知っておきたい写真の権利。写真にまつわる著作権の素朴な疑問 その1 #AdobeStock

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写真を撮る人なら一度は耳にしたことのある著作権について。その成り立ちからフォトグラファーならではの気になるポイントまでをご紹介します。本企画では、青山綜合法律事務所のパートナー弁護士である氏家 優太先生をお迎えしました。フォトグラファーとして気になるポイントは、株式会社ヒーコ代表の黒田明臣氏にピックアップしていただいています。

日本国内におけるAdobe Stock コントリビューター作品の権利も、著作権法で保護されています。ご自身の作品の権利を正しく把握し、安心してストックフォトライフを楽しみましょう。


Q:そもそも著作権法ってどんな法律?

A:著作者等の権利の保護を図り、文化の発展を狙いにした法律です

著作権法1条の条文に「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」という記載があります。自分の思想や感情が創作的に(クリエイティブに)発現された文化的所産と呼べる表現を「著作物」と定義し(著作権法2条)、これを保護することによって文化的な発展を促していきましょうという目的があります。

Q:著作権法上の「表現」には明確な定義がありますか?

A:ありません。アイディアと表現の違いも法律上明文化されていません。

表現でないと著作物の定義に当てはまりません。アイディアの段階を出ないものは表現としても認められません。何かしらの思想、感情が具体的なアウトプットになった段階で「表現」として認められます。しかし、具体的に、ここまでがアイディア、ここからが表現という線引きは法律上明文化されていません。これまでの裁判例上や学説上の議論の蓄積を基に判断されます。

写真の話でいいますと、機械的・自動的に撮られているもの、たとえばいわゆる証明写真のようなものも写真と言えば写真なのですが、著作物として認められない可能性が高いです。これは、”思想又は感情を創作的に表現したもの”という定義に当てはまらない可能性があるからです。

Q:自分の写真が著作権で保護されないこともあるかもしれないのですか?

A:ありえます。著作物性が認められるかどうかで、写真が著作権法で保護されるかされないかが決まります。

著作権法にいう「著作物」に該当するか否かを「著作物性」と呼びます。思想又は感情が創作的に表現されているものといえるか否かが著作物性の有無という観点で語られます。

先に述べたような機械的・自動的な写真などを除けば、現像を含めた写真の創作プロセスにおいては作者のなんらかの思想・感情が表れる余地があるといえます。そのため、写真は著作物性が認められやすい面があるともいえますが、「写真」に当たるなら何でもかんでも必ず著作権で保護されるという訳ではないということです。あくまで思想又は感情を創作的に表現した著作物性のある写真こそが著作権で保護される写真なのです。

番外編 著作権で保護されなかった写真の話

ある海外における写真の話です。ある人物が置いたカメラを使って猿がセルフィーのように自撮りをした写真がありました。その写真の著作権は誰が有するのかが議論となりました。

日本法では人間以外の動物は権利の主体となりません。権利の主体は自然人ないし法人などの法律上人格(法人格)があるものと定められています。

この海外のケースでも猿に著作権は認められませんでした。カメラを置いた人物の著作物という判断にもならなかったようです。

つまり、この海外事例の判断を基にすると、その著作権を誰も有していない「写真」も生じうるということです。

Q:シャッターを押したら誰でも撮れてしまう写真は著作物と認められますか?

A:一般的には著作物性が認められやすい写真でも、何らかの事物をそのまま忠実に再現したような(誰でもそうなるような類の)単純なものであればあるほど著作物性が認められにくいでしょう。

写真が著作物と認められるかどうかは、最終的に裁判で認められなければわからない面もあり、法律の専門家でもなかなかその判断は難しいものです。ただし、先ほども述べたとおり、一般的には写真は著作物として認められやすい傾向があるといえます。また、誰でも撮れる空の雲の写真といったように何らかの事象・事物をそのまま忠実に写したようなものと、被写体選択や角度・光・絞り等非常に凝った写真とを比べたときに、どちらが著作物として認められやすいのかといえば後者の方が認められやすいだろうといえます。

被写体の選択、シャッタースピード、絞り等のカメラの設定、光の度合い等々、クリエィティビティが発揮されていそうな要素が増えれば増えるほど、著作権法の保護の対象として認められやすいといえます。

Q:著作隣接権や著作者人格権ってなんですか?

A:著作隣接権も著作者人格権も著作権法の中で認められた権利で、著作権とはまったく別の権利です。

また、著作隣接権は基本的には著作物を実演する人やレコード製作者、放送事業者・有線放送事業者などが有する権利であり、著作者に対する権利ではありません。たとえば、作詞した人や作曲した人が著作者となりそれぞれ詞や曲の著作権を持ち、演奏者が著作隣接権を持ちます。写真とは関係はありませんね。

一方、著作者人格権は、譲渡したりもできる財産的な権利の著作権とは全く異なるものです。著作者の人格的利益にフォーカスした権利です。著作者人格権は大きく分けて3つの権利があります(これらは譲渡することはできません)。

1.公表権 自らの著作権を公表するかしないかを著作者が決められるという権利 

2.氏名表示権 著作物に実名やアーティスト名等を表示するかしないか決められるという権利

3.同一性保持権 自分の著作物をその著作者の意思に反して改変されないという権利。

著作者の思い入れやこだわりに着目して定められている権利といえます。

なお、Adobe Stockで作品を販売することは、ユーザーが自由に購入した作品を改変して利用することを前提としています。ただし、公序良俗に反したりモデルなどの名誉棄損となる利用は禁止しています (Adobe Stock の利用条件 2018年6月5日 – 4.1.E または D  詳しくはこちら)。

また、モデルや撮影場所の管理者からは、撮影した作品をストックフォトとして販売することを容認いただくための「リリースペーパー」も必要になります。これらを怠ると肖像権やパブリシティー権、施設権利権の侵害につながりかねません。被写体とフォトグラファー自身、そしてご利用いただくお客様を守るために必要なことなので、これらの点は理解したうえで作品制作を進めたいものですね。

まとめ

今回は、著作権の基礎の基礎部分から、フォトグラファーとして気になるポイントに触れました。Adobe Stockで写真を販売するなら切っても切り離せないのが著作権。特性を把握してポイントを押さえておけばきっと著作権はあなたのストックフォトライフの強力な味方になってくれることでしょう。

まだAdobeStockを利用したことがなかった方も、写真の販売をはじめるにあたり著作権に対して抱いていた難しい印象を、意外と簡単に感じた人も多かったのではないでしょうか。写真撮影を楽しみながら、販売をはじめてみませんか?Adobe Stockはいつでも皆様のコントリビューターライフの始まりをお待ちしています。

POSTED ON 2018.11.27

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