連載  /  

フォトレタッチの極意9:手触りまでリアルに感じられる動物写真

BY 公開

野生でも動物園でもペットでも、動物の写真を補正する際は質感にこだわりたいところ。その毛並みの手触りが感じられるくらいのリアルな質感を表現するために、ある裏ワザを使用します。その方法について解説するのは、レタッチャー/ライターの桐生彩希さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載した内容から抜粋してお届けします。

Before
After ※クリックで拡大

 

レタッチの設計

1、「Camera Rawフィルター」の準備をする

(1)「背景」をスマートオブジェクト化する

「レイヤー」パネルを表示したら、「背景」レイヤーを選択し、スマートオブジェクト化する。「背景」が「レイヤー0」になる。

(2)「Camera Rawフィルター」を表示する

「レイヤー0」を選択したら、「フィルター」メニューの「Camera Rawフィルター」を選択。これで、「Camera Rawフィルター」画面が表示される。

2、「Camera Rawフィルター」で補正する

(1)羽毛の質感を高める

使う機能は「効果」パネルにある「かすみの除去」。「Fx」ボタンをクリックして「効果」パネルを表示したら、「かすみの除去」にある「適用量」スライダーを右に移動。これで繊細な凹凸が表面化してくる。「かすみの除去」は、白くかすんだ状態を改善する機能だが、ここではクリアなイメージを得るために裏ワザ的に使用している。

(2)より明瞭なイメージに調整する

さらに羽毛を鮮明に見せるため、「明瞭度」を調整する。「基本補正」ボタンをクリックしてパネルを表示したら、「明瞭度」スライダーを右に移動。調整し過ぎると、不自然にコントラストが強まるので注意する。被写体以外への影響が気になるときは、「Camera Rawフィルター」を確定後、レイヤーマスクで補正の範囲を制限すればよい。露出や色は問題ないので、「OK」ボタンをクリックして作業を確定する。

3、よりシャープな解像感に仕上げる

(1)等倍表示にする

シャープ系の機能を使うときは、表示倍率を「等倍表示」(100%)にしておく。それ以外の状態では、ピクセルが補完された表示になるので、正確なシャープネスが判断できなくなってしまう。等倍表示にするには、ツールパネル」の「ズームツール」をダブルクリック。次に「手のひらツール」を選択し、写真上でドラッグして、シャープにしたい部分を表示しておこう。

(2)「スマートシャープ」を選択する

「レイヤー」パネルで「レイヤー0」を選択したら、「フィルター」メニューの「シャープ」→「スマートシャープ」を選択。「スマートシャープ」画面が表示されたら、「除去」を「ぼかし(レンズ)」に設定する。

(3)一時的に強めの設定にする

シャープ系機能を上手く使うコツが、「シャープに見える最小の設定」に仕上げること。補正のコツは、強めの設定から徐々に弱めていくこと。そこで、最初に効果がはっきりと分かる極端に強い設定にしておこう。

(4)ノイズを目立たなくする

まずは、「ノイズを軽減」スライダーを右に移動して、滑らかな部分のノイズを目立たなくする。補正量が多過ぎると画質があいまいになるので、シャープの効果が弱まらない状態を維持しつつ、ノイズが目立たない設定を見つけ出そう。

(5)エッジが細い状態にする

「半径」スライダーを左に移動して、エッジが細い状態を目指す。「シャープの効果が分かる最小の設定」にすればOK。極端にシャープが強い状態に設定されているので、「半径」スライダーの微妙な調整も分かりやすいはず。

(6)シャープを適量に仕上げる

「量」スライダーを左に移動して、シャープの強さを決める。「半径」スライダーと同様に、「シャープの効果が分かる最小の設定」にする。これで、滑らかな部分への影響を抑え、エッジの細い繊細な状態で、適度な強さのシャープに仕上がる。画質に問題がなければ、「OK」ボタンをクリックして設定を確定。

4、コントラストを調整する

(1)「トーンカーブ」を選択する

「調整レイヤー」の「トーンカーブ」で、コントラストの仕上げをする。トーンカーブの線グラフの右上と左下をクリックして2つのポイントを作成しておく。

(2)コントラストで色の濃さを調整

「トーンカーブ」で補正する目的はふたつ。ひとつは、メリハリを強めて羽毛に立体感を出すことで、もうひとつが中間調以下を暗く補正して色の濃さを出すこと。これらの調整は、左下のポイントを下げて、中間調より暗い部分が暗くなるように調整すればOK。作例は、ハイライトの明暗を調整する必要がなかったので右上のポイントは移動していない。

(3)顔や目元の暗さを改善する

先ほどの「トーンカーブ」で顔の付近が少し暗くなっているので、「レイヤーマスク」で補正の範囲から除外しておく。まずは、「レイヤー」パネルで「トーンカーブ1」のレイヤーマスクサムネールをクリックして選択。

(4)「ブラシツール」を設定する

ツールパネル下部にある①描画色を「黒」に設定する。さらに、②「ブラシツール」をクリックして選択したら、③「ブラシプリセットピッカー」をクリックし、ボケ足のある④「ソフト円ブラシ」を選択。ブラシの太さは、作業するポイントに合わせて⑤「直径」スライダーで調整。⑥「不透明度」と「流量」はどちらも「100%」に設定する。

(5)顔の補正を除外する

「レイヤーマスクサムネール」が選択された状態で、写真の上から「黒」の「ブラシツール」でドラッグすると、補正されていない状態に戻せる。作例は顔の部分をドラッグして、「トーンカーブ」によるコントラスト調整を除外。元の補正された状態に戻したいときは、描画色を「白」に設定して塗りつぶせばよい。

さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO で連載中の「風景&ネイチャー レタッチの教科書」(解説・写真:桐生彩希)に掲載されています。サンプルファイルもダウンロードできますので、ぜひ挑戦してみてください!

  TAGS

  AUTHOR

Muneo Tochiya

1998年 9月 アドビ システムズ 株式会社に入社。マーケティング部に所属し、アドビのPhoto製品全般を担当。Photoshop のバージョン 5.5 から、Lightroomはベータから現行バージョンを担当。 「解りやすく、楽しく」をモットーに Photoshop 製品群の紹介をおこなう。