Adobe MAX基調講演速報レポート:新製品4つを一気に発表!XDがいよいよ正式リリース。新しいLightroomの登場で、従来版はLightroom Classicに #AdobeMAX #AdobeMAXJP

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毎年恒例のアドビ最大のイベントAdobe MAX。今年はラスベガスで現地時間10月18日から3日間の開催です。今年は1万2千人以上を集めたという注目の基調講演は「これからの時代は、あらゆるタッチポイントに向けたストーリーテリングがデザインを確信する原動力になる」という、アドビCEOシャンタヌ・ナラヤンのスピーチで始まり、一気に5つの新製品と、PhotoshopIllustratorをはじめとする既存製品への数多くの機能追加が発表されました。

キーノートで講演するアドビCEOのシャンタヌ・ナラヤン

デザイナーやフォトグラファーの新しい働き方を提案する5つの新製品

今年の基調講演はCC発表以来最大の更新と謳うだけあって盛沢山でしたが、特に重点が置かれていたのは新製品の発表でした。一挙に発表された5つの製品に共通する背景は、新しい状況に対応するための新しいプロセスを支援する必要性にあるようです。

 新製品その1: Adobe XD CC

日本でも多くのデザイナーから注目を集めていたAdobe XDがいよいよバージョン1.0になります。ベータ版の時点ではAdobe Experience Designを省略してAdobe XDと呼んでいたのですが、省略形の方が定着したためか、正式な製品名がAdobe XDとなって発表されました。ロゴも新しくなっています。

デジタルメディアのタッチポイントが増えたことで、これまで以上にデザインがビジネスに提供できる価値が高まっている。一方で、多様なメディアや新しい技術への対応が、デザインプロセスをどんどん複雑なものにしている。更に、求められる作業速度はどんどん速くなっている。このような状況では、今までのやり方で対応をすることが難しくなったとして、新しく開発されたデザインツールがXDです。

Adobe XD CCが正式に発表された

XDが従来のアドビのデザインツールとは異なる点として挙げられていた3つの点は、体験からデザインする、素早くデザインする、コミュニティと一緒に考えるの3つです。

Adobe XD開発時の3つのテーマ

XDのデモで、まず、新しい機能のひとつとして紹介されたのは、CCライブラリのサポートです。ステージでは、CCライブラリパネルからドラッグした画像を使って、リピートグリッド内の画像を一気に置き換えるデモが行われました。

画面右側のCCライブラリパネルから画像をドラッグしているところ。リピートグリッド内の画像はこの時点ではすべて同じ
CCライブラリパネルからドラッグした画像でリピートグリッド内の画像が置き換えられた

CCライブラリはクラウド経由で同期されるため、共有されているアセットをPhotoshopで変更すると、自動的にXD内のライブラリも同期されます。

また、新しくなったアセットパネルからは、スウォッチを使って全てのアートボードの該当する色を一機に変更できること、文字についても同じ定義のフォントのスタイルをまとめて操れることが実演されました。

画面左が新しくなったアセットパネル。この時点ではグリーン系の色がテーマカラーに設定されている
スウォッチの色を変kすると、コンポーネントやアートボード上のアセットの色がすべて変更される

XDでは、デザインとプロトタイプとフィードバックが一つの環境に統合されることで、これまでにない柔軟さと素早さでデザインに集中できるという点が強調されていました。デザインの変更が、保存等の操作無しでモバイルデバイス上のプレビューに反映できるのは、一つの環境にすべての機能が統合されているためとのことです。

左側に表示されているのは、デバイスの画面。右側のXDで作業した状態に即座に同期されることがデモされた

Creative Cloudにサブスクリプションしているメンバーは、そのままXDも利用できます。XDだけを使いたい人のための単体プランも新しく提供されます。

XDには2つのプランが用意される

新製品その2: Adobe Lightroom CC (Project Nimbus)

基調講演で強調されていた点のひとつは、もはや机に向かってマウス操作で作業する時代ではない、場所や手段にとらわれずに思い通りの作業ができる環境が必要だという点です。

新しく発表されたAdobe Lightroom CCは、まさにこのコンセプトを体現した製品で、フォト編集環境をクラウドベースで構築することで、デスクトップ、モバイル、Webの全ての環境から、シームレスに、編集、整理、保管、共有を行おうというものです。ネットを介した画像編集というと重そうなイメージがありますが、Lightroomでは、クラウド経由でのフル解像度のRAW編集の同期が可能ということです。昨年のMAXで公開されたProject Nimbusが早くも製品化されたということになります。

新しいLightroomのインターフェースは、写真がほとんどの領域を占めるシンプルな、どちらかというとモバイルアプリに近い印象のUIです。必要に応じてパネルを開いて使用します。

新しいLightroom CCの画面はシンプル

従来のLightroomは、Lightroom Classicとして継続して、これかも提供されるそうです。これまで利用可能だったすべてのワークフローが新しいLightroomでサポートされるわけではないようなので、純粋なフォトグラファー以外はまだこちらに頼ることになる人も多そうです。実際に、大幅なパフォーマンス強化や現像モジュールの改善などが行わたことから、単純な旧製品扱いされているわけではでは無いことが伺えます。

