連載/hueが直伝! “売れる“料理の撮り方、見せ方。#11 「美味しい音」を撮る方法とは?

Adobe Stock Creative Cloud Photo Video

料理や食材のビジュアルをシズル感たっぷりに制作するプロ集団hue(ヒュー)。同社の近藤泰夫がその手法をこっそり伝授します。第11回目の今回は、「美味しい音」の表現方法について、hueのフォトグラファー・森一樹とお伝えします。

■人が美味しさ感じるのは、味覚と視覚のみならず

あなたの撮った料理写真。
そこから「音」は、聞こえてきますか?

「こいつは一体、何を言っているのだ」と思われたでしょうか(笑)。
いやいや、冗談ではありません。いい料理写真は、視覚のみならず、聴覚にまで影響をあたえる。日々、料理のビジュアルを制作している私たちは、そう捉えているからです。
だから寒さが増していくこれからの季節は、こんな「音」が聞こえる料理写真が、Adobe Stockでも目を引くのではないでしょうか。

「ぐつぐつぐつ…」

一枚のすき焼きの写真から、それを煮るときに出る心地よい“音”までが聞こえてくるよう、ですよね。
同時に、ダシや醤油の甘い香り、そして春菊の芳香までが立ち上がってくるようです。
視覚が聴覚を刺激して、さらには臭覚にまで影響を及ぼす――。
人にとっての「美味しさ」とは、あらためて五感すべてで感じているものだと気づかせてくれます。

続けざまにもう1枚。
今度は、どんな“美味しい音”が聞こえるでしょうか?

「パチパチ…パチ…」

香ばしい旬のサンマの焼ける音。
その身からこぼれお落ちた脂が炭に落ちて聞こえる「ジュワ」という音。
秋の味覚の美味しい音が、存分に聞こえてきませんか?

「音」を感じさせる写真が、食欲をさらにそそらせてくれる。
2枚の写真から、実感されたと思います。

では、こうした「おいしい音」を感じさせる写真は、どのように撮ればいいのでしょう。
最も大切なポイントは「調理の“プロセス”を切り取る」意識です。

すき焼きを「ぐつぐつ」と“煮る”音。
サンマが「パチパチ」と“焼ける”音。

当たり前のことですが、料理が音を立てるのは、完成した後ではなく、調理中である場合がほとんど。その音が、これからできる料理の味を期待させて、こちらをワクワクさせるわけです。だからこそ、寿司屋やラーメン屋のカウンター席、あるいはオープンキッチンスタイルのレストランといった、料理のプロセスを見せる店は、なんだか心が高揚するわけです。

それと似たワクワク感を醸成する力が、「音」を感じさせる写真にはある。
だからこそ、未完成の「調理途中を切り取る」ことを意識して、写真を構成して撮影すること。それこそが美味しい音を撮る第一の条件になる、というわけです。
ここで大切なのが「調理中にたちあがる湯気」や「炎」をしっかりと写し込むということ。仮に先程お見せしたサンマの写真から「湯気」と「炎」を抜いて見てみましょう。

――。
なんという静寂。

湯気と炎がなくなるだけで、驚くほど写真から音が消えてしまう。
これはこれで写真として成立していますが、「美味しさ」は感じさせてくれません。
なので、前回お伝えしたような別撮りした「湯気」を加工して入れる表現と同様に別撮りした炎をPhotoShopで合成しても良いでしょう。いずれにしても調理中であることを印象づける、湯気や炎を意識して写真を作ってみましょう。
美味しさを倍増させる「音」が聞こえてくるはずです。

また、初めて「音」を感じさせる料理写真に挑戦するなら最もカンタンなのが、ステーキ写真かもしれません。
たとえば、こんな感じです。

そもそも、シズルという言葉は、肉汁が「じゅうじゅう…」と焼けてしたたり落ちる様子を表したものと言われます。それにふさわしい「じゅう…」という音が、写真からダイレクトに聞こえてくるようですよね。
ポイントは、鉄板と肉の間にあふれた「飛沫」。実はこれ、ただステーキを鉄板の上に置いて焼いただけではここまでの飛沫は出てきません。
裏技がひとつ。鉄板に油をひいて、ステーキ肉を置いて焼く。さらにそこへスポイトで水をたらすのです。すると、熱した油に反応して、水が瞬時にはじくため、写真のような見事な飛沫が出る、というわけです。

極めて高温になるため、万全の準備をしながら撮影してほしいのですが、確実に「じゅう…」という美味しそうなシズル感たっぷりの音が聞こえる写真が撮れるはずです。

さあ、ステーキから初めて、いろんな「美味しい音」を撮る練習をしてみてください。あなたの料理写真は、さらに魅力的になるはずです。

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参考写真撮影:森一樹(hue inc.)

POSTED ON 2018.11.2

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