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ビジュアルトレンド:繊細なデジタルアート

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社会のオートメーション化がますます進んできたことに対する反動として、人々は手仕事に引き寄せられています。プロのデザイナーにとって、このトレンドはテクノロジーを遠ざけるのではなくむしろテクノロジーを取り込んで活用する絶好の機会かもしれません。これまで当たり前だった美術とデジタルアートの境界は曖昧になりつつあり、タブレットや Apple PencilSurface ペンなどの新ツールの登場により、細部への更なるこだわり、より精巧な筆のタッチ、いっそうきめ細かな質感への期待が膨らみます。テクノロジーとクリエイティビティが交差する場所にあるデジタルアート。それはこれまで以上にリアルかつ繊細で、奥深いアートといえます。

EUGENE ZANDO / ADOBE STOCK

アナログからデジタルへの移行

 アーティストの多くは、鉛筆と紙でスケッチをしたり、絵の具でキャンバスに絵を描いたりといった昔からのアナログ的な道具を使う訓練を受けているので、デジタルへの切り替えはなかなか厄介かもしれません。ただ、デジタル写真から絵を描く、あるいはスケッチをスキャンするなど、はじめからアナログとデジタルを組み合わせて素晴らしい作品を作り上げてきた人たちもいます。そして今、デジタルツールを使わないなどあり得ないという新しい世代が、いよいよ本領を発揮しつつあります。

デジタルツールを選ぶアーティストは増え続けています。それは、コンピュータの処理能力やテクノロジーが日進月歩だというだけでなく、クリエイティブな可能性や方法に革新性をもたらしてくれるからです。Filip Hodasはこのことをよく理解しているアーティストの一人。3D デジタルアートを専門とする彼は、自然でありながらシュールでもあるシーンを作りあげます。ちょうど絵画が写真に取って代わられずに、ひとつの表現手段として存続しているように、デジタルアートも、あらゆるアート作品を探求しているオリジナリティ溢れるアーティストたちを中心に、独自の表現手段となりつつあります。

Filip氏がAdobe stockを用いてどのようにこのデジタルアート作品を仕上げたかは、Create Magazineでご覧いただけます

テクノロジーが叶えるリアリティ

デジタルの表現手段は、創造性を無限に広げ、クリエイターに力を与えます。形や質感は透明のレイヤーに描かれ、半透明色の表面やさらに細かなテクスチャのデザインにするために結合、再加工が可能です。たとえば、Adobe Stock のコントリビューター、Natalia Hubbert の作品を見ると、Photoshopで素朴な古びた雰囲気を演出するため、背景にフィルターをかけたり、レイヤーを重ねたりしています。各イメージは簡単に修正ができるので、鮮明な背景にさらなる空間の奥行を与え、極細部まで表現した精緻な作品を制作することができます。

NATALIA HUBBERT / ADOBE STOCK

画期的なデジタルツールは、複合的な作品や継ぎ目のないデザインを制作する現場で活躍しています。そのひとつが筆圧感知機能付きのグラフィックペンタブレットであり、かつてないほどの精度レベルやディテールへのこだわりを叶え、デザインにおいてより直観的な使い方ができるようになりました。きれいな抽出方法からシームレスな融合までもが可能となり、アーティストは、明るい色彩や緻密な質感の繊細なデザインを生み出すことができ、プロとしての芸術のクオリティが一段と向上します。

LERA_EFREMOVA / ADOBE STOCK

薄れつつある境界

Photoshopでアート風の画像編集を行えば、デザイナーが絵のような画質を作ることも可能です。グラデーションがかかった表面に繊細な筆のタッチを施せば、オリジナリティのある際立ったグラフィックデザインに。アナログとデジタルの融合が、きめ細かなテクスチャと絶妙なカラースキームを実現し、より表情豊かなディテールを生み出します。Adobe にとって一番の関心事はまさにここにあり、最新の革新的プロジェクト Stylit and Wetbrush は、スケッチや絵などの手描きの質感と特性を再現することを追求したものです。

SUNNYS / ADOBE STOCK

コンピューターでアートを創作するというと、難しそうな印象を持たれるかもしれません。しかし、緻密なフラクタル曲線であれ、グラフィックタブレットに描かれたイメージであれ、アート風のデジタル画像編集は、デジタル芸術の新領域になりつつあります。テクノロジーは偉大なる破壊者。アートの世界におけるデジタルとアナログの境界線はなくなりつつあります。新たなツール、新たな複合的制作技法、高まる期待に後押しされ、クリエーターは自分が求める色彩、質感、細部をこれまで以上に自由に表現することができます。

VALI_111 / ADOBE STOCK

繊細なデジタルアートのさらなる作品はこちらのギャラリー をご覧ください。手描き風のスケッチや彩色の質感と特性をぜひ体感してみてください。なお、皆様の作品をAdobe Stockで販売いただくには、コントリビュータープログラムをご確認ください。また、こちらの「Adobe Stockにコンテンツを投稿」より、Adobe Stockの始め方についての詳細も併せてご覧ください。みなさんからの素敵な作品をお待ちしております!(この記事は2017年2月6日に Adobe Stock Team により作成&公開されたJanuary Visual Trend: Digital Art Gets Delicateの抄訳です)