従来のLightroomは名称がLightroom Classicに変更された

従来のフォトプラン加入者は、引き続き月額980円でPhotshopとLightroom Classicと新しいLightroomが利用できます。ストレージは20GBということなので、従来の10倍に増えますが、更に必要という方は、月額1980円の1TBプラン(既存のメンバーは初年度のみ月額1480円)も選べます。また、新しいLightroomのための、月額980円でストレージが1TBののLightroom CCプランも提供されます。詳しくは、Creative Cloudフォトプラン製品ページをご覧ください。

新しいLightroom CCを使えるプランについて説明があった

新製品その3: Adobe Dimension CC (Project Felix)

ネットが一般に普及した次の段階として、ソーシャルネットワークやデバイス、そしてAR/VRなどの没入型の体験まで、様々な環境で訴求力のあるコンテンツが求められています。例えば、3Dグラフィックは、現実感のあるアイデア表現の手段としてデザイナーなら使いこなしたい表現手法のひとつです。

とはいえ、敷居が高くて手を出しにくかった3Dグラフィックデザインを、PhotoshopやIllustratorユーザーが気軽に始められるように、という目的で開発されたのがAdobe Dimensionです。昨年のMAXでProject Felixとして発表されてから、1年の開発期間を経て、正式に製品として発表されました。

Dimension CCが正式に発表された

Dimensionの便利な点は、Adobe Stockに、Dimension用に最適化された3Dモデルやマテリアルなどのアセットが用意されていることです。3DモデルをDimensionのカンバスに配置したら、Illustratorで作成したグラフィックを3Dモデルの表面に貼り付けるといった作業が簡単に行えます。

Illustratorで作成したパッケージのデザイン
3Dモデルに、ライブラリ経由で共有されているIllustratorのアセットを適用
簡単な操作だけで3Dモデルにパッケージを適用できた

また、背景画像を配置すると、その画像の光源を自動的に判別して、同じ光源を前面の3Dモデルにも自動的に適用する機能もあります。もちろん、自動適用された光源を後から調整することも可能です。

背景画像を解析して判明した高原の位置に応じて影ができる

また、作業結果をPSDのレイヤーとして書き出せるため、最終的な色の調整は、使い慣れたPhotohsopで行うこともできます。

Dimensionで作成したレイヤーの色味をPhotohsopで調整できる

新製品その4: Adobe Character Animator CC

かなり進行が押していたためか、発表が最後になったCharacter Animatorは簡単な紹介だけでしたが、直感的にアニメーションを作成できる便利なツールが、ようやく正式に公開されました。PhotoshopやIllustratorで作成したキャラクターを元に、Webカメラに向かって演技するだけでアニメーションがつくれるのがポイントです。

Character Animator CCも今回の新製品

新製品その5 Adobe Spark

Adobe Sparkは、社会に発信したいストーリーを、すばやく簡単につくるためのツールで、SNS向けの投稿、Webページ、動画を作成する3種類のツールが提供されています。これもベータ版が昨年から公開されていたものです。デザインのプロでなくても(もちろんプロも)、テンプレート等を利用して、そこそこ良い感じの物が作れるという点が売りの製品です。

残念ながら日本語版提供の予定は無く、日本のユーザーには、新製品は4つということになります。もちろん

Spark Pageはレスポンシブなロングスクロールのページを簡単に作成できる

既存製品へのアップデート

かなりの駆け足でしたが、基調講演では、主力製品への追加機能も紹介されました。

今回の発表で利用可能になった製品の一覧

Illustratorについては、作業コンテキストに応じて表示が変わり、必要な情報や操作にいろんなパネルを使い分ける必要がなくなった様子がデモで紹介されました。また、バリアブルフォントやSVGカラーフォントが使えるようになったことPhotohsopでお馴染みのパペットワープ機能、パフォーマンスが大幅に向上したことなどが紹介されました。

Illustratorの新しいワークスペースを紹介しているところ

Photoshopは、レイヤースタイルのコピー、ブラシの機能強化、ブラシのスムージング機能などの紹介がありました。また、Photoshop用のブラシのデザイナーとして知られているカイル・ウェブスターがアドビに参加したことにより、彼の1500を超えるブラシコレクションが全て、Creative Cloudサブスクリプションメンバーに提供されるとのことでした。

ブラシのスムージング機能のデモが行われた

Premiere Pro関連は、モーショングラフィックスのテンプレートの提供開始、画面内の位置を固定したり、タイムライン内の長さを固定したまま全体のサイズを調整できる機能、360°VRビデオ用の新しいエフェクトやトランジションのデモが行われ、ヘッドセットを装着した状態で編集作業ができるようになったことも発表されました。

Premiere Proで360°VR画像を編集するデモ

AIと機械学習がクリエイティビティを拡張する

基調講演の最後は、Adobe Sensei(アドビ先生)が実現するこれからの新しいデザイン環境についての話がありました。アドビとしては、クラウド統合が進む製品とSenseiの統合は、デザイナーを大いに助けることになると確信しているようです。Senseiについては、別記事で詳しく紹介する予定です。

Adobe Senseiはデザイナーを支援するAI

 

  AUTHOR

akihiro kamijo

アドビのコンサルティングチームでリードアーキテクトとして主にUIデザインプロジェクトに関わる。現在は独立してデザイン/開発に関連のマーケティング企画や情報発信、プロジェクト支援を行っている。