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フォトレタッチの極意8:見ごたえのある星空を演出する

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星空を撮るということは、何か特殊な機材や技術などを使った難しいものではないかと思われるのですが、実は三脚さえあれば意外と簡単に撮影できてしまいます。今回は、星空写真をきれいに仕上げるための撮影からレタッチまでのワザを伝授します。解説は、レタッチャー/ライターの桐生彩希さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載した内容から抜粋してお届けします。

Before
After ※クリックで拡大

レタッチの設計

はじめに:星空撮影用の設定で星空を撮る

星空の撮影には特殊な機材や技術が必要と思われがちだが、それは誤解だ。三脚さえあれば、定まった設定で撮影できる。それが、「広角、絞り開放、シャッター速度は30秒、ISO1600」。あとは、Photoshopの機能で星の輝きや夜空の色を調整すればOK。これで、見ごたえのある星空写真が完成する。

1、「背景」レイヤーを重ねる

(1)「背景」を複製する

「レイヤー」パネルで、「背景」レイヤーの複製を作成。「背景のコピー」レイヤーが作られたら、選択した状態にしておく。

 

(2)描画モードを変更する

「背景のコピー」レイヤーが選択されている状態で、レイヤーパネルの「描画モード」を「覆い焼きカラー」に変更。明るさが足りないときは、さらにレイヤーを複製して「覆い焼きカラー」で重ねればOK。補正が強すぎるときは、レイヤーパネルで重ねたレイヤーの「不透明度」を下げて調整する。

2、「Camera Rawフィルター」で補正する

(1)レイヤーの複製を作る

「Camera Rawフィルター」を使う準備として、スマートオブジェクトのレイヤーを作っておく。補正された状態でレイヤーの複製を作りたいので、レイヤーパネルでいちばん上のレイヤー「背景のコピー」を選択し、キーボードの「Alt+Shift+Ctrl+E」(Macは「Command+Shift+Option+E」)キーを押して、複製レイヤー「レイヤー 1」を作る。

(2)スマートオブジェクト化する

(1)で複製した「レイヤー 1」を選択し、スマートオブジェクトに変換。

(3)「Camera Rawフィルター」を選択する

複製した「レイヤー 1」が選択されている状態で、「フィルター」メニューの「Camera Rawフィルター」を選択して、「Camera Rawフィルター」画面を表示する。

(4)星の輝きを強める

星の輝き(ハイライト)を強めつつ、夜空(シャドウ)にしまりを出す補正は、「コントラスト」を強める(スライダーを右に移動)ことで行なえる。作例は少し空が明るい印象なので、さらに「露光量」を下げて(スライダーを左に移動)夜らしい暗さを再現。

(5)彩りを華やかにする

デジタルカメラで星空を撮ると、おとなしい色彩になりがち。これを改善するには「自然な彩度」と「彩度」機能が最適で、写真の色を見ながら各スライダーを右に移動して、彩りを強めていく。

(6)空の色を調整する

 

星を写した写真は、夜空が青いと雰囲気が出てくる。そこで、「色温度」スライダーを左に移動して青みを強める。これで色の調整は完了だが、作例はもう少し星の輝きがほしかったので、「白レベル」スライダーを右に移動して白に近い色をより明るく調整している。

(7)四隅の暗さを改善する

広角系のレンズで、絞りを開放付近に設定して写した写真は、四隅が暗くなりがちなので、「レンズ補正」ボタンの「手動」タブにある「周辺光量補正」機能で補正する。「露光量」スライダーを右に移動すると、四隅の暗い状態が改善できる。「Camera Rawフィルター」での調整を終えたら、「OK」ボタンをクリックして補正を確定する。

3、星の解像感を調整する

(1)レイヤーの複製を作る

いちばん上のレイヤーを選択して、キーボードの「Alt+Shift+Ctrl+E」(Macは「Command+Shift+Option+E」)キーを押して、見えている状態の複製「レイヤー 2」を作る。レイヤーが作られたら「不透明度」を「70%」に下げておく。

(2)「ぼかし(ガウス)」を選択する

レイヤーパネルで、複製した「レイヤー 2」を選択し、「フィルター」メニューの「ぼかし」→「ぼかし(ガウス)」を実行して、「ぼかし(ガウス)」画面を表示する。

(3)星を滲ませる

「ぼかし(ガウス)」フィルターでぼかしを適用すると、星に滲みが出てソフトな印象になる。写真を見ながらに滲み(解像感)を調整していこう。全体表示で見ると分かりにくいが、100%表示で確認すると、ぼかしをかけた画像は星のエッジに生じた色ずれ(色収差)が曖昧にぼやけて、ザラつきが抑えられているのが分かる。ぼかし過ぎると星の存在が曖昧になるので、色ずれやザラつきを軽減するイメージで調整するのがコツ。「OK」ボタンで確定したら、出来上がり。

ぼかし(ガウス)適用前
適用後。色ずれやザラついた画質を改善できる

完成

さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO で連載中の「風景&ネイチャー レタッチの教科書」(解説・写真:桐生彩希)に掲載されています。サンプルファイルもダウンロードできますので、ぜひ挑戦してみてください!

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  AUTHOR

Muneo Tochiya

1998年 9月 アドビ システムズ 株式会社に入社。マーケティング部に所属し、アドビのPhoto製品全般を担当。Photoshop のバージョン 5.5 から、Lightroomはベータから現行バージョンを担当。 「解りやすく、楽しく」をモットーに Photoshop 製品群の紹介をおこなう。