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フォトレタッチの極意22:霞んだ雲海を立体的に仕上げる

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今回は、幻想的に広がる雲海の光景を取り上げます。ただ、遠景の撮影は、霞の影響でコントラストの弱い写りになってしまうことが多いので、そこを改善してクリアな色調に仕上げましょう。解説は、レタッチャー/ライターの桐生彩希さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載した内容から抜粋してお届けします。

 

Before
After(※クリックで拡大)

レタッチの設計

1、「Camera Rawフィルター」の準備をする

(1)「背景」をスマートオブジェクト化する

「レイヤー」パネルで「背景」レイヤーを選択し、スマートオブジェクト化する。「背景」が「レイヤー0」になる。

(2)「Camera Rawフィルター」を表示する

「レイヤー0」を選択した状態で、「フィルター」→「Camera Rawフィルター」を選択。これで、「Camera Rawフィルター」画面が表示される。

2、「Camera Rawフィルター」で補正する

(1)シャドウに締まりを出す

まずは、淡い色調に締まりを出すため、黒が黒くなるように調整する。この作業は、①「黒レベル」スライダーを左に移動すればOK。この段階では完全な黒にはせず、②ヒストグラムのシャドウに余裕のある状態にしておく。

(2)雲海の白さを際立たせる

次は、雲海の白さを際立たせていく。使う機能は①「白レベル」で、スライダーを右に移動すると白に近い色がより明るく補正できる。(1)と同様に完全な白にはせず、②ヒストグラムのハイライトに余裕のある状態にしておくこと。作例は暗めの調整が必要だったため、シャドウ側に多めの余裕を残している。

(3)イメージする露出に近付ける

黒と白の調整が終わったら、全体の明暗をイメージに近付けていく。作例はイメージよりも明るい印象なので、①「露光量」スライダーを左に移動して暗めに調整。②ヒストグラムの左端がはみ出るようなら、③「黒レベル」スライダーを右に移動して黒つぶれを回避しておく。白さが足りなくなったら、④「白レベル」スライダーを調整しておく。

(4)シャドウの締まりを仕上げる

シャドウとハイライトの微妙な濃淡を仕上げていく。まずはシャドウから。作例はシルエット状に見える手前の森の黒さを出したかったので、「シャドウ」スライダーを左に移動してシャドウを少し暗めに調整。もっとも手前の森と色の差を残し、異なる濃度で立体的に感じられるようにしている。

(5)ハイライトの質感を仕上げる

明るい領域である雲海の濃淡は、「ハイライト」スライダーで調整する。作例は雲海に朝日が当たっている状態なので、輝きを出すために「ハイライト」スライダーを右に移動して少し明るく調整。

(6)色の乗りをよくする

色の乗りをよくするため「自然な彩度」と「彩度」スライダーを右に移動して発色を高めている。風景写真で「彩度」を強めるときは、鮮やかにするというよりも「色の濃度を高める」と考えると自然な色調に仕上げやすい。

(7)霞を軽減する

もやもやした状態を改善したいので、「Dehaze」(最新バージョンでは「かすみの除去」)スライダーを右に移動してクリアな色調に調整。雲海の中の木立に着目し、少し濃く見える(=立体感が出る)ように仕上げている。作業が終わったら、④「OK」ボタンをクリックして「Camera Rawフィルター」の設定を確定。

3、トリミングして仕上げる

(1)「切り抜きツール」で切り抜く

最後に、画面上部の単調な部分をトリミングで削除する。ツールパネルから「切り抜きツール」を選択したら、オプションバーの「切り抜いたピクセルを削除」のチェックを外す。比率を「3:2」に指定し、枠内をドラッグして切り抜き範囲を調整。切り抜き枠の周囲のハンドルをドラッグして大きさを変えてもOK。範囲が決まったら「○」ボタンをクリックして確定する。

Before
After(※クリックで拡大)

さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO で連載中の「風景&ネイチャー レタッチの教科書」(解説・写真:桐生彩希)に掲載されています。サンプルファイルもダウンロードできますので、ぜひ挑戦してみてください!

  AUTHOR

Muneo Tochiya

1998年 9月 アドビ システムズ 株式会社に入社。マーケティング部に所属し、アドビのPhoto製品全般を担当。Photoshop のバージョン 5.5 から、Lightroomはベータから現行バージョンを担当。 「解りやすく、楽しく」をモットーに Photoshop 製品群の紹介をおこなう。