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@yhassyの週刊UX : 海外で話題になったUX最新情報 その9 | アドビUX道場 #UXDojo

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毎週、海外で話題になっているUX関連の情報をピックアップ。今すぐに役立つ情報から、将来の動向を予感させる学びのある記事までダイジェストで紹介します。今週の気になるトピックはこちら4つ。

ユーザーの権利を守るためのデザイン

Ethical Design: The Practical Getting-Started Guide

「倫理」と聞くととどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?デザインと直結していないように見える倫理ですが、そんなことはありません。ユーザーのために良いWebサイトやアプリを設計しているつもりでも、倫理に欠けるとユーザーに負荷を与える場合があります。

Facebookのアカウント利用解除画面は良い例です。解除画面には何枚かの友達の写真が掲載され「寂しがっている」という言葉が添えられています。アカウントを停止したいユーザーに対して、思い留まらせようとしています。これは「ユーザー数を減らしたくない」というビジネスの課題の解決方法をデザインによって提供しているとも言えますが、一方ではユーザーに不快な思いをさせています。不必要なステップを踏ませたり、退会する方法がとても分かりにくい事例は他にもたくさんあります。

髪の毛が画面上に落ちているような演出の画像を作って、ユーザーにスワイプさせようとするInstagram広告もあります。無視されがちな広告に注目してもらうための工夫と評価することはできるものの、騙されてサイトに誘導されたユーザーはその体験をどう感じるでしょうか。
素敵な見た目や、魅力的な演出はデザインにおいて欠かせない要素です。しかし、ハッとするような体験をデザインする前に、ユーザーの権利を尊重するデザインを考えるべきではないでしょうか。

欧州連合(EU)では、5月末からEU一般データ保護規則(GDPR)が適用されます。これは、EU市民と居住者が自分の個人データをコントロールする権利を取り戻すことを目的とした規則です。日本ではこうした規則がまだありませんが、個人データの扱いは重要な課題です。データの扱い方をうまくデザインする必要も出てきます。

Ethical Hierarchy of Needs の意訳 (licensed under CC BY 4.0) (出典: Indie)

プライバシーをはじめとしたユーザーの権利を守ることは、デザイナーひとりで解決できる問題ではありません。Smashing Magazineの記事では、以下の4つのポイントからHCDアプローチへの移行を提案しています。

  1. ユーザーが実際使っているところを関係者に見てもらう
  2. ユーザーが実際にどのような生活をしているのか知る
  3. 持続的にテストができる環境をつくる
  4. 常に「なぜ?」と問いかけるようにする

何かしらビジネスに対する成果を求められる現在のデザインですが、それだけを追い求めると倫理性を損ねるデザインになる可能性があります。ユーザーを魅了するだけでなく、彼らを守るためのデザインをするのも私たちの役割です。

専門用語のおさらいに

52 Research Terms you need to know as a UX Designer

デザイナーでも様々な役職の方とコミュニケーションをとらなければいけません。そのとき、用語が分からないが故にうまく伝わらないことがあります。ユーザー調査で使われている用語にもデザイナーが知っておきたいものは少なくありません。この記事では、調査に関わる代表的な用語が 52 紹介されています。中には「アクセシビリティ」「ペルソナ」などデザイナーに馴染み深い言葉もありますが、少し珍しい用語も幾つかあります。

  • Clickstream Analysis : ユーザーが穂門下ページやその順番などの一連の履歴情報の解析
  • Diary Study : ユーザーの日常・体験を記録する定性調査
  • Ethnography : 観察やユーザーインタビューから、実生活における人々を調査
  • Fishbone Diagram : 魚の骨のように問題とその要因の関係を視覚化する手法
  • Gestalt Principles : 人は物を個別に見るのではなく、全体の一部として捉える傾向があるという考え方
  • Hick’s Law : 選択肢が多いと、意思決定の時間が増えるという法則
  • Likert Scale : 提示された文にどの程度合意できるかを回答するアンケート手法のひとつ
  • Representative Sampling : ランダムに人選するのではなく、調査対象を代表する人を選んで行う調査方法

素敵なオフィスだからストーリーがある

Designed Space – The culture of design studios

海外のデザインオフィススペースが視れるギャラリーサイト。こういうタイプのサイトは以前からありましたが、Designed Spaceが特徴的なのは、どのようにオフィススペースが生まれたのか丁寧に紹介されている点です。

Designed Spaceより。Random Studio のオフィス

例えば、アムステルダムのデザイン事務所「Random Studio」は、デザインオフィスによくある主張が強い空間ではなく、アットホームさを大事にしたそうです。建築家 フランク・ロイド・ライト のスタイルや、たくさんの植物を活かしたインテリアなど、ひとつひとつが「アットホーム」というコンセプトと結びついています。

インスピレーションを得るだけでなく、デザインの意図を覗くにも良いギャラリーサイトです。

カラーパレットを瞬時に摘出

Site Palette – Get the essential colours from a website

Web サイトがどのような色を使っているのか知りたいときがありませんか?試しに同じカラーパレットを使ってみたいときもあると思います。そんなとき、Site PaletteというChrome拡張機能が便利。

あっという間に摘出完了。Adobe Swatch のダウンロードも簡単です。

インストール後、カラーパレットを見てみたいサイトへアクセス。Site Paletteのボタンをクリックするだけ。HEX値をコピーして使うのも良いですし、Adobe Swatchとしてダウンロードすることもできます。

  AUTHOR

長谷川 恭久

Web/アプリに特化したデザイナー・コンサルタントとして活動中。組織の一員となるスタイルで一緒にデザインに関わる課題を解決するといった仕事をするなど、チームでデザインに取り組むためにできることを模索している。 アメリカの大学にてビジュアルコミュニケーションを専攻後、マルチメディア関連の制作会社に在籍。帰国後、数々の制作会社や企業とコラボレーションを続け、現在はフリーで活動。 自身のブログとポッドキャストではWebとデザインをキーワードに情報発信をしているだけでなく、各地でWebに関するさまざまなトピックで全国各地で講演を行ったり、多数の雑誌で執筆に携わる。 著書に『Experience Points』など。 http://www.yasuhisa.com/