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フォトレタッチの極意19:明暗差をつけてダイナミックな風景に仕上げる

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写真を魅力的にするのは「色彩豊か」「大胆な色」「ダイナミックなコントラスト」といった要素。今回はその中から「ダイナミックなコントラスト」を活かして、薄曇りの早朝に撮影した写真をレタッチしていきます。解説は、レタッチャー/ライターの桐生彩希さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載した内容から抜粋してお届けします。

 

Before
After

レタッチの設計

1、「Camera Rawフィルター」の準備をする

(1)「背景」をスマートオブジェクト化する

「背景」レイヤーを選択し、スマートオブジェクト化する。「背景」が「レイヤー0」になる。

(2)「Camera Rawフィルター」を表示する

「レイヤー0」を選択したら、「フィルター」→「Camera Rawフィルター」を選択。これで、「Camera Rawフィルター」画面が表示される。

2、「Camera Rawフィルター」で明暗を補正する

(1)ハイライトの強さを決める

コントラストの弱い状態を改善する。「白レベル」スライダーを右に移動してヒストグラムの山の右端を右に延ばし、枠に接する程度に調整。

(2)シャドウの暗さを決める

シャドウに締まりを出すため、「黒レベル」スライダーを左に移動してもっとも暗い色をさらに暗く補正。ヒストグラムの山の左端は左枠に接している(階調がつぶれていない状態)が、陰の濃さをさらに強調するため、多少の黒つぶれは許容しつつより暗い状態を目指す。このような補正を行なう場合、ヒストグラムパネル左上の「▲」をクリックしてシャドウの警告を表示しておくと補正しやすい。

(3)露出を補正する

白と黒のレベルを決めたら、次は全体の露出を補正する。ポイントはハイライトかシャドウの「どちらかに合わせて」補正する点。作例はシャドウの暗さが出る露出に調整し、明るくしたい領域(手前の草原)は後の部分補正で対処することにする。

(4)コントラストを補正する

明暗差を作り出したいので、「コントラスト」スライダーを右に移動してコントラストの強い状態に補正。この後に「色温度」や「彩度」の補正を行なうため、ヒストグラム的に多少の余裕を残した状態にしている。

(5)シャドウの濃さを整える

目指す仕上がりは、光と陰が印象的に描写された状態。そこで、画面奥の暗い陰の濃さをぎりぎりのレベルまで暗く補正する。使う機能は「シャドウ」スライダーで、これまでどおり、黒い中にわずかに濃淡が感じられる暗さに仕上げる。

3、「Camera Rawフィルター」で色を補正する

(1)「色温度」でイメージする色に近付ける

引き続き、「Camera Rawフィルター」で作業を行なう。作例は草紅葉の色を出したかったので、暖色系になるように「色温度」スライダーを右に移動。必要に応じて、「色かぶり補正」スライダーでグリーンとマゼンタのバランスも補正する。

(2)「彩度」で色の乗りを補正する

色の乗りや発色を補正する機能が、「彩度」と「自然な彩度」スライダー。それぞれのスライダーを右に移動して鮮やかな状態に補正。「彩度」スライダーで全体を鮮やかにしてから、「自然な彩度」スライダーで不足した鮮やかさを補うと補正しやすい。

4、「Camera Rawフィルター」で明暗差を作り出す

(1)「段階フィルター」を選択する

画面上部にある「段階フィルター」ボタンをクリックすると、画面右に「段階フィルター」パネルが表示される。「露光量」スライダーの右にある「+」ボタンをクリックして、明るく補正されるように設定する。補正する部分がよく分かるように、一時的に強めの設定にしておく点がポイント。

(2)部分補正を行なう範囲でドラッグする

写真の上で、「補正する部分」から「補正しない部分」に向けてドラッグ。これで、直線的なグラデーション状に設定した補正(ここでは露出のプラス補正)が適用される。

(3)補正の範囲を調整する

補正を強めに設定しているので、補正の範囲が分かりやすい状態になっている。そこで、緑と赤の●をドラッグして補正する範囲を適切な位置に調整。下部の草原が明るく、奥の陰は暗いままの状態(画面内に明暗差を作り出す)を目指し、補正が自然に変化する位置に移動。

(4)露出の補正量を再調整する

「露光量」の補正値を再調整して、イメージする明るさに仕上げる。明暗の変化を確認しながら「露光量」スライダーを移動して、画面奥の陰の暗さに対して手前のハイライトの明るさが際立って見える状態を目指す。

(5)発色をよくする

明るく補正すると色が薄く感じられるようになるので、これを改善する。使う機能は「彩度」スライダー。スライダーを右に移動して鮮やかさを強め、発色のよい状態に補正する。

(6)「かすみの除去」で立体感を高める

部分補正を行なった手前の部分は、草紅葉の繊細な描写がポイントとなる。そこで、「かすみの除去」スライダーを右に移動して、細部に濃淡が感じられる状態に補正する。色の濃度も高まるため、こってりとした色調に仕上げられる。

(7)「Camera Rawフィルター」を確定する

ひと通りの作業を終えたら、補正のバランスを確認。全体に適用した補正を再調整するときは、画面左上の「ズームツール」か「手のひらツール」ボタンをクリックして、「基本補正」ボタンでパネルを表示すればOK。すべての作業が完了したら、「OK」ボタンをクリックして「Camera Rawフィルター」の内容を確定する。

5、「レベル補正」で露出を仕上げる

(1)「レベル補正」を選択する

部分的な補正を行なうと、シャドウやハイライトのレベルを適切に仕上げにくいこともある。明暗差を生かした仕上がりにする場合は、シャドウもハイライトも階調がつぶれる寸前まで強めたいので、最後に「レベル補正」でシャドウとハイライトの強さを補正する。

(2)黒と白と露出を仕上げる

ハイライトの△スライダーを左に移動して、まぶしさを強調。Alt(MacはOption)キーを押しながらスライダーを移動すると、白とびしている部分が確認できるので、「白」の面積が広がらず、かつ色付きの面積が多少表示される程度にすると光の強さが感じられる仕上がりにできる。必要に応じて中間調(中央のグレーの▲)スライダーで露出を仕上げる。

6、効果的な範囲でトリミングする

(1)「切り抜きツール」を選択する

作例は画角が少しワイドで陰の領域が少なく、明暗差がもの足りない状態。そこで、光と陰が効果的に見える位置でトリミングを実行する。ツールパネルの「切り抜きツールで、切り抜く比率を「元の縦横比」にしておく。トリミングをやり直す可能性があるときは、「切り抜いたピクセルを削除」のチェックを外す。

(2)切り抜きを実行する

「切り抜きツール」を選択すると、写真の周囲に枠が表示される。その四隅や四辺をドラッグして切り抜く範囲を設定。「〇」ボタンをクリックして切り抜きを実行する。作例は、明るい範囲に対して暗い範囲が少ない状態なので、暗い範囲が広くなる(明るい範囲を省く)ように切り抜き枠を調整している。

Before
After

さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO で連載中の「風景&ネイチャー レタッチの教科書」(解説・写真:桐生彩希)に掲載されています。サンプルファイルもダウンロードできますので、ぜひ挑戦してみてください!

 

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  AUTHOR

Muneo Tochiya

1998年 9月 アドビ システムズ 株式会社に入社。マーケティング部に所属し、アドビのPhoto製品全般を担当。Photoshop のバージョン 5.5 から、Lightroomはベータから現行バージョンを担当。 「解りやすく、楽しく」をモットーに Photoshop 製品群の紹介をおこなう。