連載/hueが直伝! “売れる“料理の撮り方、見せ方。 #10 「熱々」を瞬時に表すたった1つの方法 #AdobeStock

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料理や食材の美味しさが、最も引き立つように写真や動画を撮る――。シズル表現に特化したビジュアル制作集団hue(ヒュー)近藤泰夫が、撮影テクニックを伝える本連載。第10回は、これからの寒い季節にぴったりな熱い料理を撮るための方法を、hueのフォトグラファー・森一樹とお伝えします。

■蒸したてシュウマイのアツアツ感を伝えるには?

ようやく涼しくなってきましたね。夏が終わりかけた直後から、わたしたち、食のフォトグラファーにオーダーが増えてくるのは、真冬に美味しい、熱々のお料理の写真です。

Adobe Stockでも当然、こうした旬を感じさせる写真は販売に直結するはず。今から冬に向けて「熱々の料理写真」をアップしておくことで売り上げアップが大いに期待できるでしょう。

とはいえ、ただ「おでん」や「焼き芋」といった冬に美味しい料理を撮ればいいかといえば、そうではありません。見る人が、ビジュアルから熱を感じ取り、「あったかそうだな」「美味しそうだな」と思わせる。そんな「アツアツ感」の表現は、ただシャッターを押しただけでは撮れないのです。

たとえば、シュウマイ。

©Copyright2018 kazuki mori/hueinc.All Rights Reserved

上の写真。ツヤのある皮がぷりっとした食感を想像させ、十分に美味しそうです。ただ「ものすごく美味しそうか」というと、何かが足りない。

それが「アツアツ感」。
シュウマイのような本格的な点心は、やはり蒸したての熱々感が重要です。

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この最初の写真と何が違うか、わかりましたでしょうか?

そう、「湯気」です。
できたての料理から、ほわっと湯気がたちあがる様子。それは、まさに「アツアツ」をわかりやすく伝える表現です。シュウマイの香りが立ち上ると同時に、“調理したて”というライブ感も伝わる。食欲をそそる写真になりました。

「なるほど!」と、さっそくこの写真を参考に蒸し器のフタをあけた瞬間を撮っても、なかなか上手に撮れません。リアルな蒸したての瞬間は湯気が全面に立ち上りすぎて、肝心のシュウマイが見えなくなってしまうのです。カメラを近づけすぎると、カメラのレンズが湯気で曇ってしまうことだってあります。

では、どうすれば?
わたしたちプロが多用しているのが、湯気の“あとのせ”です。

■自分用素材として「湯気」をストックしておこう。

“あとのせ”とは撮影した料理の写真の上に、別の湯気写真を追加用素材として、追加合成(レタッチ)すること。

「難しそう」と思うかもしれませんが、実はカンタンです。
まずは素材としての「湯気」画像を撮影。これは黒い模造紙などをバックにして、熱湯を入れたカップや皿を前に置いて、たちのぼる湯気を撮ればOK。例えばこんな素材です。

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ただし、コツがあります。「必ず逆光で撮る」こと。

具体的には、斜め後ろからライティングして湯気を撮るのです。順光で湯気を撮ると、きれいに写すことができません。しかし、逆光を使うと湯気にふくまれた粒子に光が反射して、美しい湯気を撮る事ができます。コンサートや演劇でステージからライトが照らされると、空気中のホコリが見える、それと同じ原理です。

こうして撮った湯気を素材としてストックしておく。そして別に撮った写真に、Photoshopの「スクリーン」を使って透明度を調整しながら合成すれば、カンタンにアツアツのできたて料理写真が完成する。しっかりと料理も見えて、美味しさが本物以上に伝わりやすくなる、というわけです。
もちろん、Photoshopで合成をせずに撮る方法もあります。本物の料理から立ち上る湯気を狙う方法もあるし、小さな器などに熱々の熱湯を入れ、被写体に隠れるように置いて撮る方法。

ただし、先に述べたように、料理すべてからモクモクと湯気が立ち上っていると肝心の料理が見えなくなることが多いもの。
そこで裏技!立ち上った湯気を「ふっ!」とカメラ横から一吹き。手前の湯気を奥に飛ばした瞬間にシャッターを切る、という方法もあるので、試してみてはいかがでしょう。

■焼き芋のほくほく感を際立たせる合わせ技。

さらにワンランク上の“アツアツ感”を目指すなら、こんなチャレンジもオススメです。
まずはこちらのの写真を見て下さい。

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美味しさを際立たせるため、割った断面図を見せることで「ほくほく」「しっとり」としたさつまいもの質感が伝わってきます。加えてふわっと立ち上った湯気は、できたての石焼き芋ならではのアツアツ感を際立出たせる。もちろん、第5回でお伝えしたように、色温度の調整でも暖かさはを表現できますが、やはり立ち上る湯気の臨場感は、アツアツ感をさらに強調させてくれます。

しかし、わたしたちプロはもうひとつ合わせ技を入れることで、完成度をあげています。次の写真を見て下さい。

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いかがでしょう? 違いがわかりますか?

よくみると、芋を割った断面図からさらにタテにくっきりと立ち上る湯気が加わえています。これによりさらに「中はアツアツなんだな」ということが伝わる。写真全体の熱量も臨場感も何倍もアップするというわけです。

秘密があります。あとからプラスした湯気はリアルな湯気ではなく「煙」なのです。

建築業の方々が、風向きなどを見るときに使うスモークテスター。それを使って撮った煙を湯気素材として使い先程の紹介した方法で加えた、というわけです。

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湯気(水蒸気)ではなく煙のほうが、直線的に上昇するはっきりとした気体表現ができます。それだけにポイントとして煙素材を湯気と組み合わせて使うと、よりアツアツ感を強調できる。

スモークテスターを使わずとも、タバコの煙でも代用できます。こうした自分専用の湯気&煙ストックを持っておくと、想像以上に料理写真のクオリティが上がるので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか? あなたの写真の熱量が、必ずアップするはずです。

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参考写真撮影:森一樹hue inc.

POSTED ON 2018.10.12

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