Trend & Illustrations #1 – 長谷川慶子が描く「All Ages Welcome」#Adobe Stock

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アドビが予測する2020年のビジュアルトレンドをテーマに、東京イラストレーターズ・ソサエティ会員のイラストレーターが描きおろした作品のコンセプトやプロセスについてインタビューする連載企画。第1回目のテーマは「All Ages Welcome」。絵をとおして女の子にエールを送り続けたいと願う長谷川慶子さんにお話を伺います。

プロフィール ; 長谷川慶子 Keiko Hasegawa

イラストレーター。岡山県出身。中央大学法学部法律学科卒業。出版社を退社後、イラストレーション青山塾で絵を学ぶ。主な受賞歴に「第10回TIS公募」入選、長友啓典選「わたしの一枚」。https://www.tis-home.com/keiko-hasegawa/

すべての女の子たちにエールを送りたい

Q :「All Ages Welcome」というテーマを受け取ったときの印象はいかがでしたか?

最初はむずかしそうだと思いましたが、自分が絵をとおして伝えたいこととリンクしているなと感じ、そこからアイデアを広げていくことが出来ました。伝えたいこと、というのは「女の子であることを歓び続けていこうよ」というメッセージです。身体の性が女性である人だけではなく、自分の中には女の子の心が息づいていると感じているすべての人に対して。精神的な少女性を持ち続けたまま歳を重ねていくことが、当たり前の世の中になるといいなぁと思っています。「All Ages Welcome」で提示されているような、元気にアクティブに、年齢を気にすることなく人生を楽しむシニアの方々の姿は、まさに私が願う世界のあり方です。

「死ぬまで女の子同盟」by Keiko Hasegawa/Adobe Stock

Q : 精神的な少女性を持ち続けることが、むずかしい場面はこれまでありましたか?

これまで生きてきて、世間から圧力を感じる瞬間が無数にありました。言葉として聞こえてくることもあれば、言葉はなくて空気を感じることもあって……。女の子は愛嬌よくかわいくしていればいい。女の子が意見するものじゃないよ。女の子がお酌をしなくてはいけない。奥さんになったら派手な色の服や丈の短いスカートを着るのはよくない。お母さんになったのに大きなアクセサリーなんかつけて。「歳を取ってるのにあんな色のマニキュアしちゃって、イタいなぁ」といった声を街で耳にすることもあります。

そういう世間の空気を読んで、“ちゃんとした女性”と思ってもらえるよう振る舞っていた時期が長くありました。つらいな、嫌だなという気持ちがどんどん積もっていって。娘を出産してから「もう世間にはどう思われたっていいや。一番大切な家族にさえ誠実でいられればいい」と考えるようになりました。これからは自分の気持ちを優先して、大切にしようと思えた。いくつになろうが自分の好きなようにすればいいじゃない、と。ずーっと死ぬまで女の子の心を持っていたっていいじゃない、と。だから、女の子にとっての、私にとってのユートピアな世界を描いて、ずーっと死ぬまで女の子でいたい私と誰かを、応援し続けていきたいなと思っています。

女の子でいることって、つらいこともあります。容姿の美しさで語られたり、かわいく大人しくいることが求められたり、お母さんになれば家事や1人での育児の負担が大きかったりとたいへんなこともあって、本当に擦り減ってしまう。……でも、女の子でいることには、素敵なことやハッピーもたくさん詰まっている。一緒に女の子の幸せな世界を楽しんでいこうよ、と絵をとおしてエールを送り続けていきたいです。

Q: 絵のなかの人物はどのようなイメージで描きましたか?

