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Shioriのおすすめアーティスト【Artist Profile No.1】トンコハウス展:名作『ダム・キーパー』を巡る

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堤大介さん(呼び名:Diceさん)との最初の出会いは2015年。サンフランシスコ出張の話を、ロンドン在中のイラストレーター友達に話したことがきっかけでした。サンフランシスコへ行くなら是非尊敬するクリエーターを紹介したいと。そこで紹介されたのがDiceさんでした。

当時はカリフォルニア・バークレーにあるスタジオはリノベーション真っ只中。「散らかりまくっているのでスタジオにご招待できずごめんなさい」と近くの心地よいカフェで待ち合わせ。 顔合わせしてから2時間、彼のピクサー時代の経験や、クライアントワーク以外での活動、トンコハウス立ち上げに至るまで、今後の展望、作品を生み出すに当たってなど、柔らかい表情でたくさんの熱い想いを共有してくれました。 不思議にも昔から彼を知っていたような気がする程、共感できることばかりでした。

彼らの来日とトンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅へ連絡をもらったのが今年の3月、早速オープニングパーティーへお邪魔しました。 するとそこには、彼らの柔らかくて暖かいトンコハウスの世界が広がっていました。

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米国在住のアーティスト、堤大介さんとロバート・コンドウさんの共同監督で制作された、長さ18分間の短編アニメーション『ダム・キーパー(The Dam Keeper)』。数々の国際映画祭に出品され、20以上もの賞を受賞したことで、ご存知の方も多いのではないでしょうか。各方面から賞賛を浴びるこの作品は、堤大介氏とロバート・コンドウ氏の二人が設立したアニメーションスタジオ、トンコハウスから生まれました。今回は、そんな「トンコハウス展」に参加した感想から、お2人のクリエイティブについて触れていきたいと思います。

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Diceさんとロバートさんは、ピクサー・アニメーション・スタジオでアートディレクターを手がけていました。そして2014年にピクサーを退社し、トンコハウスを立ち上げます。その意図と、トンコハウスの使命とは…?

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ピクサーでは、誰もが知る名作が数々生み出され、たくさんの人の元に届けられます。ピクサーの仕事に携わっている。それは多くの方にとって、とても名誉なことでしょう。そんな中で2人は独立という道を選択しました。自分たちから生み出される表現を、世界と共感する道を選びました。

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もともとはなーんにも無いオフィス…

この空間から、あの名作が誕生したんですね!今回の展示会の告知から一文を引用します。

「なぜ自分たちはアニメーションをつくるのか」「なぜこのストーリーなのか」「なぜこの設定なのか」など、「なぜ」 という問いを繰り返しながらやりたいことの本質を形にしていくという堤とコンドウ。そうして時間をかけて丁寧につくられた作品は、子どもから大人まで幅広い世代に愛されている。

私はこれを目にした時、以前Diceさんが言っていたコトバを思い出しました。「僕とロバートの制作プロセスはまず自分たちの弱いところをさらけ出し合うことから始まります。そしてとことん話し合う。なぜこれを表現するのか、なぜキャラクターはこう反応したのか、その全ての“なぜ“をとにかく掘り下げて掘り下げて、お互いが納得がいくまで話し合うんです。」 彼らの作品に対しての向き合い方とたくさんの愛情を垣間見た瞬間でした。

展示会場では、ラフスケッチに起こされたイメージから、制作過程、これまでの数々の作品を旅することができます。場内は撮影OK!ということで、幾つか…彼らの創作の原点をご紹介します。

ロバートさんのスケッチ
Diceさんのスケッチ
ロバートさんのスケッチ

 

ロバートさんのスケッチ
ダム・キーパー | ブタくんの部屋

 

新作映画「ムーム」の立体作品
塗装前。制作過程を余すことなく披露しています
キャラクターの性格がにじみ出ています。今にも動き出しそう
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作中には無い景色やシーンも垣間見ることができます
ジオラマの中にブタくんを発見!
劇中、ブタくんはこの空間で重要な役割を果たしています

キャラクターデザイン、背景、ストーリー設定など、作品の世界観を作り上げるさまざまなアートワークが余すことなく展示される場内。お二人のものづくりに対する真摯な姿勢をひしひしと感じました。誰もが共感できる私たちのふとした心の動きを見事に表現している中に、社会的なメッセージも作品から読み取れます。
童心の感覚を忘れることなく、自らの意思のままに作品を作れる環境を築き、そしてそれが多くの方に評価されていることに対して、美しさと羨ましさを感じました。

 

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Photoshop上で画が完成するまでのタイムラプス。かわいらしいイラストながら、徐々に仕上がっていく様子は圧巻です!

トンコハウス展 「ダム・キーパー」の旅

  • 会期:2016.3.25 金 – 4.28 木
    好評につき延長になりました!4/30 土 まで。(4月24日(日)、4月29日(金・祝)は開館)
  • 時間:11:00a.m.-7:00p.m.
  • 場所:クリエイションギャラリー・G8
    日曜・祝日休館  ※入場無料

お近くの方はぜひ会場に足を運んでみてください!

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会場のいたるところに隠しイラストが!宝探しみたいです。

※ダム・キーパーが、4/29 金 AM9:55からNHKで放映されます!これからご覧になる方はぜひこの機会に!
Eテレ 海外アニメ特集

これからのトンコハウス、お二人の更なる活躍に期待したいと思います。
そして、今後もこうして心を動かされる作品に出会った際にはブログで紹介していきます。

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左から、Diceさん、わたし、ロバート・コンドウさん

トンコハウス:http://www.tonkohouse.com/jp/
ダム・キーパー 公式日本語サイト:http://thedamkeeper.jimdo.com