組織が独自のカルチャーをデザインすべき理由 | アドビUX道場 #UXDojo

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新しい製品を開発したり新しいブランドをデザインしているときに、市場にある他のものをそのままコピーしようとはしないでしょう。良いデザインは、ある特定の顧客のニーズに合うような、独自の提案をつくり出します。実際、最終的な成果が市場の大半を困惑させつつ、その一方で、それを最も必要とする人々には役立つことだってあるでしょう。

だとすれば、同じような企業カルチャーをつくろうとする傾向があるのはなぜでしょうか?あるスタートアップ企業は滑り台を設置しました。社員は突然遊び場で働くことになりました。別の企業は、徹底的に率直であることを実践し始めました。それにより、状況確認のミーティングは皆が心の内を打ち明けあう場所になりました。私たちNOBLでは、こうした例を「本を読んで経営する集団」と呼んでいます。ボスがリーダーシップについての最新のベストセラーを読んで、それが突如チームの働き方になるのです。少なくとも次のベストセラーが登場するまでは。

堂々とした揺らぎないカルチャー

これまでにフォーチュン500企業や急成長するスタートアップなどで働いて、何百ものカルチャーの組み合わせを見てきました。その経験から発見したことは、ブランドや製品と同じようにカルチャーもそれぞれ独自であるべきだということです。変化する市場の状況に対応するための戦略の選択は、競合他社から際立つものであるべきです。より重要な点は、企業が堂々としているべきだということです。企業は、何が良くて何が悪いのかを事前に明確にするべきです。そうすれば社員も何と契約しようとしているかを知ることができます。

その独特なカルチャーを称えられた企業について考えてみましょう。アップルの熱烈なデザインへの傾倒は、組織内のすべての役割にデザイナーのマインドセットが染み込んでいたために可能でした。スティーブ・ジョブスは「私たちは世界で最高のものをつくりたい人たちを採用しています」と言っています。Netflixの有名なカルチャー資料では、才能のある社員は会社の最大の利益のために行動することを信じるが故に自治が強調されています。その結果、彼らは休暇の管理や予算承認といった時間のかかるプロセスを省きました。最近では、レイ・ダリオの」Principles(原理)」が注目を集めています。ヘッジファンドBridgewaterにおいて、彼は徹底的な企業の透明化こそが、最高のアイデアを浮上させる鍵だと信じています。たとえそれが感情を害する行為だとしてもです。

多くの人々にとってこうしたカルチャーは極端で、カルトぎりぎりに見える場合もあるようです。一方、ここで挙げた企業は明確に舵取りをしています。言い換えれば、企業に適合しない人々を除去しながら、魅力を見出す新しい社員を惹きつけるのに最適な方法だということです。また、しっかりとしたカルチャーがひとたび組織の一部となれば、チームが目標に向かい足並み揃えて前進する状態を保つでしょう。実際、最近の調査によると、カルチャーについて明確な期待を設定することが、従業員の仕事への取組みに影響を与える最大の要因であることが示されています。

ここで明確にしておきたいのは、堂々としたカルチャーとは、実際に間違いを犯したときに認める必要がないとか、決して変わるべきでないことを指しているのではないことです。市場の状況が変化したり、何らかの問題が発生したら、カルチャーは適応しなければなりません。

しかし、計画的で慎重に検討されたデザインカルチャーを生み出せば、従業員を惹きつけてつなぎ止め、彼らが会社の目標を達成するための力にもなります。

「カルチャーとの契約」を確立する

すべての組織が「カルチャーとの契約」(社員が約束を交わす対象)を明確に決められれば理想的でしょう。しかし実際には、カルチャーを自らデザインしようとするチームはめったにいません。代わりに、他の組織から学んだプラクティスを持ち込む傾向にあります。その際、新しいチームの戦略を下支えするか?とか、既存のプラクティスと適合するか?を考慮することはありません。

もし、より特徴的でより適応したカルチャーをつくり出したければ、最初のステップは「発見」です。チームのカルチャーに対するどんな期待は存在するか?チームがそれを前向きに受け入れる交換条件は何か?思考を誘発するために、以下の質問を利用してください。

  • 組織として社員に負うものは何か?
  • 社員が組織に負うものは何か?
  • チームメンバーが互いに負うものは何か?
  • どのような行動や成果を最も評価し、見返りを与えているか?
  • どのような行動や結果に対する妥協をいとわないのか?

社員との関係が良好な組織では、1対1のインタビューでこれらの情報を得られるでしょう。しかし、チーム内の信頼のレベルが低い場合は、匿名アンケートを実施したり、客観的な第三者を巻き込む方が効果的かもしれません。

次のステップは、データに見られるパターンの確認です。チームの期待は一致しているか?変化が求められている側面があるか?結果をまとめる時間が取れたらチームを集めて共有し、話し合いを行いましょう。リーダーは結論に飛びつきたがる傾向があり、このステップはしばしば見過ごされています。しかし、皆が一緒に前進するためには、チームの意見を知ることが欠かせません。意見交換の場では、しばしばチームメンバーの顔に安堵の表情を見ることができるでしょう。カルチャーに苦しんでいるのが自分だけではないことを理解したためです!

反復が完成度を高める

全員が同じ方向を向いていて、チームとしての行動や制約に全般的に満足しているのであれば、実質的なカルチャーとの契約が存在すると言えます。それでも、おそらく、改善する必要のある分野を特定することになるでしょう。そして、何を変更しなければならないかを特定したら、すべての問題を解決するソリューションを模索したくなるでしょう。しかし、コストのかかる一年以上にわたるプロセスを実行しようとして、数週間のうちに対応に疲れてしまうチームを見たことがない人はいないのではないでしょうか?その代わりに、プロトタイプの開発と同じ反復的なアプローチを採用し、最も単純で安価なソリューションを特定し、実際のユーザーでテストしましょう。フィードバックを得たらプロトタイプの次のバージョンに組み込んで、適切な結果が得られるまでそれを繰り返します。

プロトタイプをテストする際に最も重要な(そして見落とされがちな)要素のひとつは、テストのための正しい環境を構築することです。失敗しないようにプロトタイプを構築することは不可能です。実際、プロトタイプは失敗するためのものです。ですから、プロトタイプが「安全に失敗する」ようにしましょう。最悪の状況が起きてしまっても、失敗がビジネスに決定的な悪影響を及ぼすことのないように、例えば、より小さなチームで、あるいは危険度が低い意思決定のシナリオで試みることになるかもしれません。許容できるレベルまでプロトタイプが繰り返し検証されてから、より大きなチームに本格的に展開します。新しい問題に対処するためにフィードバックへの対応を更に繰り返し、カルチャーとの契約の一部としての確立を目指します。

カルチャーの進化

もちろん、揺るぎないカルチャーは一夜にしてできるものではありません。それは多くの小さな行動の変化の広範な積み重ねです。行動が軌道に乗っていれば、身を引く一部の人々を目にする一方、アプローチを進んで共有するより多くの人々を見ることになるでしょう。しかし、カルチャーが堂々としたものになったことを示す最高の兆候は、カルチャーが際立ったことでそれを模倣しようとする人が現れることです。ニッチ向けのデザインがブランドを差別化するのと同様に、堂々とした組織のカルチャーをデザインすれば、持続的な競争上の優位性の確立へとつなげられるでしょう。


この記事はWhy You Need to Design Your Design Culture(著者:Lauren Currie)の抄訳です

POSTED ON 2019.05.20