Adobe Analytics:これからの10年

Experience Cloud パーソナライゼーション 分析

アドビはちょうど10年前(2009年)、Adobe Photoshop CS4を発売し、顧客は最新の補正パネルや、3D オブジェクト操作などの機能が搭載された、明るい青色の箱の中に収められたこの製品を手にしていました。当時の人々がアドビに対して抱いていたイメージは、クリエイター向けソフトウェアでした。そのため、アドビがその年の秋に、分析プラットフォームを提供していたオムニチュアオムニチュアの買収を発表した時は、大きな注目を集めました。

当時、私はオムニチュアの社員で、webデータの分析や人工知能(AI)予測モデルの構築についての成功事例を探るため、Dellなどの企業と一緒に仕事をしていました。買収のニュースが流れた時、アナリティクスがアドビという企業のより大きなストーリーの中で、どのように扱われるのかと思いましたが、その数週間後にアドビの最高経営責任者(CEO)が訪れた時に、そうした私の懸念は払拭されました。彼はアドビとオムニチュアの2つの世界を融合する優れたプレゼンテーションを披露してくれました。彼は、消費者がインターネットや新しいデバイスのフォーマットを活用していることから、データとクリエイティビティをつなげることが、競争上優位な差別化要因になることを理解していました。

この10年間で、このトレンドは多くの人が予想していたよりも速いペースで進んでおり、デジタル化の流れに遅れた旧来の企業はこの間に姿を消しました。そして今、企業が爆発的に増加しているチャネルに対応する一方で、消費者は技術に対しての信頼を失っています。データ分析の次の10年は、消費者の信頼を構築し、AIを一層広範に活用し、そしてクリエイティビティを成長の推進力として活用することで、企業がこうした課題を解決し、顧客体験管理(CXM)のエキスパートとなるための支援が中心となるでしょう。

 

企業が信頼構築できるよう支援する

ソーシャルネットワークの発展により、ユーザー世代には、無料のオンラインサービスに対して個人情報や関心事を提供するという概念が浸透するようになりました。ユーザーのデータが活用され、時には不正に取り扱われていたことを社会が十分に把握するようになったのはごく最近のことです。私たちは今、転機を迎えています。消費者は、企業とのつながり方について厳しい目で見るようになり、自分のデータが資産であると認識するようになりました。消費者は自分により関連性の高い上質な体験を得るために信頼できる企業と直接取り引きを行うようになり、そうしたミクロ経済が、ソーシャルネットワークなどの中央集権的なプラットフォームに取って代わるようになるでしょう。

その結果、企業は自社の分析戦略やデータ業務を再評価しなければならなくなります。顧客と直接的で深い関係を築くことに注力し、外部のデータ(その多くは企業のオーディエンス像を描く上で極めて不正確)に依存しないよう、シフトしなければなりません。プライバシーは、企業が顧客により信頼できる体験を提供することで強い関係を生み出せる機会だと捉える、経験に基づいたプライバシーの将来像が示されるようになっています。

2017年、アドビはAdobe Trust CenterCommon Control Framework (CCF)をオープンソース化し、企業はコンプライアンス戦略をさまざまなセキュリティ認証や規格、規制(SOC 2、ISO、PCI、FedRAMPなどを含む)に対応させて描くことができるようになりました。CCFはもともと、アドビが自社のコンプライアンス戦略を合理化するために開発されましたが、さまざまな産業情報セキュリティ基準およびプライバシー基準から合理化され、包括的でシンプルな制御条件を示すものとなりました。これはアドビが、企業が堅固なセキュリティおよびプライバシー基盤を追求できるようにするツールや技術の提供に継続的に取り組んでいることの現れでもあります。

 

データを利用した双方向コミュニケーションに向けてAIを進化させる

多くの企業は、そのデータを最大限に活用できていません。考慮すべきチャネルが急増し、最も有益なインサイトを見つけることが難しくなっており、チームは現行のレポーティングのニーズに忙殺されることが多くなりました。そうして企業は最終的に、予測可能だが価値のない指標(良い気分にさせてくれるがアクションに結びつかないインサイト)に頼ることになってしまいます。企業は、掘り下げるための時間とリソースが足りないか、間違ったリードを追いかけることでエネルギーを無駄遣いしています。私たちがAdobe AnalyticsにAIを活用し、インサイトを自動的に発見できるようにするVirtual Analystを導入したことは、この課題に正面から取り組み、企業がデータのパワーを解放できるようにする初の試みでした。Virtual Analystが提供するインサイトは、企業の分析チームがこれまで気付かなかったものや分析しようとも考えなかったところから新しい視点をもたらし、ビジネスに大きな影響を与え得るものです。

このようなAIの活用法は、将来的に分析プラットフォームの差別化要因となると考えられます。データそのものとの双方向対話をもたらし、AIはそうした対話の中で、顧客体験を向上させる最も意義のあるインサイトと方法を学び始めます。これは人とマシンの間の継続的な調和につながり、AIは企業がデータセットに要求すべき疑問を正確に指摘したり、チームが即座に対応すべき異常や機会を常に監視する「常時オン」のアシスタントとして、リソースのギャップを埋め続けます。またクリエイティブで高価値のタスクのためにデータの能力を解放する一方、データクレンジングのような面倒なプロセスをサポートします。

アナリティクスとクリエイティビティの融合で成長を促進

当初から、アドビは企業に対してさらに多くのクリエイティビティを提供する可能性を視野に入れていました。アドビの信念である「Creativity For All」が、デザイナーやフォトグラファーなどのプロフェッショナルなクリエイター以外にも拡大していることを知っていました。アドビは、クリエイティビティの根底にある原理を分析プロセスにも適用できると考えています。数年前であればこれは野心的過ぎる概念でしたが、今日では多くの場面でほぼ必須な使命となってきています。カスタマージャーニーがますます複雑になる中、アナリストはデータについてさらに多くの実験や新しい考え方が求められる業務に直面しています。

実際に、クリエイティビティとデータを結びつけることで、企業の業績に好影響を与えられるという認識が広まっています。最近のマッキンゼーの調査(英語)では、アナリティクスと人間の知恵を組み合わせると同時に、これをマーケティング機能にも組み込んだ企業は、そうしなかった企業よりも2倍の速さで成長したことが明らかとなりました。

先日、Adobe Analyticsで「Customer Journey Analytics」をリリースしました(※)。Photoshopが様々なレイヤーを組み合わせることで素晴らしいクリエイティブができるように、これによりデバイスのデータを繋ぎ合わせ、新たな視点での分析ができるようになります。この機能はオムニチャネルデータの分析をより創造的(クリエイティブ)なものにし、企業の様々な立場の人が利用できるための第一歩として考えています。

アドビは、企業が適切な技術、人材、プロセスを利用して、アートと数字の溝を埋め、豊かで有意義な顧客体験を提供できるようになることを望んでいます。

※各国にて順次提供予定

※本記事は、Adobe Analytics製品管理ディレクタージョン ベイツ(John Bates) の寄稿の抄訳版です。

POSTED ON 2019.10.4