向かって左の人物は10代後半の女の子で、右の人物はシニアの女性。右側の女性のような年代の人を描くのは初めてで心配な部分もありましたが、この年代の女性ならではの美しさを表現出来るよう心を砕きました。彼女たちが手にしているぬいぐるみやマカロンは、少女性を表すアイテムとして私が描く絵の中によく登場させます。「いくつになっても、自分の中の女の子の部分を大切に愛していこうよ」という思いを絵のなかに込めました。

「あやとり」by Keiko Hasegawa / Adobe Stock
「うっとり」by Keiko Hasegawa / Adobe Stock

イラストレーターを志すきっかけ

Q:イラストレーターになるまでのストーリーを教えてください。

昔から絵を描くのは好きで、幼稚園の頃はお姫様や白鳥をよく描いていましたね。中学生の頃は授業中に机に落書きばかりしていたのを覚えています。

高校生になるといろいろと忙しくなり、選択科目で美術を選んで与えられたテーマに基づいて描くぐらいで、自分でテーマを決めて何かを描きたい、絵を描くことで夢をみていたい、という気持ちを失ってしまっていました。

大学を卒業してから入った会社は、瀬戸内海の島々で現代アート活動も展開していて、入社4年目に香川県の直島を再訪する機会があったのですが、その際にウォルター・デ・マリアというアメリカの彫刻家の屋外展示作品「Seen/Unseen Known/Unknown(見えて/見えず 知って/知れず)」に出合いました。花崗岩で出来た2つの巨大な球体が並んでいるのですが、それを見た時に「なんて美しい丸なんだろう。世の中にはこんな美しい丸があったのか……。私もこんな美しいものが作りたい!」と強く感じました。

そのとき、しっかりカギをかけてチェーンでグルグル巻きにしていた心のドアの錆がポロポロとはがれていったような感覚がありました。その作品を見た瞬間がイラストレーターを目指すようになった大きなターニングポイントだったと思います。

Q : 人物を描くときは資料を使いますか?

  1. 写真資料を用意しています。まず、人物の身体の資料については、自分が下着姿になって大きな鏡の前でポーズを取り、鏡に映った姿をスマートフォンのカメラで撮影しています。子どもの頃に習っていたバレエの動きを思い出しながら、女性の手や身体が美しく見えるポーズをあれこれ工夫しながら探ります。
  2. 人物の顔については、雑誌などから好みの写真をいくつか用意し、「この子のホヤッとしたまゆ毛がいいなぁ」「こっちの子の目が好き」「鼻はこの子の強情な感じを」などとミックスしています。そして「もうちょっとふっくらしたくちびるにしよう」と自分の好きなように変えながら、自由に描いています。著作権や肖像権を侵害しないという大きな目的のためでもありますが、このように描いていくと、自分がほしい顔を作っていける気がしています。
「今宵も女子会」by Keiko Hasegawa / Adobe Stock

Q : 長谷川さんが描く、透明感のある肌の色がきれいです。どのように描いていますか?

肌の下地として、最初にベージュがかった黄色を塗ります。次に白っぽいベージュをごく薄く何度も重ね、自分好みの色合いの肌を作っていきます。

使用するアクリル絵具は、いつも好きな色を基準に選んでいるので、メーカーのこだわりはありません。筆も店頭で気になったものをその都度購入していて、毛がゴワゴワと硬いものや、やわらかくてコシがないもの、太いもの、細いものなどさまざま。描く部分に合わせて「うーん、これじゃない……、こっち!」というように使い分けている感じです。紙だけは決まっていて、いつも「ヴィファール細目」という水彩紙を使っています。

これからの目標

Q: 今後の目標をお聞かせください。

子育てがもう少し落ち着いたら、初個展を開きたいです。2年後くらいを目指しています。お仕事としてはお菓子の箱や包装紙などのイラストレーションを手がけたい。それといつか大好きなファッションに関わるイラストレーションのお仕事が出来ればと願っています。世界観に強く惹かれているシモーネ ロシャ(SIMONE ROCHA)といつか一緒にお仕事出来たらいいなぁ……と夢見ています。

Q: Adobeのツールで何か気になっているものはありますか?

作品をスキャンした画像を手直しするのにAdobe Photoshopを使っています。Adobe Photoshopには便利な機能がいろいろありますので、自分の絵をもっとよい形で世界に対してプレゼンテーション出来るよう、現在勉強中です。

また、昨年行われた「Adobe Max Japan 2019」に参加してライブドローイングを観て以来、Adobe Frescoにたいへん興味を持っています。早速iPadとApple Pencilを購入し、現在試しているところです。いつでもどこでもすぐに絵を描けて、しかも実際に絵具と筆を使っているかのように描けるところが素晴らしいです! 近々、Adobe Frescoで制作した絵も発表出来ればと思っています。

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