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#Illustrator30_30 #Ai30th 記念連載 | Vol.15 イラストレーター apapicoさん

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photo: Taio Konishi Photography

Illustratorと私」に制作した作品。Photohop、Illustrator、Illustrator Drawで制作。

Illustrator30周年(#Ai30th)を記念し、Illustratorをクリエイティブの味方として活用する若手クリエイター30人をご紹介する本企画。第15回にご登場いただくのは、イラストレーター、デザイナーのapapico(アパピコ)さん。『HATSUNE MIKU EXPO 2014』、『マジカルミライ2015』などのメインビジュアルや、ゲーム『アリスオーダー』キャラクターデザイン、コンパス『ニコラ・テスラ』ビジュアルなど手がけるマルチなクリエイター。アパピコさんとIllustratorの関係とは?

HATSUNE MIKU EXPO 2014 LA&NY MainVisual

ーーイラストレーターとデザイナーの二足のわらじで活動されていますね。

apapico:今はデザイン会社に在籍し、グラフィックデザインをする傍ら、個人でイラストレーターとして活動しています。「マジカルミライ」ビジュアルなどのクライアントワークは個人での仕事ですね。僕自身まだプロである認識があまりなくて、半分趣味で半分仕事みたいな感じでやらせていただいています。

ーーイラストレーターとしての活動を始めたきっかけは?

apapico:もともと自分は、メディアアートが勉強したくって東京工芸大学に進学したんです。途中でデザインのほうがやりたいな、と思ってデザイン学科に移籍してデザインを学び、卒業後は現代美術のアーティストの事務所で制作アシスタントとして働きました。現代美術作品の制作なので、普通のデザイン事務所では出来ない経験ができましたよ。巨大な美術館全体を包み込む壁紙のデータをIllustratorで作ったり、こんな可能性もあるのかと驚きました。個人の絵を発表するようになったのはpixivがオープンしてからです。それ以前は、自分の絵を知ってもらう機会がなかった。

ーー普段使っているツールは?

apapico:メインはIllustrator CCとPhotoshop CCです。高校時代にPhotoshop 6とIllustrator 9を使い始めたのが最初です。いまの制作ではアナログとデジタルを混合していて、スケッチブックやiPad Proで気が向いたときにスケッチして、本格的に作るものはそこからパソコンにデータを移して作業しています。スケッチは、通勤時間に電車で描くのがなかなか捗るんです。電車の中で、片手で吊革につかまり、もう片手で絵を描くという姿勢を編み出しました(笑)。

ーー足でネズミを描いた雪舟みたいな話ですね。アパピコさんがそもそも同人カルチャーに惹かれたきっかけは?

apapico:高校の頃に、坂道を転げ落ちるように、一気にオタクになってしまいました。親に旅行に行くと言って、友達とコミケに行ったときには感動しましたね。人が多い!って(笑)。僕自身はあまり二次創作はしない方で、オリジナルの作品が多いです。

Illustratorでポリゴン化


初音ミク「マジカルミライ 2015」・描き下ろしイラスト

ーーアパピコさんといえば、ポリゴン化されたキャラクターがすごく魅力的ですが、どのように制作されているんでしょうか。

apapico:Photoshopなどである程度描いた絵をIllustratorで配置して、テンプレートにして、下絵にするんです。元の色が見たいので、90%くらいですね。あとはIllustrator上で下絵の色に合わせて、ひたすら三角に区切ってはスポイトツールで着色していきます。細かいと再現度が高くなりますが、ローボリゴンの面白さがなくなってしまうので、微妙な調整です。1枚の絵に1日かかります。打つアンカーポイントは毎回1万から2万くらいあります。

ーーすさまじい手間がかかるものなんですね。どうしてポリゴンでの表現をしようと思われたのでしょうか。

apapico:ローポリゴンのビジュアルは、一般的にフラットデザインが流行った時期からの流れで人気が出たものですね。ローポリゴンの表現に惹かれるのは、ゲームが好きだったから。小学生の時に見た『バーチャファイター』の影響がすごく大きいです。実はポリゴン化するウェブサービスもあって、それを使うと早くポリゴン化出来るんですが、やっぱり細かいところに手が届かなくて、許せないんです。


