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フォトレタッチの極意17:逆光のシーンを美しく仕上げる

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逆光で狙った紅葉の大カエデ。肉眼では葉を透かした光がキラキラと美しく輝いて見えますが、撮影すると暗く沈んでしまいます。そんな状況を乗り切るため、レタッチで仕上げることを前提に撮影し、空の青さと紅葉したカエデの両方を美しく表現してみましょう。解説は、レタッチャー/ライターの桐生彩希さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載した内容から抜粋してお届けします。

 

Before
After(※クリックで拡大)

 

レタッチの設計

1、「Camera Rawフィルター」の準備をする

(1)「背景」をスマートオブジェクト化する

「背景」レイヤーを選択し、スマートオブジェクト化する。「背景」が「レイヤー0」になる。

(2)「Camera Rawフィルター」を表示する

「レイヤー0」を選択したら、「フィルター」→「Camera Rawフィルター」を選択。これで、「Camera Rawフィルター」画面が表示される。

2、「Camera Rawフィルター」で補正する

(1)逆光の暗さを緩和する

メインの被写体であるカエデの暗さを和らげる。暗い領域を明るくしたいので、「シャドウ」スライダーで補正していく。この段階では、完璧に補正するのではなく、周囲の明るさとバランスを取る程度でOK。実際は、(1)から(3)の調整を行き来して露出を追い込む。

(2)全体の露出を整える

全体の露出は、「露光量」スライダーで調整できる。作例は暗い(透過光の輝きが感じられない)状態なので、スライダーを右に移動して明るく補正。(1)から(3)の作業は、一度の調整で仕上げるのではなく、何度も微調整を繰り返してイメージする露出に仕上げていく。

(3)シャドウに締まりを出す

被写体の明るさはある程度改善されたが、シャドウに締まりがない印象。そこで「黒レベル」スライダーを左に移動して、もっとも暗い色を黒に近付けていく。このとき、色の変化を見るだけでなく、ヒストグラムの左端が枠から大きくはみ出ないようにすると不要な黒つぶれが避けられる。この調整が済んだら、もう一度(1)と(2)を微調整して露出を追い込んでいこう。

(4)鮮やかさを調整する

色が偏っているときは、この段階で「色温度」や「色かぶり補正」で補正する。作例は色の補正は必要ないので、続けて「自然な彩度」と「彩度」で鮮やかさを仕上げていく。青空の色にも着目しつつ、紅葉した赤い葉の繊細な立体感が失せないように注意しながら各スライダーを調整。補正できたら、「OK」ボタンをクリックして「Camera Rawフィルター」の作業を終了する。

3、空の青に深みを出す

(1)「特定色域の選択」を選択する

青や赤などの特定の色を繊細に補正するときは、「特定色域の選択」が効果的。そこで、青空の色彩はこの機能で仕上げていく。「調整レイヤー」として使用するので、レイヤーパネル下部の「調整レイヤー新規作成」ボタンから「特定色域の選択」を選択するか、「レイヤー」メニューの「新規調整レイヤー」→「特定色域の選択」を選択して機能を表示。補正画面が表示されたら、下部の設定を「絶対値」にしておく。

(2)青空に深みを出す①

「特定色域の選択」で空の青さを出す場合、「シアン系」と「ブルー系」に対して、「シアン」と「マゼンタ」を増加すればOK。まずは「カラー」から「シアン系」を選択し、「シアン」と「マゼンタ」スライダーを右に移動。シアンで澄んだ青さを、マゼンタで青の深みを調整するイメージだ。

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(3)青空に深みを出す②

次は「ブルー系」の調整。①「カラー」から「ブルー系」を選択し、先ほどと同様に②「シアン」と③「マゼンタ」スライダーを右に移動し、それぞれの成分を増加。(2)と(3)を行き来して、微妙な青さを再現する。

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4、露出を整える

(1)「レベル補正」を選択する

複数の補正を重ねると露出も微妙に変化するので、最後に微調整しておく。使う機能は「調整レイヤー」の「レベル補正」。レイヤーパネルでいちばん上のレイヤー(「特定色域の選択 1」レイヤー)が選ばれている状態で、下部の「調整レイヤー新規作成」ボタンから「レベル補正」を選択し補正の画面を表示する。

(2)露出を微調整して仕上げる

作例は少しだけ色の濃さを出したいので、暗めに補正して仕上げていく。「レベル補正」で暗めに調整する場合、中間調のスライダーを右に移動すればOK。これで、黒と白の明暗を変化させずに、明るさだけが補正できる。コントラストの微調整も必要なときは、「レベル補正」の代わりに「トーンカーブ」を使う。

Before
After(※クリックで拡大)

さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO で連載中の「風景&ネイチャー レタッチの教科書」(解説・写真:桐生彩希)に掲載されています。サンプルファイルもダウンロードできますので、ぜひ挑戦してみてください!

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Muneo Tochiya

1998年 9月 アドビ システムズ 株式会社に入社。マーケティング部に所属し、アドビのPhoto製品全般を担当。Photoshop のバージョン 5.5 から、Lightroomはベータから現行バージョンを担当。 「解りやすく、楽しく」をモットーに Photoshop 製品群の紹介をおこなう。