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#Illustrator30_30 #Ai30th 記念連載 | Vol.24 イラストレーター うとまるさん

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photo: Taio Konishi Photography


Illustratorと私」制作作品

Illustrator30周年(#Ai30th)を記念し、Illustratorをクリエイティブの味方として活用する若手クリエイター30人をご紹介する本企画。第24回にご登場いただくのは日米のポップカルチャーの影響を色濃く受けたキャラクター造形と色彩表現が特徴のイラストレーター / グラフィックデザイナー、うとまるさん。男女2人組音楽ユニット「ORESAMA」などのCDジャケット、MV、雑誌への作品提供から、キャラクターデザイン、コスチューム原案、漫画制作、プロダクト開発など幅広く活動中。うとまるさんとIllustratorの関係とは?


うとまるさんの制作環境。お部屋には大量のDVDやゲームが

ポスターデザイナーに憧れて


DEVIL NO ID アーティスト写真

——クリエイターになったきっかけは?

Utomaru:小さい頃から絵を見たり描くのは好きで、その辺り詳しく勉強したいなと思って美大に進学しました。ファインアートは今も昔も大好きですが、その時は映画やお芝居のポスターデザイナーに憧れていて、デザインの勉強に興味があったので、グラフィックデザイン科を専攻しました。卒業後は一瞬就職したんですが、毎日決まった時間に起きて寝る生活が結構大変でした。3・11が起こったタイミングで何だか色々あってフリーランスになりました。グラフィックデザイナーとして仕事をしつつイラストも始めて、いまはほとんどがイラストの仕事です。

——普段使っているツールは?

Utomaru:イラストを描く時にはPhotoshop、ロゴを作る時にはIllustratorをよく使っています。ここ数年はアナログはほとんど使わず、ラフから全部デジタルで描いてます。少し前にiPad ProとApple Pencilを買ったので、それを使って外出中にラフまで描いてから、自宅のMacで完成に持っていく事も増えました。lllustrator Drawは、インスタでHow toを掲載してる方がいて、それを見てすごく便利そうだなと思ってインストールしました。Illustratorに移したときに既にベクターデータになっているのが便利ですよね。

ロゴはIllustratorで


バンドじゃないもん!「キメマスター! / 気持ちだけ参加します。」ロゴ

——Illustratorはどのように使われているんですか?

Utomaru:一つの案件で、イラストとロゴをセットで依頼していただくことが結構あります。ロゴはPhotoshopでラフを描いて、Illustratorで整えて、最終調整を行います。


ORESAMAロゴ

——そうなんですか!順番が逆なのかと思ってました。

Utomaru:Illustratorで作ったロゴはもう1回Photoshopに持っていって、色や効果を付けています。ロゴ制作でIllustratorを使うのは、デザイナー側の仕事をする時に「お願いだからaiでロゴ送ってくれ〜」と思う事が多いので(笑)。ロゴはさまざまなサイズで使われる場面が多いので、ベクターデータにしとくと使いやすいかなと…なんか普通のこと言ってますね。


ORESAMA / Trip Trip Trip -MUSIC VIDEO-(TVアニメ『魔法陣グルグル』OP主題歌)

——THINKRのクリエイティブディレクションのもと、音楽ユニット「ORESAMA」のアートワークを手がけられていますね。

Utomaru:THINKRの針谷健二郎さん主導のプロジェクトです。私は約2年半前から、CDジャケットやミュージックビデオなどのビジュアルを一貫して制作しています。ORESAMAの二人、ぽんちゃんと小島くんのスーパーポップで楽しい音楽を盛り上げる要因のひとつになれていれば幸いです。本人たちの写真に私のイラストを組み合わせてビジュアルを作る事もあって、刺激になります。


ORESAMA『Trip Trip Trip』JKT(青)

Utomaru:以前『銀河』という曲が発売するタイミングで、ぽんちゃんの自撮り写真に私のイラストを加えた画像を、Twitterでのカウントダウン用に作った事もありました。あれは楽しかったです。

https://twitter.com/pon_oresama/status/741206860364021761

——写真とイラストのコラボレーションの時にはどのように制作されるんでしょうか?

Utomaru:CDジャケットの場合はやり方は二通りあって、一つは私がラフスケッチを描いて、それに合わせて衣装を作ってもらって撮影して頂く場合。もう一つは先に衣装決めと撮影をして頂いてから、私がその写真に合わせてイラストを仕上げる場合です。またミュージックビデオでは、私が描いたイラストをディレクターの佐伯雄一郎(THINKR/HA8CA)さんが動かしてくれています。ひとつひとつのカットを描くのは大変ですが、動いているのを見ると感動します。

映画は人生を豊かにしてくれる


仕事机の後ろに懐かしのゲーム筐体が!「気分転換に旦那さんと対戦しています」

——うとまるさんの絵には80年代的のサイバーパンクなど洋画の影響を感じますが、画風はいつごろに出来たものなのでしょうか?