ポリゴン化作業中

ーーアパピコさんの絵では、白い線が入っているのも効果的ですね。

apapico:そうなんです。絶対白い線を入れてしまうんですよ。モノクロで描いて、今ハイライトを入れる作業もします。後ろから光が入ってくるような演出がすごく好きなので、そうすることで画面にはない、もう一つのレイヤーみたいなものを表現出来るのか好きなのかもしれません。舞台で行われているライティングに近いのかもしれない。前後の関係を光で表現しているというか。

BIGHEADさん(@bighead11111)2ndアルバム「RELOVE」のジャケットイラストとロゴ&トータルデザインを手がけた


ジャケットイラストとロゴなどトータルデザインを手がけた

何でも自分で作っちゃう

「コミティア」で発売したオリジナルキャラクターのビジュアルタブロイドやクライアントワークのリーフレットなど

ーーイラストも描かれてデザインもされて、グッズの企画をして…とマルチな活動がすごいなと。コミティアではタブロイドを出版されたり、スケボーやTシャツなどのグッズもご自分で作られていますね。

apapico:イラストも、デザインも、タブロイドでは写真の撮影も全部一人でやってます。タブロイドはショップに置いてあるような、洋服のカタログを意識しています。奥さんの買い物に付き合っているときに、女性の服ってオシャレだなあと思ったのが作ったきっかけですね。タブロイドだとポスターのように飾れるし、リビングにおいてあってもオシャレだし。洋服も既存のものではなく、自分でデザインしました。ほかにはシルクスクリーンの作品なども作っています。

ーー様々なフォーマットでDIYで作リ続けているのには、どういう理由があるんでしょうか?

apapico:最終的に紙に全部落とし込まれるのがだんだん嫌になってきたというか、飽きてきちゃうんです。常に新しいフォーマットを探してそこにどうやって落とし込むかっていうのを考えるっていうのがまず面白くって。同じフィールドでしか、ものが語れなくなっちゃうのはもったいないなと思っています。

Illustrator Drawのほかにはない機能

ーー先程のポリゴン化にも通じますが、絵を描くのに、Illustratorを使っている理由は?

apapico:僕自身は、PhotoshopよりもIllustratorの方が直感的に作れる感じがするんです。ここにポイントがあって、ハンドルがこれくらいあるからこの曲線だというのが明確にわかる。ブラシで描くよりも、僕にとってはわかりやすい。デザインでも、イラストでも、直感的にものを配置したり動かすことができるのがIllustratorが好きな理由です。

ーー今回のポートレート作品はどのように作られましたか?

apapico:最初に写真の上からPhotoshopでラフを描き、それをIllustratorでローポリゴンでトレースしていきました。同時に周りのパースのオブジェクトはIllustrator Drawの定規(パース機能)と円形の定規で引いていきました。この機能は他のアプリにはないのでとても便利で使いやすかったです。画角も設定できるので、普通に0から背景のパースを書くときも重宝しそうです。書いたものもベクターになっているのでIllustrator上ですぐに合成でき、今後の作業スピードも上がってくると思います。

ーー最後に座右の銘を教えてください。

apapico:「やらないで後悔するならやって後悔しろ」「いつだって可能性を閉ざすのは自分だ」

ーーありがとうございました。

apapico(アパピコ)
http://apapico.com/

イラストレーター・デザイナー。1984年10月うまれ。

◾️この企画について
いまやデザインに欠かせないツールとなったAdobe Illustrator CC。1987年3月19日に初めてPostScript専用ベクターツール「Adobe Illustrator 1.0」がリリースされて30年。いまでは世界中で、毎月1億8000万点以上のグラフィックがIllustratorを使って作成されています。

本企画「Illustrator30_30(イラストレーター サーティー サーティー)」は、Illustrator30周年(#Ai30th)を記念して、さまざまなジャンルでIllustratorをクリエイティブの味方として活用する、30代までの若手クリエイター30人を連載でご紹介します。本企画では、クリエイターのみなさんのポートレートを撮影し、その上に自由にイメージを描いていただくビジュアル・コラボレーション「Illustratorと私」も毎回お届けします。インタビューと合わせてお楽しみください。

Adobeでは、7月3日に、初音ミクの生誕祭として、イラスト投稿型の特設サイトをオープンしました。ミクを描いて「DANCING MIKU MAKER」にアップすると、あなたのミクが踊りだす!詳細は公式サイトにて。

 

  AUTHOR

齋藤 あきこ

宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。