連載/hueが直伝! “売れる“料理の撮り方、見せ方。#15 何を撮る? で悩んだら“オノマトペ”から考えよう。#AdobeStock

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料理や飲み物、食材を「美味しそう!」に撮るプロ集団hue(ヒュー)。同社の近藤泰夫が、そんなシズル写真の撮影テクニックを伝授する連載の第15回目。今回は、撮影テーマや被写体に悩んだときの、ヒントになる「オノマトペ」思考法を伝授いたします。

■意外に悩む、写真の「テーマ」決め

良い写真を撮る大切なポイントの一つは、写真の“狙い”あるいは“テーマ”をしっかりと事前に決めておくことです。私たちも日々、食品パッケージや広告、メニューを撮影するときに、そうしたテーマを明確に決めてから、被写体に向かっています。

なぜか?

それは、同じハンバーグを撮るとしても、たとえば「お腹をすかせた若い男性たちにリーチしたい」のか「ちょっと贅沢なディナーを楽しみたい女性たちにも響くようにしたい」のかといったテーマによって、美味しそうにみせるポイントが変わってくるからです。
ようはテーマによって、ライティングや画角も変わってくる。つまり、これまでこの連載でさまざまなシズル(食欲をそそらせる)写真を撮るためのテクニックをお伝えしてきましたが、それらもすべて狙いやテーマあっての技法、というわけです。大事なことなので連載第1回目で、最初にお伝えしていますので、気になる方はぜひ読んでみてください。

しかし、よく聞こえてくるのが「狙いやテーマが決められない!」という声。広告写真と違い、自分の作品となると自らテーマを見つける必要があるのは言うまでもありません。ところが、意外とこのテーマ決めに手間取り、何をどこから手をつければいいかわからない方が多い、というわけです。

■「オノマトペ」を使って、テーマ決め!

そこで私が提案したいのは「オノマトペ」を使うことです。

オノマトペとは「びゅうびゅう」とか「ざわざわ」といったモノが出す音をあらわす擬声語と、「にこにこ」「みっちり」といったモノの様子を表す擬態語など、音(おん)であらわしたコトバのこと。
特徴は、単に「激しく吹く風」「洋服がいっぱいに詰まったクローゼット」と単に形容詞で説明するよりも、「びゅうびゅうとすさまじく吹く風」とか「みっちりと洋服が詰まったクローゼット」とオノマトペで形容したほうが、視覚的に伝わってきて、臨場感も増します。

だから、食に関するオノマトペを、私たちシズル写真家は撮影中、あるいは撮影プランをたてるとき、とても多く使います。
たとえば、「このうどんもっと“アツアツ“感を出したいねえ」とか。

©Copyright2019 Kazuki Mori/hueinc.All Rights Reserved.

“アツアツ”

「鉄板はもう少し“じゅうじゅう”させたいよね」とか。

©Copyright2019 Kazuki Mori/hueinc.All Rights Reserved.

“じゅうじゅう”

「“とろり”」とか。

©Copyright2019 Takaaki Suzuki/hueinc.All Rights Reserved.

“とろり”

「“たらーり“」とか。

©Copyright2019 Shunsuke Iguchi/hueinc.All Rights Reserved.

“たらーり“

どうでしょう? 「鉄板の上でいままさに焦げ目がつくほどに焼き上げられているお好み焼き」などと表現するより、“じゅうじゅう”というオノマトペで表現したほうが、ぐっとこちらに美味しさが迫ってくる気がしませんか。

また、オノマトペをそのまま具現化したようなそれぞれの写真表現は、とても豊かに、それぞれの違う美味しさを伝えてくれます。
オノマトペには、シンプルに食を刺激するイメージを与えてくれる。それくらいのパワーがある、ということです。

だからこそ、これをテーマ決めに使います。

たとえば「つるつる」を表現してみようか。
あるいは「サクサク」が伝わる写真を撮ってみようかな。
いやいや季節的に「キンキン」に冷えた飲み物や食べ物が受けるのでは、とか――。

オノマトペをまず設定して、それを足がかりにして、被写体やテーマを見つけ出すのです。このとき、Googleなどでそのオノマトペのキーワードを画像検索すると、さらに具体的なイメージが出てくるでしょう。たとえば「グツグツ」と画像検索するだけで、いろんな鍋料理がズラリと出てくる。ここからインスパイアされて、自分なりのテーマを決めていくのです。

たとえば「“ぐつぐつ”で撮ってみよう」から発想して、モツ鍋。

©Copyright2019 Takaaki Suzuki/hueinc.All Rights Reserved.

“とろーり”からイメージをふくらませて、チョコドーナツ。

©Copyright2019 Takaaki Suzuki/hueinc.All Rights Reserved.

オノマトペからスタートすると、狙いが明確になるから、フォーカスする部分がはっきりします。鍋の写真は“ぐつぐつ”という表現を狙いに撮っているから、迷いなくスープに沸騰感を与えられる。ドーナツも“とろーり”をテーマにしたからこそ、「オールドファッションを調理しているあの瞬間」という着想が生まれた、というわけです。

聞くところ、日本語は他の言語に比べても、オノマトペが非常に多く4500以上ある、という説もあるとか。食にまつわるオノマトペだけでも「ことこと」「まったり」「とろとろ」など枚挙に暇がありません。それだけ豊かに個性を表現できるし、もしかしたら世界的にも独特のオリジナリティも発揮できる写真が撮れるかもしれません。

あなたもぜひ、オノマトペを写真のテーマ決めに利用して、たくさん作品を撮ってみてください。“パシャパシャ“と。

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写真協力:森一樹井口俊介鈴木孝彰

POSTED ON 2019.07.26