手触りと感触:忘れられている感覚を取り戻そう #AdobeStock

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皆さん、今日もPCやスマホのスクリーンをじっと見入っていませんか?(筆者もそうです)。

少なくともこのブログ記事を読んでくださっている方は、今、画面を見つめているわけですが、おそらく多くの方が、最新のデバイスに囲まれて暮らしているのではないでしょうか。そして、そんな環境に馴染むほど、ついつい現実世界での触れ合いを脇へ追いやってしまうという人も多いはずです。

このように触れることが希薄になっている一方で、私たちは質感や温かみ、手で触れられる世界のさまざまなもの(手細工、テキスタイル、建築素材など)の「不完全さ」に無性に惹きつけられます。

触れる機会が減っている中、私たちは2018年最後のビジュアルトレンドとして「手触り」に注目しています。建築からファッション、ポップカルチャー、もちろんAdobe Stockまで、この傾向は既に至る所で見られますが、ホリデーシーズン到来のこの時期には、雑多な現実世界でより多くの触れ合いやつながりを目にすることになりそうです。

Guille Faingold/Stocksy / Adobe Stock

体験としての感触

最近では、「触れたい」という私たちのニーズを満たすさまざまなタイプの体験が企画されています。例えば、The Thread Caravanは、伝統工芸の裏側のプロセスを学びたい旅行者向けに旅を提案。旅行者は、地元の職人たちと共に制作作業を行うことで、手触りや質感を実感し、工芸への情熱を彼らと共有し、人同士のつながりを築くことができます。

Gavin Gough / Adobe Stock

Heatherwick Studioがシンガポールの南洋工科大学ラーニング・ハブ の理想的な学習環境の設計を依頼された際、設計チームは、流線的な非の打ちどころのないデザインの代わりに、手触りや手づくりならではの「不完全さ」を重視したといいます。彼らは手書きの製図を依頼し、それを基に建物のコンクリート壁に浮き彫りを施しました。完成した室内は、見た目や雰囲気に手作業が感じられます。

常にトレンドの先端を行くファッション業界も、手触り感を求める私たちの欲求を満たそうとしています。2019年春/夏のトレンドは、フェザー、華やかなレイヤードスタイル、フリル、海にインスパイアされた鱗(ウロコ)調や魚網のデザインなど、素材感豊かなもので溢れています(ファッションが現在のデザイントレンドをどう取り入れているのかご興味のある方は、ぜひスプリングカラー・レポートの記事もご一読ください)。

ハンドメイドが流行中

自分の肌で感じる体験や場所、洋服などに感触重視のトレンドが見られる一方で、手製のものや凝った手仕事、それに制作者とのつながりへの関心も高まっています。Etsyが良い例です。気が遠くなるくらい数多くのハンドメイド商品が並ぶこのサイトでは、気に入ったアーティストに制作プロセスを確認し、オーダーメイドを依頼することも可能です。現在、およそ2百万人が活発に販売を行っており、売上は増加しています。

更には、ものづくりの様子を見たいという願望も生まれています。今夏アメリカのNBCでスタートしたクラフトのスキルを競い合う番組「Making It」の初回放送は、630万人が視聴しました。番組の出演者たちは、紙、フェルト、木、粘土などの素材を用いて、とても感動的で、感触が伝わってくるような作品を作り上げていきます。番組は視聴者の心をつかんだようで、セカンドシーズンの制作が決定しています。

Joshua Resnick / Adobe Stock

ハンドクラフトや感触重視のトレンドは、あなたのキッチンにまで入り込んでいるかもしれません。家で作ることができ、押しつぶしたり伸ばしたりできるあの「スライム」が、今、大ブームになっており、クラフトショップでは主原料である糊が売り切れ状態だそうです(ELEMERはオンラインでの注文を勧めていました)。スライムづくりのファンは、単にねばねばしたテクスチャーが好きなだけでなく、さまざまな手触り感を出すために、グリッターやビーズ、小さな装飾物などを加えます。YouTubeのチュートリアル#slimeのハッシュタグをつけたインスタグラムの投稿も無数とあります。それに、スライムはある種の肉体的な感覚を引き起こすこともあるとか。実際に触ったことがなくても、静かにスライムを握りつぶすシーンが続くASMR(自律感覚絶頂反応)スタイルの動画 を見て、実際に背筋がゾクゾクっとする感覚を覚える人もいるそうです。

