歴史と記憶―古典芸術からインスパイアされる最先端のクリエイティビティとは #AdobeStock

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フォークナーは「過去は決して死なない。過ぎ去ることさえない」と記し、アメリカ南部の世界を描き出しましたが、この言葉は今のビジュアルアートにも言えそうです。今回お届けするAdobeのビジュアルトトレンド「歴史と記憶」では、デザイナー、アーティスト、企業が、古典芸術からインスピレーショを受けたり、古い世界の技法を新しいテクノロジーと融合させるなどして、いかにして歴史を現在に活かしているのかを見ていきます。

AndrewLili / Adobe Stock

Adobe Stockの特集ギャラリーで「歴史と記憶」を題材にした作品をぜひご覧ください。

こうした歴史への関心の高まりには、今の時代背景が少なからず関係しているのかもしれません。過去は、不確かな時代に多くをもたらしてくれます。私たちの時代以前の作品に触れるとき、私たちは今現在に至るまでの道のりについてヒントを探り、歴史のうねりに目を向け、どこで転換点を迎えたのかを想像することができます。

それと同時に、今はかつてないほどに多くのアートや芸術史に触れる機会に恵まれています。世界中のギャラリーへ足を運ぶことも、大学へ入学することも、分厚い芸術史の学術書を図書館に探しに行くことも必要ありません。インターネットで巨匠たちの名作に気軽にアクセスできます。過去に遡り、古典の芸術作品を現代に引っ張ってくることがいつでも誰にでも簡単にできるのです。美術館や企業、アーティストたちは、ワクワクするような、あるいは考えさせられるような方法で、時にユーモラスにそのようなプロジェクトにチャレンジしています。

Xavier Harcq / Adobe Stock

デジタル時代の美術館

アムステルダム国立美術館は、古典芸術のデジタル化と民主化におけるパイオニアです。そのデジタルアーカイブには、オランダ黄金期の傑作であるレンブラントの「夜警」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」を始め、17~18世紀の絵画やオブジェが数十万点保存されています。同美術館では、世界中の訪問者が高解像度画像を無料でダウンロードできるようにしており、現在までに5百万を超すダウンロード数がありました。利用者の多くはこれまで直にギャラリーを訪れるチャンスが全くなかった-今後もなさそうな-人々だそうです。

Eve Saint-Ramon / Adobe Stock

5年前、このコレクションがオンラインに登場したとき、美術館の館長たちは新たな相互作用を促すことに主眼を置きました。特に、運営チームの興味の中心は、古典芸術の題材を再利用したり、その一部を借りて新たな作品を構築したりすることにあり、最終的には、新旧の融合を追及する革新的なコンテスト、Rijksstudio Awardが創設されるに至りました。同美術館のマーケティング・ディレクター、Linda Volkersは次のように述べています。「私たちの狙いは、作品をもっと間近で見て、昔の巨匠たちの仕事をじっくり鑑賞してもらうことでした」。来年、Adobeはこのコンテストに協賛し、同美術館とタッグを組んでその更なる発展を支援します。

「新旧の融合はパワフルな効果を生みますが、当然ながら新しいものではありません。ただレンブラントにしても、古代ギリシャの作品などからインスピレーションを受けていました」とLindaは説明します。「でも、それがずっと簡単で、より人の目に触れやすいのが現代のデジタルアートの世界です。自分たちが共有する芸術の記憶を活用し、創作物をすぐさまシェアすることが可能ですから」。

Lem / Adobe Stock

他にもいくつかの美術館がこのトレンドに乗り、創作目的の使用であれば、利用者がコレクションの画像をダウンロードすることを歓迎しています。ロサンゼルス・カウンティ美術館は、80,000点の画像をオンラインで提供しており、そのうち20,000点は無料でダウウンロードが可能です。ナショナル・ギャラリー・オブ・アートは、無料で利用できる画像を50,000点用意しています。

ポップカルチャーに歴史的視点を

美術館同様、アーティストや企業も過去と現在を引き合わせるユニークな方法を探っています。シューケア用品Kiwiの歴史色の濃い、独創的な広告キャンペーン「Portraits Completed」は、昨年のカンヌ・ライオンズで大きな勝利に輝きました。