Utomaru:特にレトロということを自分で意識しているわけではないです。Photoshopで描いていますが、エフェクトを使うのがあまり上手ではなくって、色の塗り方がすごくフラットなので、そう受け取ってもらえてるんだと思います。描く題材やモチーフなんかは好きな映画などからの影響が強いかもしれません。50年代のSF映画や、80年代のホラー映画など、お気に入りのジャンルはありますが、基本的にはいつの時代の映画も好きで何でも見ます。大きくはストレス解消のためと、素晴らしい映画やくだらない映画を見て自分の人生を豊かにするためです。

——自分の人生を豊かにするためにというのは素晴らしい言葉だと思います。

Utomaru:今のところ私が毎日生活する理由はそれくらいなので…。あとは毎日ずっと描いててアウトプットするだけだとストレスが溜まるし、自分一人の想像力では限界があるので、なるべく色々な時代の人が作ったものを見て色々考えています。

——仕事や作品を「完成」させる時に、最も気をつけているポイントはなんですか?

Utomaru:クライアントワークの場合は、クライアントの要望に答えてるかということです。自分の作品の場合は、自分が影響を受けたカルチャーや思想を絵の中に取り入れる事をしていきたいです。表現としては安心感より少しスリルがあるような、ちょっと見分かりづらいような表現も好きなので、なるべく記号に頼らない作品を作りたいです。

——安心感よりスリルとは例えばどのような表現なのでしょうか?

Utomaru:ひとが見たときに「なごむ、いやされる絵」と「驚く絵」があったらなるべく後者でいたいな…と思っています。ありがちなクリシェに頼る表現を避け、意外性を重視したいです。そんな制作活動を実現出来たらかっこいいな〜と思っています。


ミュージックイラストレーションアワードの作品

——今後手がけたい仕事、実現したい働き方、または密かに抱いている野望は?

Utomaru:ビジュアルブックのような、ストーリーのある本を作りたいんです。絵だけだと、本当に一瞬で消費されてしまうので。

——描き手もすごく増えていますが、その分SNSなどで一瞬で消費されてしまうという状況もありますね。

Utomaru:ビジュアルが持つ衝撃だけでなく、内容が伝わらないとと思うんです。最近、メッセージがあることの大切さを良く考えています。人に影響を与えるには、やっぱりメッセージが必要なんだなと。自分が本や映画からどんな時に影響されるんだろう、と考えてみると、やっぱりテーマやメッセージなんです。メッセージがない事で成り立つような作品の良さもあるので、一概には言えないんですけどね。

——Capture CCやIllustrator Drawなどでの作品制作をしてみた感想をお教えください。

Utomaru:今回の作品のテーマはナイトライフです。大好きなバーで撮影させて頂けて光栄でした。Illustrator Drawは、線のピッとした綺麗さとか、大胆なラインが描けるところとか、私の絵に合っていると思いました。今はProcreateを使っているんですが、Procreateは実際のペインティングに近いので、ブラシやペン、鉛筆の質感を重視する方に向いていて、私の絵だとIllustrator Drawの方が合うような気がしています。この2つは、全然別の用途で使えるソフトですね。

——最後に座右の銘を教えてください。

Utomaru:「Be Excellent To Each Other.(互いに最高であれ!)」です。これは 『ビルとテッド』という映画シリーズのセリフで、私が一番好きな言葉なんです。

——ありがとうございました。

うとまる
http://thinkr.jp/people/utomaru/

日米のポップカルチャーの影響を色濃く受けたキャラクター造形と色彩表現が特徴の作家。CDジャケット、MV、雑誌への作品提供から、キャラクターデザイン、コスチューム原案、漫画制作、プロダクト開発など幅広く活動中。アメコミを彷彿とさせるポップなイラストレーションで、ポップカルチャーシーンで活躍するアーティストへのアートワーク提供も行なう。クリエイティブチーム《POPCONE》所属。


◾️この企画について
いまやデザインに欠かせないツールとなったAdobe Illustrator CC。1987年3月19日に初めてPostScript専用ベクターツール「Adobe Illustrator 1.0」がリリースされて30年。いまでは世界中で、毎月1億8000万点以上のグラフィックがIllustratorを使って作成されています。

本企画「Illustrator30_30(イラストレーター サーティー サーティー)」は、Illustrator30周年(#Ai30th)を記念して、さまざまなジャンルでIllustratorをクリエイティブの味方として活用する、30代までの若手クリエイター30人を連載でご紹介します。本企画では、クリエイターのみなさんのポートレートを撮影し、その上に自由にイメージを描いていただくビジュアル・コラボレーション「Illustratorと私」も毎回お届けします。インタビューと合わせてお楽しみください。

  AUTHOR

齋藤 あきこ

宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。