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ベテランほど知らずに損してるIllustratorの新常識(1)インターフェイス総点検

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ベテランほど知らずに損してるPhotoshopの新常識の姉妹編として、Illustrator版の連載をスタートすることになりました。どうぞ、よろしくお願いします。

今回は、画面まわりやズーム/スクロールなど、基本的なところについて取り上げます。

ダークUIの変更

Illustrator CS6以降、暗いグレーを基調する「ダークUI」がデフォルトになりました。

変更するには[環境設定]の[ユーザーインターフェイス]カテゴリを開き、[明るさ]のボタンをクリックします。

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なお、Illustrator CC 2017では、「ダークUI」が「Spectrum」に進化。ボタンなどの形状などが変更されています。

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カンバスカラー

Illustrator CS6以降、ペーストボードのカラーが、ユーザーインターフェイスの明るさに準ずるようになっています。「暗め」を設定している場合、ペーストボードにスミ文字(カラーが黒のテキスト)を置いても、ほぼ読めません。

[環境設定]の[ユーザーインターフェイス]カテゴリを開き、[ユーザーインターフェイスの明るさに一致させる]オプションをオフにすると、ペーストボードのカラーを白にすることができます。必要な場合には変更してください。

canvas-color

なお、Illustratorでは、アートボード外の領域を従来「ペーストボード」または「スクラッチエリア」と呼んできましたが、環境設定では「カンバスカラー」と呼んでいます。Photoshopでカンバスといったら作業領域のことですし、少し不自然な感じが残ります。

カスタムツールパネル

[ツール]パネルには、新しいツールが追加されていますが、それにともない、ツールが移動したり、よく使うツールがサブツールになってしまい、探しにくくなっていると感じている方は「カスタムツールパネル」を使ってみてください。

「カスタムツールパネル」に、[ツール]パネルからお好みのツールをドラッグすることで、自分なりのツールパネルを作成することができます。

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  • 初期設定は1列表示なので、必要に応じて2列表示に変更
  • ツールを削除するには、カスタムツールパネルの外にドラッグする
  • 複数のカスタムツールパネルを作成することも可能([ウィンドウ]メニューの[ツール]で管理)

カスタムツールパネルから、カスタムツールパネルにないツールを呼び出すことはできませんので、オリジナルの[ツール]パネルと並べて使うのがよいでしょう。

アニメーションズーム

Illustrator CC 2015以降、ズームツールの挙動が変わっています。[ズームツール]でドラッグすると、右方向で拡大、左方向で縮小します。

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従来の挙動に戻したい方は、[環境設定]の[GPUパフォーマンス]カテゴリで[アニメーションズーム]をオフにします。

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Photoshopでは[スクラブズーム]と呼んでいますが、Illustratorでは「マウスボタンを押したまま待つと拡大、optionキー(Altキー)を押しながらマウスボタンを押したまま待つと縮小」という挙動も兼ねているため、「アニメーションズーム」と呼ばれています。

GPUパフォーマンス

PCにGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)が搭載されていて、Illustratorで認識される場合に、GPUプレビューを使うことができます。これにより描画が高速化されます。

この切り替えは、[環境設定]の[GPUパフォーマンス]、および、[表示]メニューの[CPUでプレビュー]で行います。GPUプレビューがオンのときには[CPUでプレビュー]、オフのときには[GPUでプレビュー]と表示されます。切り替えのキーボードショートカットはcommand(Ctrl)+Eキーです。

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これにともない、GPUプレビューがオンの場合「塗り:あり、線:なし」の直線が描画されなくなっています(ある意味、これが正しいとも言えなくはないですが…)。

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ズーム比率の変更

「もう少し拡大できたらいいのに!」と、悔しい思いをされていた方に朗報です。
GPUパフォーマンスの機能強化によって、最大拡大率が6,400%から64,000%に増大されています。

zoom64000

GPUプレビューがオフのときにも拡大可能です。

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また、GPUプレビューがらみではないのですが、Illustrator CC 2017以降、command(Ctrl)+[+]キーでズームを行う際、選択しているオブジェクトがある場合、そのオブジェクトが中心になるようにズームされるようになりました。これは地味に超便利な機能強化です。

[手のひらツール]への切り替え(option+スペースバー)

こちらも地味ながら大きな変更。

[手のひらツール]以外のツールを選択しているとき、スペースバーで[手のひらツール]に一時的に切り替えを行うことができましたが、困るのがテキスト編集時。当然ながら、文字としてのスペースが入ってしまうため、Macの方は、commandキー、スペースバーの順にキーを押して、commandキーだけ離すなどで回避してきました。

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Illustrator CC以降、option+スペースで[手のひらツール]に切り替わるようになりました。テキスト編集時以外にも、option+スペースが使えますので、こちらのみに統一するのがよいでしょう。

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Windowsでは、Alt+スペースです。

サンプルテキストの割付

Illustrator CC 2017から、文字ツールでクリックすると「山路を登りながら」という8文字のテキストが挿入されるようになりました。

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従来通り、サンプルテキストなしにしたい方は、環境設定の[テキスト]カテゴリ、[新規テキストオブジェクトにサンプルテキストを割り付け]オプションをオフにします。

なお、変更したい方は、「/Application/Adobe Illustrator CC 2017/Support Files/Resources/ja_JP/Lang-Resources/Illustrator.ztx」の9,068行目「”$$$/PlaceHoldeText/Word2=山路を登りながら”」を書き換えます。

空のエリア内テキストを選択し、[書式]メニューの[サンプルテキストの割付]をクリックして、必要なときのみ挿入するのが現実的な使い方でしょう。

まとめ

今回はインターフェイス総点検と称して、画面まわりやズーム/スクロールなど、基本的なところをご紹介しました。

  • インターフェイスの明るさ変更は環境設定の[ユーザーインターフェイス]で行う
  • インターフェイスを暗くしている場合、ペーストボードのカラー調整を行うとよい(カンバスカラー)
  • よく使うツールを選りすぐって、カスタムツールパネルを作るとよい
  • 従来のズームツールがいい方は、環境設定で[アニメーションズーム]をオフにする
  • GPUが搭載されているPCでは、GPUパフォーマンスによって描画が高速化されている
  • GPUプレビューがオンに場合、塗りだけの線が消失する
  • ズーム比率が、これまでの10倍(64,000%)になった
  • 選択しているオブジェクトがあるとき、command(Ctrl)+[+]キーでズームすると、常にウィンドウの中央にオブジェクトが表示されるようになった
  • テキスト編集時も、そうでないときにも一時的に[手のひらツール]に切り換えるには、optionキー(Altキー)+スペースでOK
  • 文字ツールでクリック(ドラッグ)するとサンプルテキストが挿入されるようになった。環境設定でオフにすることができる

「64,000%ズーム」、「テキスト編集時のoption+ドラッグ」は、地味ながら、これのないIllustratorには戻れないくらいほどと感じています。

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鷹野 雅弘

1996年にDTP制作プロダクション「株式会社スイッチ」をスタート。 その後、Web制作、 コンサルティング業務にシフト。トレーニングやテクニカルライティング、書籍の企画や編集なども行っている。CSS Niteなどのセミナーイベントを企画運営のほか、DTP情報サイトDTP Transitを2005年から継続している。 テクニカルライターとして20冊以上の著書を持つ。主な著書に『10倍ラクするIllustrator仕事術(増強改訂版)』(共著、技術評論社)ほか。