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フォトレタッチの極意13:霧のシーンを幻想的に仕上げる

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ネイチャーシーンで出会うと、思わず撮影したくなるのが霧のシーン。でも、霧のシーンをイメージどおりに写し取るのはかなり難しいものです。そこで役に立つのがPhotoshop。レタッチでイメージを追求することで、難しい霧のシーンが作品へと昇華します。解説は、レタッチャー/ライターの桐生彩希さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載した内容から抜粋してお届けします。

 

Before
After(※クリックで拡大)

レタッチの設計

1、「Camera Rawフィルター」の準備をする

(1)「背景」をスマートオブジェクト化する

「Cmaera Rawフィルター」を調整レイヤー的に使うために、「背景」レイヤーを選択し、スマートオブジェクト化する。「背景」が「レイヤー0」になる。

(2)「Camera Rawフィルター」を表示する

「レイヤー0」を選択した状態で、「フィルター」メニューの「Camera Rawフィルター」を選択。これで、「Camera Rawフィルター」画面が表示される。

2、「Camera Rawフィルター」で霧の質感を補正する

(1)イメージに近い露出に仮調整する

イメージに近い状態にしておくと細部の補正がしやすくなるので、「露光量」スライダーを使ってイメージに近い露出に補正しておく。作例はスライダーを右に移動して明るい状態に補正。最後に全体の色調を調整するので、仮の状態でOK。

(2)「かすみの除去」で霧の雰囲気を高める

「効果」タブをクリックし、「かすみの除去」の「適用量」スライダーを左に移動。イメージする霧の雰囲気を再現する。

(3)「明瞭度」でハイライトのやわらかさを再現

「基本補正」タブをクリックし、「明瞭度」スライダーを使ってハイライトのにじみを描写する。スライダーを左に移動して、紗のかかったようなやわらかな質感を目指すと、霧の印象が高まることが多い。

(4)「色温度」で冷たい雰囲気を再現

現場で感じた冷たく湿った空気感を再現するために、「色温度」スライダーを左に移動して青っぽさを出す。

(5)グリーンかぶりを補正する

「色温度」を補正した結果、少しグリーンかぶりが強い印象なので、「色かぶり補正」スライダーを右に移動してグリーンの偏りを軽減する。

(6)「黒レベル」でシャドウを引き締める

現状は全体のトーンが浅くメリハリのない状態。手前のブナの幹の存在感が高まり、かすんだ奥の景色との対比で立体感が出るように、シャドウを引き締める。使う機能は「黒レベル」で、スライダーを左に移動してシャドウの色調を濃く補正。必要に応じて「露光量」で全体の露出を整え、「OK」ボタンで補正を確定する。

3、草木の緑の色をイメージに近付ける

(1)「特定色域の選択」を選択する

緑はもう少し冷たい感じにしたいので、「調整レイヤー」の「特定色域の選択」で緑の色調を補正する。「レイヤー」パネル下部の 「新規調整レイヤーボタン」から「特定色域の選択」を選択。

(2)シアンを増加して緑に冷たさを出す

まず、下のほうにある「絶対値」を選択。次に、緑を補正するので、「カラー」から「グリーン系」を選択し、「シアン」スライダーを右に移動すると、緑の色彩に冷たさが出てくる。作例は色の濃さを抜くために、「ブラック」スライダーも左に移動している。場合によっては「イエロー系」のほうが効果的なこともある。

4、現場の「空気感」を再現する

(1)「自然な彩度」を選択する

微妙な現場の雰囲気(空気感)を出すには、彩度を強めて潜在的な色彩を引き出すと効果的。「レイヤー」パネルでいちばん上のレイヤー「特定色域の選択 1」を選択した状態で、下部の「新規調整レイヤーボタン」から「自然な彩度」を選択する。

(2)微妙な色彩を引き出す

「自然な彩度」スライダーを右に移動して、データとして記録されている微かな色彩を引き出していく。この微妙な色が「空気感」として感じられるようになる。

(3)全体の色調を確認する

全体の色を眺めると、先ほどの「自然な彩度」の影響により、周囲の緑が必要以上に鮮やかな状態。そこで、「自然な彩度」の効果を、「レイヤーマスク」を使い部分的な範囲に制限する。

(4)「グラデーションツール」を設定する

「レイヤー」パネルで、「自然な彩度」の「レイヤーマスクサムネール」をクリックして選択。レイヤーマスクに描画する機能として、ここでは「グラデーションツール」を使用する。①ツールパネルで「グラデーションツール」を選択したら、②「グラデーションピッカーを開く」ボタンをクリック。一覧から③「白黒」をクリックして選択。

(5)グラデーションを描画する

「レイヤー」パネルで「自然な彩度」の「レイヤーマスクサムネール」が選択されていることを確認し、補正しない部分から補正する部分に向けて写真上でドラッグ。これで、補正が徐々に適用される状態になり、緑の発色が自然に弱くなる。

さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO で連載中の「風景&ネイチャー レタッチの教科書」(解説・写真:桐生彩希)に掲載されています。サンプルファイルもダウンロードできますので、ぜひ挑戦してみてください!

  AUTHOR

Muneo Tochiya

1998年 9月 アドビ システムズ 株式会社に入社。マーケティング部に所属し、アドビのPhoto製品全般を担当。Photoshop のバージョン 5.5 から、Lightroomはベータから現行バージョンを担当。 「解りやすく、楽しく」をモットーに Photoshop 製品群の紹介をおこなう。