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ユーザーをより良く理解するための共感図(Empathy Map)のデザインの仕方

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共感図は、製品やサービスを使用しているユーザーの考えや感情を理解する手段のひとつです。ユーザーのニーズや行動の背後にある「論理」を幅広く理解するために役立ちます。

Adapting empathy maps for UX design: Paul Boag (@boagworld)

共感図の中には、以下の項目を定義します。

  • タスク – ユーザーがこなすべき作業は何か?答えなければならない質問は何か?
  • 感情 – ユーザーは体験をどのように感じているか?彼らにとって重要なものは?
  • 影響 – ユーザーの行動に影響を与える可能性がある人々、物事、場所はあるか?
  • 障害 – ユーザーが乗り越えたい体験中の障害が何があるか?
  • 目標 – ユーザーの最終的な目標は何か?彼らは何を達成しようとしているか?

これらの設問への解答は、ユーザーインタビューセッションやユーザー調査における、ユーザーとの対話に役立つでしょう。

ユーザーインタビュー

共感図を作成する利点のひとつは、プロジェクトの外の人々との会話の機会を持てることです。プロジェクト関係者は、それぞれの立場に応じた固有の考えや偏見を持ち、ユーザーの必要性や期待を考慮する前に解決案を形づくろうとしがちです。
そのため、プロジェクト関係者の目的達成とユーザーの必要性のバランスを取るのは、困難で集中を必要とする作業です。

ユーザーには___するためのより良い方法が必要だ、なぜなら___。の「なぜなら」に続く箇所が大きな意味を持つのだ。
スタンフォード d.school Dr. James Patell

UXデザイナーは、ユーザー調査や情報収集の一環として、インタビューに習熟しましょう。ユーザーと直接話すことで、彼らの動機を見通す一助となるでしょう。デザインされるべき「解決手段」は、ユーザーの必要性や隠れ持つ不安に応え、ユーザーの意思や状況に沿ったものでなければなりません。ユーザーが心に抱く論理を見出すことは、ユーザーインタビューの主要な目標です。

分類されて張られた付箋: We Are Catalyst

ユーザーから得られた応答は、付箋に書いて共感図の適切な領域に貼り付けます。応答によっては、さらなる調査や研究が必要なものもあるかもしれません。しっかりと内容を評価して、引き続き作業が必要な応答を確認しましょう。不明な領域を残さないために幅広い応答を集め、誤解を防ぐために深い応答も集めることに留意しましょう。

ユーザーの「なぜ」、「いつ」、「どこで」?

ユーザーの論理、すなわち、「なぜ」を理解すると、ユーザー体験に意味のある影響を与え、ユーザーのインタラクションへの期待に応える、デザインへの繊細な変更に役立つ手がかりを得られます。ラベルやインタラクションの変更は、製品やサービス「凡庸」から「格別」な価値を与えるものへと引き上げることができるものです。

また、ユーザーが製品やサービスを利用する条件や状況を示す「いつ」や、アプリを操作する空間的あるいは時間的な側面と関連する「どこで」を理解することも重要です。

こうしたすべての要因が、共感図の完成に役立つでしょう。

Foodoraの共感図: Nico Abias

ユーザーの目標

ユーザーの目標の理解は、製品のユーザー体験の強化に役立ちます。例えば、情報を通知されたい(今、銀行の口座にはいくら残ってる?明日の天気はどうなるんだっけ?)というのは一般的なユーザーの目標の例です。また、楽しみたい、好奇心を満足させたい、懸念を解決して欲しい(この注文に間違いは無い?注文はちゃんと発送された?)なども同様です。

ピザを注文する際、「最後の注文を繰り返す」ボタンを使う動機としてあり得る例を挙げるなら、渇望(そのピザが待ち遠しい)、利便性(自分で調理は面倒くさい)、感情的な必要性(ピザを食べると気分が良くなる)などが候補です。

共感図の使い方

共感図は、ユーザーインタビューの構成を考えたり、 ユーザーの動機や目標や期待を洞察する際に、状況に応じて整理できる枠組みとして有効な手段です。精査すれば、製品やサービスを利用するユーザーが「なぜ」「いつ」「どこで」使う可能性があるのか理解するのに役立ちます。

ユーザーの目的に焦点を当てれば、デザイン案がユーザーの期待に応えているかを量る指標として利用できます。


この記事はHow to Design Empathy Maps to Better Understand Your Users(著者:Andrew Smyk)の抄訳です

  AUTHOR

akihiro kamijo

アドビのコンサルティングチームでリードアーキテクトとして主にUIデザインプロジェクトに関わる。現在は独立してデザイン/開発に関連のマーケティング企画や情報発信、プロジェクト支援を行っている。