テクノロジーにも温かみを

スクリーンやガジェットからなかなか離れられないからこそ、私たちは手触り感のある世界を心懐かしく感じるのかもしれません。しかし、だからといってテクノロジーがこの状況に対応できないわけではありません。ハイテク機器のテクスチャーやインターフェイスでも、より温かみのある、より人間的な、完璧すぎない、触れていたい手触りのものが出始めています。

grandfailure / Adobe Stock

たとえば、テクノロジーを施したデニム・ジャケットが既に2種類登場しています。オランダ人のファッションデザイナー、Pauline van Dongenは、生地へのタッチに反応すると背中部分に撫でる感覚が走るというコクーンシルエットのジャケットを制作。Levi’s と Googleは、タッチを感知する生地を使い、外出時にハンズフリーでスマホを操作できるジャケットを開発しました。

テックデザイナーも、消費者を惹きつける製品を目指して、ハンドクラフトの魅力をデザインに組み込んでいます。彼らは、滑らかで無味乾燥なテクノロジーの従来の型を破り、心和む丸みを帯びた形や落ち着いた色合いを採用し、不完全さを演出しています。トレンドを取り入れたグーグルのPixel Budsは、イヤホンが小石型でケーブルの素材は繊維ですし、イケアのENEBY Bluetoothスピーカーは、柔らかな素材感のあるメランジグレーの布地で覆われています。

このトレンドのもう一方の先端にあるのが、デバイスに触れる回数を減らし、より温かくより自然な形でのハイテクツールとのインタラクションを追求する「Zero UI(インターフェイスを持たないデバイス)」です。AmazonのアレクサやGoogle Home、あるいはSiriなどのパーソナルデジタルアシスタントをお使いの方は、既にこうした体験をされていることでしょう。これらのUIは、ちょっとしたステップでさらに人間的になります。例えば、Amazonはアレクサに笑ったり、ジョークを言ったりすることを教えました。また、Siriにそっと話しかければ、Siriの方も囁き声で返答するというテクノロジーの特許が取得されています。

感触が伝わる画像

ビジュアルアートでいえば、主に2つの形でタッチと感触のトレンドが取り入れられています。1つは、前景にインパクトの強い、馴染みのあるテクスチャー(冷たい水や枯れ草、濡れた髪など)を配し、それらに手や体が触れているような画像です。もう1つは、抱擁、キス、絡み合う指など、人同士のやさしい触れ合いを伝える画像で、じかに向き合う関係の感触やぬくもり、複雑さといった失われつつある要素を題材にしたものです。

JP Danko/Stocksy / Adobe Stock

デザイナーや企業にとってのポイント

私たちの脳や体は触覚で感知する世界に合うようできていますが、多くの人はこの感覚をほとんど意識していません。消費者がますます質感やつながりを求めるようになれば、デザイナーや企業にとってはチャンスになります。美しい手触り感のある不完全な表面やテクスチャー、あるいは手細工に、人同士のつながりのありのままの瞬間を組み合わせれば、まさに今の時代の気分に合う作品が出来上がります。そうした画像は、一番ないがしろにされている感覚を刺激し、満足させるだけでなく、私たちに触れ合いを取り戻してくれるかもしれません。

こちらの「タッチと感触」の特集ギャラリーもぜひチェックしてみてください。今後もテクスチャーをアートに昇華させたアーティストたちにお話を伺っていきますので、引き続き本ブログをお楽しみください。

この記事は2018年11月08日に Adobe Stock Team により作成&公開されたTouch and Tactility: Feeding Our Forgotten Senseの抄訳です。

*ヘッダーイメージ:RooM The Agency / Adobe Stock 

POSTED ON 2018.12.4

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