例えば U+1F415 🐕と U+1F488 🐈の文字には複数の代替グリフが含まれている。このことには注意する必要がある。

十二支の動物に対応するグリフに対しては直接文字コードが、U+1F400 🐀から、U+1F402 🐂、U+1F405 🐅、U+1F407 🐇、U+1F409 🐉、U+1F40D 🐍、U+1F40E 🐎、U+1F411 🐑、U+1F412 🐒、U+1F413 🐓、U+1F415 🐕、U+1F417 🐗まで割り当てられているが、これらのグリフは十二支の動物に対応する漢字の代替グリフとしてもアクセス可能になっている:

  • U+5B50「子」、U+4E11「丑」、U+5BC5「寅」、U+536F「卯」、U+8FB0「辰」、U+5DF3「巳」、U+5348「午」、U+672A「未」、U+7533「申」、U+9149「酉」、U+620C「戌」及び U+4EA5「亥」
  • U+9F20「鼠」、U+725B「牛」、U+864E「虎」、U+514E「兎」、U+9F8D「龍」(あるいは U+7ADC「竜」)、U+86C7「蛇」、U+99AC「馬」、U+7F8A「羊」、U+733F「猿」、U+9D8F「鶏」、U+72AC「犬」及び U+732A「猪」

U+1F408 🐈も U+732B「猫」の文字の代替グリフを介してアクセス可能になっている。

貂明朝テキスト

貂明朝のバージョン 1.000 には Regular と Italic の二つの書体が含まれていた。そして、OpenType/CFF コレクション版のフォントにもこの二つのフォントだけが含まれていたが、結局 OpenType/CFF コレクション版はリリースされなかった。バージョン 2.003 では、貂明朝テキストという名前のデザインのバリエーションが追加され、それにも Regular と Italic が含まれている。アドビでは、Fontspring から全 4 フォントをまとめて購入できる OpenType/CFF コレクション版を提供する考えであるが、その場合でも、二つのフォントしか含まないバージョン 1.000 の OpenType/CFF コレクション版とファイルの大きさはほとんど変わらない。その理由は、一つの CFF テーブルを四つのフォントで共有しているからである。

貂明朝と貂明朝テキストとの違いは、かな文字とそれに関連する文字に限られていて、テキストのかなのデザインは、貂明朝の独特の形状を少し弱めたものとなっていて、本文に近い、比較的長いテキストに適する。下に示すアニメーションでは、Unicode のコード順に、貂明朝と貂明朝テキストとで異なるグリフの形が対比して示されている:

このアニメーションには含まれないが、ルビ用のグリフも貂明朝と貂明朝テキストでは異なる。グリフのデザインが異なるのは合計で 434 文字にのぼる。

その他の詳細について

Unicode に関連して、Unicode 順のグリフ一覧の PDF ファイルをアップデートし、20 個の追加のマッピングを収録しただけでなく、貂明朝テキストの Regular と Italic の書体も含めた。そのため総ページ数は 436 ページとなった。CID 順のグリフ一覧の PDF ファイルも同時にアップデートした。

追加された 20 個のマッピングのほとんどは新しい絵文字のために必要となったものであるが、U+2661 ♡「WHITE HEART SUIT」、U+2662 ♢「WHITE DIAMOND SUIT」、U+2664 ♤「WHITE SPADE SUIT」および U+2667 ♧「WHITE CLUB SUIT」については、色付きの SVG グリフは必要とされない。新しいマッピングには、U+0385「GREEK DIALYTIKA TONOS」と U+1FED「GREEK DIALYTIKA AND VARIA」の 2 文字が含まれるが、なぜこれらのマッピングを追加したのかおわかりの読者はいるだろうか。

バージョン 1.000 と 2.003 との間で、グリフの配列順も変更されたが、ほとんどのグリフには直接文字コードが割り当てられているか、または符号化されていないグリフについても同じコードポイントと OpenType の GSUB フィーチャを通して関連付けられているため、文書の互換性を保持することがほとんどの場合に可能となっている。しかし、コードが直接割り当てられずに U+8C82「貂」の漢字の代替グリフとされている 4 個のグリフ(SVG テーブルの無いバージョン 1.000 のフォントでは白黒のグリフ)を利用する場合には、問題が起こることがわかっている。その問題については、このヘルプのページが詳しく説明している。

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