過去と最先端技術が結びついて新たな表現がうまれる… 西塚涼子、タイプフェイスデザイナーという仕事と向き合って #AdobeLife

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「フォントをデザインする」ことを生業にしている人が、世の中にどのくらいいると思いますか?
アドビで、日本語タイポグラフィをデザインする西塚涼子は、世界でも数少ない「タイプフェイス デザイナー」です。1997年にアドビに入社して以来、彼女がつねに望んでいたフォントのデザインという仕事に情熱と誇りをもって取り組んでいます。

「私は大学で書体デザインを学び、 卒業後はパッケージやポスターのグラフィックデザイナーとしてデザイン会社で働いていましたが、自分のキャリアを次のレベルに引き上げながら情熱を追求したいと考えて、アドビに入社することを決めました。」と西塚は言います。

これまで「かづらぎ」「りょう Text」「りょう Display」「りょうゴシック」などのフォントをデザインし、最近では「源ノ角ゴシック」「源ノ明朝」を次々とリリースしました。各フォントには、簡体字中国語、繁体字中国語、日本語、韓国語のスクリプトをサポートするために、6万5千字を超える文字が含まれています。

 

西塚は、クリエイティブツールを提供する、35年以上の歴史あるアドビにおいてユニークなポジションにいながら、最先端な技術を駆使して新たなクリエイティビティに挑んでいます。「学ぶことは過去からしかできません。闇雲に新しいことを追求していくことがクリエイティブではなく、過去の先人たちが作り上げた伝統を発展させることがクリエイティブだと思っています。」

西塚をより詳しく知るために、彼女のインスピレーションと仕事のプロセスについて聞きました。

―現在まで21年間アドビで勤務を続け、昨年はアドビのFounder’s Award(創業者賞)まで受賞されたと聞いています。アドビで働く上で最も良いと感じる部分はどこでしょうか?

私はフォントのデザインに集中して仕事をしていますが、フォントはそれだけではできません。アドビには有能なエンジニアがいて、彼らの力で品質の高いフォントに仕上げられますし、新しい表現のアイデアを一緒に考えることもできます。このコラボレーション文化を通して、私がやりたいことを実現できるところです。

―現在取り組んでいるプロジェクトと、何にインスピレーションを受けたかを教えてください。

日本の伝統の中にあるかわいさである、「鳥獣戯画」などからインスピレーションを受けた「貂明朝」というディスプレー書体をデザインしました。コンピューターの無い時代の人たちの方が圧倒的に文字を書いており、筆跡がとても豊かです。私は、その人たちの書いた昔の書体や文字に見られる筆跡にいつも魅了されています。

―新しい書体をデザインするときの作業プロセスを教えてください。

日頃から、書体をデザインする際はユーザーの観点から考えるのが好きです。アイデアが浮かんだら、ニーズに合ったスタイルをスケッチしていきます。基本的に手の動きを重視していますので、もちろん紙にも描きますが、Adobe Sketchを使ってiPadに描く場合もあります。そこからイメージを固めてデータにしていきます。

―新しい書体をデザインするにはどのくらいの時間がかかりますか?

日本語は漢字が多いので、だいたい2年くらいかかるものが多いです。文字数が少ないフォントの場合は一気に作ってすぐリリースするのではなく、複数同時進行で交互に作っている場合が多いので、結果そのくらい時間がかかってしまうのです。時々、プロジェクトに触れない時間を作ることによって客観的に見ることができ、品質をあげることができると考えています。

―今日のタイプデザインで、最も興味深いトレンドは何でしょうか?

バリアブルフォントカラーフォントなどが出始めているように、新しいテクノロジーとの融合により新たな表現方法が生まれています。まだ文字数の多い漢字圏はフルサポートできてはいないのですが、近いうちに実現すると思います。そこにどのようなデザインを合わせていくのかを私も模索しているところです。

―アドビでのあなたの経験を一言で表すとしたらなんでしょう?また、その理由もお聞かせください。

「融合」 ですね。過去と最先端の技術が結びついて新しい表現が生まれたときに、いつも心が躍ります。また新たな表現のフォントを開発中ですので、是非ご期待ください。

本ブログは、2018年7月23日にAdobe Life Blogに掲載された記事の抄訳です。また、アドビの採用情報については、コチラをご覧ください。

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