AndrewLili / Adobe Stock

2017年の映画Loving Vincent(邦題「ゴッホ~最期の手紙~」)もまた、新旧を融合させて「空白の時」を埋めるという試みの見事な一例です。作品では、ゴッホの死の謎が彼の特徴的な画風で描き出されます。実写映像の上に人の手によって描かれた絵が合成されており、作品は色彩に溢れ、深く感覚に訴える現代的なオマージュに仕上がっています。

デジタルテクノロジーと過去の傑作を組み合わせたプロジェクトといえば、The Next Rembrandt。これは総合金融機関INGグループにより集められたクリエーターのチームが、テクノロジーを駆使して、巨匠レンブラントの画風で新たな作品を制作するというもの。彼らは、レンブラントの美術作品のデータベースを発展させ、その絵画の特徴や構図の比率を明確にするために統計的な分析を実施しました。それに基づき開発したAIで制作を行い、3Dプリントを用いて一つ一つの筆づかいの質感まで表現しています。

Archan Nair / Adobe Stock

古典風のストック素材

ストックの画像では、古典芸術の雰囲気や色彩、構図を想起させる作品がトレンドとして見られます。弊社コレクションにも今夏、歴史から影響を受けた作風のフォトグラファーが2名加わりました。Milou Krietemeijer-Dirksは、美しい正統的な子供の写真を撮る写真家です。彼の作品は、親しみやすいながらもどこかミステリアスで、オランダ美術の肖像画を思わせるタイムレスな魅力を湛えています。フランス人アーティスト、Thibault Delhomの写真は全く異なる切り口で、現代ファッションのひねりを加えた独特のギリシャ・ローマ風の衣装と古典彫刻への賛美を感じさせる優雅さが特徴です。

Milou Krietemeijer / Adobe Stock

企業やデザイナーにとってのポイント

デジタル世界では、過去の芸術とつながり、それらを私たちが共有するビジュアルカルチャーに取り込むことが、これまでよりずっと簡単です。ユーモアを求めてであれ、パターンや意味、構造を見い出したいという願望であれ、人々は古典的な芸術に関心を持っています。それに加えて、各種ツールはますます充実し、過去の傑作のデジタルデータが無料で利用できるとなれば、今後、企業やアーティストが歴史色豊かなクリエイティブを制作する機会は増えそうです。

Adobeの Hidden Treasures of Creativityキャンペーンは、現代のアーティストに新たなツールを提供すべく、過去に目を向けています。昨年は、ミュンヘン美術館とKyle Websterと共に、エドヴァルド・ムンクが使用した絵筆から7種類のデジタルブラシを制作しました。最新のプロジェクトとしては、過去のスケッチから作られたバウハウスの新たなフォントを発表したところです。

Thibault Delhom / Adobe Stock

私たちは、歴史を覗くことで、この混迷の時代に大いに必要とされている土台のようなものを得られるかもしれません。小説家であり批評家でもあるRobert Penn Warrenは次のように記しています。「歴史は未来への計画を示してはくれない。しかし、私たち自身、そして私たちに共通する人間性についての深い理解をもたらし、私たちがより良い形で未来に向き合うことを可能にする」。

こちらの特集ギャラリーをぜひご覧ください。9月、10月は、過去と現在を結びつけた作品を生み出しているアーティストにお話を伺う予定ですので、引き続き本ブログもお楽しみください。

なお、Adobe Stockでは、お求めやすい「通常アセット」が毎月10枚利用いただける年間サブスクリプションが1ヵ月無料となるキャンペーンを引き続き継続中です。PhotoshopIllustratorなどいつものアプリから直接検索でき、カンプ作成で行った制作作業を無駄にすることなく高解像度画像への差し替えが一発でできるため、高い作業効率を実現できます。まだの方はこの機会にぜひお試しください。Adobe Stockについてさらに詳しく知りたい場合はこちらをご覧ください。

*ヘッダーイメージ:fStop / Adobe Stock

POSTED ON 2018.09.11

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