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Adobe XDのUIキットWiresを制作したUXデザイナーに聞く:ダッシュ・ポンセ・デ・レオンとUI8チーム

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Wiresは、Adobe XD用につくられた無償のワイヤーフレーム構築キットです。すぐに利用可能な240のコンポーネント、178のアイコン、170のモバイルテンプレート、90のWebテンプレートが揃い、色やフォントをカスタマイズしながら、素早くワイヤーフレームを作成できます。


どんなに経験豊かなデザイナーでも、空白の画面を眺めて、「さて、何から始めたらよいものか?」と考えることはあるでしょう。ダッシュ・ポンセ・デ・レオンもその一人です。20年近く様々なデジタル分野の仕事をしてきた彼は、UI8に適所を見つけました。UI8は、彼が共同設立者でもあるオンラインハブで、UXやUIのプロ向けのワイヤーフレームやアイコンやテンプレートなどのリソースを提供するサイトです。ダッシュと彼の世界中に散らばるチーム8人に、UX/UIデザインに関する話題、Wiresの開発の背景などについて聞きました。

どのようにしてUX/UIデザインを始めることになったのでしょうか?

ダッシュ: 私はこれまで18年ほどデザインに関わってきました。最初の頃は3Dにとても興味がありました。今でも3Dはイラストやアニメーションを中心にいろいろとつくりますが、当時と比べると簡単な仕事です。昔は、ごく単純な描画でも数日かかる作業でしたが、今はずっと容易に短時間でできます。

2000年代になってFlashがあらゆるサイトに使われた頃にWeb開発やデザインを始め、ECサイトなどいくつものサイトを構築しました。そして、2007年頃からモバイルの仕事が本格的に増えました。現在も同じ状況で、これからも当面の間、モバイルには大きな需要があるのではないかと思います。

私自身は、自分の本分はデザイナーだと思っていますが、UI8ではいくつもの役割を担っています。UI8はクライアントのための仕事をする会社として始まり、その後、約3年前から開始した社内プロジェクトが、デザイナーのためのオープンなマーケットへと進化しました。私の希望は、これらの全ての場面にできるだけ関わることですが、通常は、クリエイティブ・ディレクター兼プロジェクト・マネージャーとして働いています。

あなたをあっといわせたUX/UIの作品は誰のものでしたか?

UI8チーム: 世界中の何百ものクリエイターに刺激されている状況で、誰か一人を選ぶのは不公平でしょう。しかも、常に新しいタレントが登場して、作品を発表しています。彼らにはとても刺激されますし、その中で優れた存在でありたいという気持ちにさせられます。

ダッシュ: もし一人に絞らなければならないのなら、私はジェフ・ハンを選びます。細部への気配りと、作品に込められた感情はとにかく際立っています。私にとって彼は、常に素晴らしいインスピレーションが湧き出る泉です。

Vimeo ElasticよりHBO Westworld – メインタイトル

クリエイティブな仕事をしているときのお気に入りの音楽は?

ダッシュ: 色々なジャンルの音楽を聞きますが、80年代や90年代のエレクトロニックが多いです。

Adobe Creative Cloudはどのように活用していますか?

UI8チーム: WebやモバイルアプリのUX/UIを主に扱うクリエイティブチームとして、アドビのCreative Cloudは、もう何年もワークフローの中の欠かせない存在でした。Adobe XDが追加されたことで、今では、デザインプロセスの全ての局面で利用しています。Adobe XDの、デザイン機能とプロトタイプ機能は、我々の制作ワークフローを一段階引き上げてくれました。定期的な更新による機能の追加は、このツールの将来をとても楽しみにしさせてくれます。

Adobe XD専用のワイヤーフレームキットであるWiresをつくる過程はどんなものでしたか?

ダッシュ: 私達はアドビと既に3年ほど異なるプロジェクトで協業してきました。そしてWiresのようなデザインアセットをAdobe XDのためにつくる程に我々の関係は成長しました。

私達がWiresに託した第一の目的は、新しいユーザーがすぐに始められるようにすることです。空のカンバスを目の前に開いて戸惑ったとしても、カスタマイズ可能な何種類ものコンポーネントをドラッグ&ドロップするだけで、すぐに画面の構築を始められます。モバイルとWebそれぞれにUIテンプレートが用意され、簡単に作業が開始できるようになっています。

WiresはモバイルとWeb用の無償のワイヤーフレームUXキット。Adobe XD専用につくられた。すぐに利用可能な240のコンポーネント、178のアイコン、170のモバイルテンプレート、90のWebテンプレートを使って、すばやくアイデアをデザインに落とし込める

これらの柔軟でカスタマイズ可能な部品を組み合わせて作業すれば、デザイナーの仕事はずっと効率的になるでしょう。整然としたワークフローの確立は、デザイナーにとって大変価値のあることです。根本的な問題解決のための作業に集中するには、余計な手間を減らして整理された視点を保つことが役立ちます。

UX/UIデザイナーに興味がある、クリエイティブな人達に何か一言お願いできますか?

ダッシュ: UX/UIデザイナーは大勢いますが、問題解決をしている人が少ないように思います。もしこの分野に参入するなら、ユーザビリティーや最適なユーザー体験のパターンを学ぶことに注力しましょう。美しさはとても重要ですが、問題の解決が第一であるべきです。

UI8チーム: それから、「完全な」デザインは存在しないと意識することが重要です。常に改善の余地は存在します。常に学び、常に作業を繰り返し、常にばかげたアイデアに耳を傾けるべきです。ユーザーの立場に身を置き、批評や批判を、良いものも悪いものも受け入れて、自分の仕事のために利用しましょう。全く計画通りに行かなくても落ち込む必要はありません。なぜなら予定通りになることはほとんど無いからです。つまるところ、良いデザインは何回も繰り返される作業と共に進化するものです。一夜にして出来上がるものではありません。

潜在的な対象ユーザーの考え方を理解するためにどうしていますか?

ダッシュ: 今どきは、クライアントは解決して欲しい課題をはっきりと定義してから依頼に来ますし、ユーザーのデータも整理済みものが提供されます。既存製品なら、ユーザーが実際に使う場面で質問したやり取りの記録を渡されたることが多いです。こうしたフィードバックやデータは、デザインの方向性を決め、作業を正しい方向に進める役に立ちます。クライアントによって、完璧に出来上がった状態で公開したがったり、少しずつ段階的に改善する余地があったりしますが、市場の状況に合わせてやり方を選択します。

UX/UIデザインの将来を考えたときに、最も楽しみに思うことは何でしょう?

UI8チーム: 今までに見たことのないユーザビリティのパターンを思いつくなど、私達はいつも何か新しいものの創作を楽しんでいます。しかし、最も興奮する事実は、私達が作るものが、数千の、場合によっては数万の世界中の人に使われるかもしれないということです。これはやや怖さを感じる挑戦ですが、それが大好きです。


この記事はMeet the UX Designers: Dash Ponce de Leon and the UI8 Team(著者:)の抄訳です

  AUTHOR

akihiro kamijo

アドビのコンサルティングチームでリードアーキテクトとして主にUIデザインプロジェクトに関わる。現在は独立してデザイン/開発に関連のマーケティング企画や情報発信、プロジェクト支援を行っている。