写真に見る世界の現実:ピューリッツァー賞受賞ジャーナリスト Yannis Beharkis #AdobeStock

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2017年6月からAdobe Stockではエディトリアルコレクションの販売を開始し、ロイターの作品をRF (ロイヤリティーフリー) で提供しております。その中にはピューリッツァー賞を受賞した写真家の作品も含まれており、非常に貴重なコレクションになっています。このブログでは、2015年にシリア難民の写真が評価され、ロイターのフォトグラファーチームとともに受賞したYannis Beharkisについてご紹介します。

彼はロイターのフォトジャーナリストとして、自然災害から戦地に至るまであらゆる取材活動を続け、約30年のキャリアを築いてきました。「写真で物語を語る」、それはYannis Behrakisのライフワークです。

ギリシャの海岸で、命懸けで海を渡ってきたばかりの難民と遭遇し、彼らを撮影するときのことをYannisは次のように話しています。「難民たちは小さなゴムボートで岸辺にたどり着くと、真っ先にびしょ濡れの救命道具を脱ぎ捨てます。そして、大抵こちらにやって来て、私のことを抱きしめるのです。きっと、ヨーロッパの地を踏んで、ようやく安全が確保され、より良い暮らしに向けた第一歩を踏みだせたと感じるからでしょう。そこには感情があふれていますから、インパクトのある写真を撮ろうと工夫を凝らす必要はありません。目の前にある感情を捉えて、世界に彼らの物語を見せるだけです」。

足止めされ、ハンガーストライキを敢行するイラン人難民。ギリシャのイドメニ村付近にあるマケドニアとの国境の線路上に座り込んでいる。中には両唇を縫い合わせている人も。(2015年11月25日) Yannis Behrakis / REUTERS / Adobe Stock

自分が行動しなければ、顧みられない深刻な闘い、痛み、そして希望のストーリーを伝えていくことがYannisの使命です。「物語を語るため現場に赴き、人々の声となることがいかに大切かを痛感しています。皆、私のところに寄ってきて『来てくれてありがとう。私たちのストーリーを世界に伝えてくれてありがとう』と言ってくれます」。

現場に赴くための準備

ストーリーを見出すには、その場にいることが重要ですが、適切にそれを行うための準備はたくさんあります。Yannisの場合、地理や気候、文化や言語、その地域における最近の出来事などに関するリサーチが含まれます。

また、様々なケースにリュックサック、写真機材に衣類、気候の寒暖に対応するための特別な服装、日焼け止め、防弾ジャケット、災害現場に呼ばれる際に携帯する医療キットを常備しています。飛行機の待ち時間に各種ワクチンを一気に接種するため、空港のクリニックへ行くこともあるとか。どれも、できるだけ早く、かつ安全に現場にたどり着くための対策です。「向こうではあちこちで命を狙われますから」とYannisは冗談交じりに言います。

暴風雨の中、ギリシャのイドメニ村からマケドニアとの国境に向かって歩きながら、娘にキスをするシリア人難民。(2015年9月10日) Yannis Behrakis / REUTERS / Adobe Stock

その瞬間、アングル、光を見つける

報道写真を撮ることは、スタジオ撮影や計画された撮影とは別の挑戦です。シーンをセッティングしたり、理想的な照明かどうかを確認する時間はないため、Yannisは、周囲を利用して対処する術を身に付けています。「いつも頭の中に撮りたい写真のイメージを持つようにしています。例えば、歩いている誰かを見たら、ベストのアングルを探してみたり。時には、歩いて、あるいは車で前方に回ってシャッターチャンスを待ったり、後方に回って長めのレンズを使ったりします。そうすると効果的で、写真によりエネルギーやパワーを与えることができます。感情の方を強調したい場合は被写体に寄るようにします」。

ギリシャのレスボス島の海岸で定員超過のゴムボートから飛び降りるアフガン人移民。(2015年10月19日)  Yannis Behrakis / REUTERS / Adobe Stock

屋外で活動する際に最も苦労することの一つが、ライティングだそうです。「常に自分の側に光が来るようなベストアングルを見つけるようにしています。『止まって』とか『振り向いて』とか『顔はあっち向きで』などと被写体に注文はできません。報道の場ではそうしたことは不適切ですから、もし光が正しい位置にない場合は、よりクリエイティブな試みを行います。例えば、逆光を利用してとてもドラマチックなシルエットの写真にしたり、雨なら、長めのレンズを使って雰囲気のある作品に仕上げます。それに、リアリティを表現するため、雨の写真がほしいときもあります。悪天候をくぐり抜けて無事たどり着いた人々の姿を伝えることができますから」

おそらく最も重要なスキルは、シャッターを押すタイミングでしょう。Yannisには、その瞬間を捉えるための不断の注意力と現場で長年培われてきた勘があります。

ギリシャのイドメニ村付近で、荒天の中、マケドニアの警察官にギリシャからの国境横断の許可を求める移民や難民。(2015年9月10日)  Yannis Behrakis / REUTERS / Adobe Stock

危機的状況にある人々をカメラに収めるのは、危険で心痛むことかもしれません。しかし一方で、Yannisの作品のストーリーを読み取った人々がどのような反応を示すのか、そこには大きな希望もあります。「私の仕事の最も重要な一面は、写真の影響を見ることだと思います。人々が私や私の同僚の写真を通じて感情移入し、何らかの行動を起こす気になるかどうか。NGOにお金や衣類を寄付したり、人道支援のために積極的な行動を取るよう政府に圧力をかけたり。これは難民問題に限らず、地震を始めとする自然の大災害など、多くの状況に当てはまります。ですから、写真は大規模な組織や政府に対して見せる必要があります」

なぜそこまで懸命に、苦しみや闘い、そして逆境力の物語を語ろうとするのでしょうか。Yannisはシンプルに語ります。「私はロマンチストなんです。写真は本当の出来事を伝え、世界をより良い場所へ変えることができると信じています」

トルコからエーゲ海の一部を横断し、ギリシャのコス島にたどり着いたシリア人難民が定員超過のゴムボートから子供を連れて飛び降りる様子。(2015年8月9日) Yannis Behrakis / REUTERS / Adobe Stock     ※国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、数千人の移民が押し寄せている地中海の島々における「完全な混乱状態」を収拾するよう求めている。

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(この記事は2017年9月26日にAdobe Stock Team により作成&公開されたReal Life in Pictures: A Pulitzer-Winning Photojournalist on Telling Hard Stories の抄訳です。)