Make a Masterpiece:Adobe StockとPhotoshopで名画を再生

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この記事は、2016/6/21 にポストされた HOW TO (RE)MAKE A MASTERPIECE(原文執筆: Terri Stone)を翻訳したものです。

アンクル パター(Ankur Patar)氏は、イラストレーター、グラフィックデザイナー、フォトグラファーとして、インドとオーストラリアを拠点に活躍するデジタルアーティストです。パター氏の経歴は多岐にわたりますが、アドビが課したチャレンジはこれまでになく困難なものでした。それは、盗難にあったレンブラントの名画を、Adobe Stockに収められた素材のみを使用してAdobe Photoshop CCで再現することです。

オリジナルとなるレンブラント・ファン・レインの名作「ガリラヤの海の嵐」は、ボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館に所蔵されていましたが、1990年に盗難にあいました。幸いデジタルコピーが残っていたため、パター氏は再現にあたりデジタルコピーを入念に調べました。

オリジナル版(左)と再現版(右)

レイヤーを多用

パター氏:何千ものレイヤーを使用することになるだろうとは思っていました。高性能なコンピューターを使っているとはいえ、大きなファイルを描画するには時間がかかります。そこで個別のファイルに分けて作業すれば時間を節約できると考えて、絵画の要素ごとに1つのPhotoshopファイルを作成するところから始めました。つまり、空と海を1つのPhotoshopファイルにまとめて、人物や帆船はまたそれぞれ別のファイルで作るという具合です。全部で10点ほどのPSBファイルになり、データ容量は60ギガバイトに及びました。要素ごとに作業した後、出来上がったレイヤーをマージして、1つの新規ファイルを作成し、全体の構成を確認しました。

レイヤーとグループの作成および管理

ロープのたわみを再現

ちぎれてS字型にたわんだロープを再現するために、Adobe Stockの画像を3点以上は使いましたが、正確に描くことができませんでした。そこで、Photoshopパペットワープを使って画像を適切な形に修正しました。これまでパペットワープを使ったことはありませんでしたが、この作業には最適でした。

パペットワープの使用

warp

人物の表情と体

作中の人物の動きと感情をマッチさせることが極めて重要でした。それぞれの人物の顔を3~4人のモデルの顔を組み合わせて作りました。まずは上から二番目の男性から作業を始めましたが、同じ表情をしたモデルを見つけられませんでした。そこで、原画の男性と表情を一致させるために数人のモデルの顔のパーツを取り込み、さらにゆがみフィルターを使って目を描く必要がありました。
また、人物の体のパーツを見つけるのも大変でした。使えそうな体のパーツを見つけたとしても、遠近感、色、明暗の調整が何度も必要でした。

ゆがみフィルターの使用

faces-bodies

舟板の一枚一枚を再現

原画の船は特殊な形をしており、同様の形をした船の写真を見つけるのは困難でした。そこで船大工が舟板を一枚一枚組み立てるようにして船を再現しました。

plank-by-plank

まず、矢印で示された舟板から作業に取り掛かりました。さまざまな素材を組み合わせています。Adobe Stockで原画の舟板に似た木目のテクスチャ画像を10種類見つけ、Photoshopで作ったシェイプ上これらのテクスチャを貼り付け、変形ツールを使ってテクスチャに曲線やたわみを加え、原画の上部の舟板に見えるようにしました。「拡大・縮小」、「回転」、「ゆがみ」、「自由な形に」、「ワープ」などほぼすべての「変形」オプションを使いました。「遠近法」は使っていないはずですが、その他はすべて使ったでしょう。それから明暗を調整するために、トーンカーブ補正、レベル補正、カラーバランス補正も使いました。

変形オプションの適用

光で描く

昔の画家は、光をハイライト、中間調、シャドウと捉えています。Photoshopでは、トーンカーブの機能を使うと、これらの色調値を変更することができます。私は3つのトーンカーブ補正レイヤーを作りました。それぞれ、ハイライト、中間調、シャドウのトーンを上げるものです。絵の一部分を暗くしたいときは、シャドウ補正レイヤーをクリックし、ブラシツールを使って、該当部分のレイヤーマスクを編集しました。基本的に画像加工処理というより、絵を描いているような感じで、トーンカーブとレベルの補正機能を使って、光の明暗を描きました。

トーンカーブの補正
調整レイヤーの作成と適用

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詳細情報

失われた名画を再現するという当社のチャレンジに応えたアーティストはパター氏だけではありません。今回の作品および他の3作品についてさらに詳しく知りたい方は、ウェブサイト「Make a Masterpiece」をご覧ください。

原文執筆:Terri Stone