英語圏に見る、ソーシャルメディアの“投資効果”(ROI)の現状

Digital Marketing - Photography - WEM - Financial - JPEG - 009 (日本だけでは無く世界でも 「ソーシャルメディアのビジネスへの貢献」は、企業がソーシャルアカウントを運用する上で大事な目的うちの一つです。

ただ、ソーシャルメディアでの活動がどのようにビジネスに貢献しているかを明確にしづらい、などの理由からソーシャルメディアの投資を抑えている企業が多いのも事実です。ソーシャルメディアの活動の効果測定については、当社コンサルタント小栗が投稿をした記事をご覧いただきたいと思いますが、この度Adobe USのAdobe Digital Indexチームによりマーケティングチャネルとしてのソーシャルメディアに関する調査が発表されたため、その内容を紹介します。

Adobe Digital Indexチームでは、Adobe Marketing Cloudに蓄積されたデータを基に定期的な調査を行っており、この度、英語圏におけるソーシャルメディアの消費者の利用実態に関する調査報告書を発表しました。本調査から、2012年比較してとソーシャルメディアがマーケティングチャネルとしてのROIや広告の反応率が大幅に向上していることが分かりました。

今回発表されたのは、英語圏における調査結果ではありますが、大なり、小なり、今後の日本市場におけるソーシャルメディアの状況を物語る内容となっているため、ご覧ください。


※以下はUS Digital Marketing Blog「Are Marketers Over Social’s ‘ROI Problem?’」の妙訳です。

マーケターは、ソーシャルメディアのROI問題を克服したのか?

マーケティングトレンドとしてペイド、オウンド、アーンドのトリプルメディアと言うキーワードが登場してから数年が経ちますが、ソーシャルメディアはその投資効果(ROI)を明確にすることの難しさから、マーケティングチャネルのとして位置づけを確立できていない状況にありました。

Adobe Digital Indexでは英語圏を中心に調査を行い、今年、ソーシャルメディアの活用が促進し、マーケティング活動への貢献度が向上していることが分かりました。ソーシャル広告への出稿は、少量のクリック単価で支払うCPC(Cost-Per-Click)から何千ものページインプレッションに対して支払うCPM(Cost-Per-Thousand)による出稿が増え、CTR(Click Through Rate)も倍増しました。CPMによる広告出稿の伸びは昨年対比で20%増加し、そのほとんどが直近の四半期での成長によるものです。CPCによる広告出稿は、依然として、CPMより多いものの昨年対比で40%減少しています。

Adobe Digital Indexでは、131億のFacebook広告インプレッションと1億のFacebook投稿、4,000万のFacebook、Twitter、Pinterest、Tumblrのユニークユーザの動向を調査、分析し、Annual Social Media Intelligence Reportを発表しました。これにより、ソーシャルメディアにおける、ペイド、オウンド、アーンドメディアの実態を明らかにします。

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Facebook広告の投資効果向上、Twitterの1訪問に対する売上300%増加

ECサイトの流入元のとなったソーシャルメディアについて見たところ、Facebookが依然最大の流入元となっている物の昨年と比較して20%減少をしています。代わりにTwitterとPinterestからの流入が増加しており、Twitterで258%、Pinterestで85%伸びています。もっとも影響力があるソーシャルメディアとしてFacebookの独壇場かと思われていましたが、老舗のTwitterや新興勢力であるPintrestの台頭が見受けられます。

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ソーシャルメディアの投資効果の向上

2013年に入り、各ソーシャルメディアは企業のマーケティング活動に合わせて機能のアップグレードを頻繁に実施しています。Facebookではタイムラインやグラフ検索を導入し、オーディエンスのターゲティング機能の強化を行い、Twitterでもオーディエンスのターゲティング機能を強化するとともにVineやMoPubの買収により動画とモバイル機能の強化行っています。さらに、Pinterestでは”Promoted Pins”と言う新しい広告機能を導入しマーケティング活動をサポートしています。

このような各ソーシャルメディアの機能強化とマーケターのソーシャルメディアに関するナレッジの向上が、今まさしく実を結ぼうとしています。その結果として、Facebookでは昨年と比較をして58%投資効果(収益 ÷ コスト)が向上したことが分かりました。

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Twitterでは、訪問毎の収益(Revenu Per Visit(RPV))が300%増加しました。金額的には、RPVが$0.93のFacebookと$0.55のPinterestと比べるとまだ低いものの、飛躍的な成長によりTwitterが収益を生み出すソーシャルメディアとしてFacebookやPinterestと肩を並べたと言えるでしょう。

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マーケターはソーシャルメディアの有効な活用方法を “少しづつ” 習得してきている

企業のソーシャルメディアへのマーケティング投資の伸びは著しいが、その活用方法が成熟しているとはまだまだ言えない状況です。企業がソーシャルメディアに投稿をする投稿の件数は昨年との比較で9%増加し、投稿したコンテンツの消費者のエンゲージメントは15%増加しています。

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このように企業のソーシャルメディアの活用は進歩をしています。ただ、マーケターは動画投稿が持つ可能性を活用しきれていないかもしれません。動画による投稿は、画像の次にエンゲージメントが高い(画像:4.3%、動画:3.5%)にも関わらず、企業が行う投稿の内70%が画像投稿であるのに対して、動画の投稿は6%程度です。動画は画像と比べて制作費が高いことから多く投稿をすることは難しいかもしれません。しかし、閲覧者のエンゲージメント上げる物としては効果が高く、顧客との深い関係性を保つためにはこのようなリッチなコンテンツをうまく利用することが大事でしょう。

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ソーシャルメディアの次のステップは?

間もなく来る年末商戦に向けて、ソーシャルメディアに昨年より多くのマーケティング費用を充てる企業が増えると予想をしています。また、マーケター自身もこれまでの経験からソーシャルメディアを活用して、より上手に消費者にリーチすることができるようになっているでしょう。そして、その活動の中にソーシャルメディア広告が大きな役割を果たすでしょう。CTRが上がり、CPCが下がり、投稿に対する消費者のエンゲージメントが高まっていること、Facebookだけでなく様々なソーシャルメディアの投資対効果やエンゲージメントの向上が見られることから、ソーシャルメディアを活用したマーケティング活動を強化するにはとても良いタイミングだと言えます。

ただ、マーケターは今回の調査結果から見られる内容からテキストのみの投稿を避け、動画などのリッチなコンテンツを活用するなど戦略的な運用が必要になります。また、より効果的な運用を行うためには十分な時間をかけて計画をし、必要な人材を揃えた上で運用することが大切です。ソーシャルメディアの効果測定は各ソーシャルメディアが独自のシステムを持っていたり、それぞれのソーシャルメディアが持つ機能の特性から共通の指標で比較と評価ができなかったり、などの課題はありますが、マーケティング活動への貢献の可能性もまだまだあると言えるでしょう。次号の記事では、アメリカ最大のショッピングシーズンであるBlack FridayCyber Mondayにおけるソーシャルメディアの貢献と効果を紹介します。

● ダウンロード
Annual Social Media Intelligence Report(英語)

 

前田 龍 アドビ システムズ株式会社 マーケティング本部 プロダクト マーケティング マネージャー

アジア最大級の観光産業国の政府観光局、大手インターネット セキュリティ ソフト メーカーでデジタル マーケティング担当、プロダクト マーケティング マネージャを経て、2013年よりアドビ システムズに入社。同社では、Adobe Marketing Cloud製品のプロダクト マーケティングを担当。

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