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そのUXの通説は迷信?偽りを暴くUX通説バスターズ!

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「ミニマルはシンプルである」「モバイルユーザーは気が散っている」「ホームページは一番大事なページだ」、これらは、Zoltán GóczaZoltán Kollinは断じて真実ではないと断言しているデザインの通説の例です。2人のUXデザイナーは、UXに関する通説の真偽を見極めるために時間を捧げ、調査活動やデータを元に、どの説が現実に即しているかを明らかにしてきました。彼らは、UXデザイナーがよりよい判断をする助けになるよう、UX Mythsというサイトを立ち上げました。 Zoltán Góczaに、いくつかの通説についての話と、UX通説バスターズであることの彼にとっての意味を聞いてみました。

あなたはより良いUXデザインのために奉仕しています。あなたのキャリアはどのように始まりましたか?

私はスタートレックを見て育ちました。マイケル・オクダがシリーズのためにつくった美しいGUIに魅了されながら。そして、私は90年代の魔法のスキルを持っていました。ビデオレコーダーのタイマーを設定できたのです(この機能については、最初のブッシュ政権が取り組んだことでも知られています)。ですから、デジタルの世界へは一直線でした。私はデザイン会社を始めて、次に製品を開発する会社に移り、後に自身のスタートアップ企業を起業しました。そうした異なる環境で働くことは気をくじかれる体験でした。現在、スイスのフィンテックの新興企業で、UXデザインとリサーチを率いています。

今日のデザイナーに最も影響を与えているUXの通説は何でしょう?

ミニマリズムをシンプルさと称するるのは、間違いなくリストの上位です。実際、シンプルさは製品の成功の主要な要因ですが、一般に過度な単純化と混同されます。その結果、しばしば隠れた複雑さが発生し、操作や認知の負荷を増加させます。2つ目は、「提供すれば誰かが使う」という、モバイルアプリが流行った時の考え方の再来です。もはや2012年ではありません。モバイルの利用率はいまだ増加傾向ですが、ほとんどの時間はほんの一握りのアプリが使われており、新しいアプリがダウンロードされることはごく稀です。

画像提供:Alessandro Giammaria

3つ目は、広い視点を犠牲にしたUIのごく小さな細部への拘りです。デザインのドリブル化 (dribbblisation) としても知られています。もちろん、巧みに行われた細部への配慮は歓迎すべきことです。しかし、真にデザインを考えるより先に見かけに拘ったなら、プロジェクトを完全に台無しにします。結果は、大量の美しいけれども失敗した製品の山です。ビタミンCが風邪に効く、も追加しておきましょう。

こうした誤解を取り上げてUX Mythsサイトを始めようと決めた理由は何でしょう?

UX Mythsは、我々のかゆいところに手が届きます。デザイン会社に勤める者の共通の問題は、同じ誤解ついての説明を、顧客に延々と繰り返し行わなければならない事です。私達は、その非効率さにイライラしていました。

そこで、個人的な信念に基づいて、同じ課題に直面しているデザイナーが参照できるものを提供し、こうした議論を終わらせることに着手しました。デザインの改善や効率化に関しては、支援の効果はすぐに現れました。しかし、より重要な目標は、実証に基づく手法の重要性、そして批判的思考の価値について、人々を納得させることだと考えています。私の意見では、これは日々のUIのひらめきよりもずっと重要なことです。

UX Myths

読者から得ているフィードバックも、我々が何か重要なことをしていると確信させるものです。UX Mythsは数百万人の訪問者を集めました。12の言語に翻訳され、ポスターがつくられ、印刷された本としてさえ出版されました。

デザインの通説はどんな害を与えるのでしょう?

通説が有害なのは、深く定着し、教義として扱われることです。私達はそれらを早道として使い、「何故?」と問うことを止めてしまいます。そうして、的外れの結果に終わるのです。もう一つの問題は、こうした通説にデザイナーが気づいている場合でも(大抵はこのケースですが)、外部のクライアントやエンジニアや製品のオーナーと働く際、その呪いを解くために、大量のエネルギーと時間が必要になることです。どんなプロジェクトでもこれは損害で、本当に取り組むべき問題への注力を奪います。

どのようにしたらUXデザイナーは情報に基づいたより良い決断ができるようになるでしょう?

UXデザイナーが情報に基づいたデザインの最適化をするために、日々使える手法やツールはたくさんあります。我々デザイナーは正しい方向に向かっていると思います。

とはいえ、常に繰り返す価値のあることも存在します。

  • 好奇心を持ち、学ぶこと。A/Bテスト、インタビュー、アンケートであれなんであれ、ユーザーからのフィードバックがない日は無駄な日として扱う
  • 自分のデスクを離れ、昔ながらの調査をし、人々と会話したり観察する
  • 確認したい仮説と質問を常に持つ。さもなければ、多くの時間を無駄にすることになる
  • 発見は文章化し、組織全体と共有する。確固とした事実に人々が反応する様子を見るのは元気付けられる
  • 最後に最も重要なのは、自分の直感とアイデアに自信を持ち、しかし間違いに終わることを予期すること。アンドルー・グローヴの言葉のように「強い信念を弱く持つ」を心がける

他のUXの通説はZoltán GóczaとZoltán Kollinのサイトで確認できます。


この記事はDebunking Common UX Myths With The UX Mythbusters(著者:Patrick Faller)の抄訳です

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akihiro kamijo

アドビのコンサルティングチームでリードアーキテクトとして主にUIデザインプロジェクトに関わる。現在は独立してデザイン/開発に関連のマーケティング企画や情報発信、プロジェクト支援を行っている。