Adobe Illustrator iPad版 サンリオピューロランドのKawaiiを実現

Creative Cloud Design

ハローキティをはじめとするサンリオのキャラクターは、Kawaii(かわいい)文化における世界で最もアイコニックな存在ではないでしょうか。「かわいい」とは何かを説明することは難しいですが、同社のキャラクターを一目見た人にはそのニュアンスが伝わります。英語でCuteness(キュート)と訳されることもありますが、Kawaiiはそれ以上の意味を持っています。東京を拠点とする作家マット・アルトは、近著の『Pure Invention: How Japan’s Pop Culture Conquered the World』(暫定訳『純粋な創意:どのようにして日本のポップカルチャーが世界を席巻したか』)で、「Kawaiiは、年齢、性別、志向や信条を超越して、若者と若い気持ちを持つ人々のための多元的かつ万能なものと進化してきた。まさにプラトン主義が理想としたイノセントでポジティブな概念である」と述べています。

ハローキティに加え、さまざまなサンリオキャラクターたちの生き生きとしたKawaiiを楽しめる屋内型テーマパーク、サンリオピューロランド。ここでは、革新的な方法でiPad版Adobe Illustratorが活用されています。今年初めに、サンリオエンターテイメントのデザインを手掛ける酒井宏高氏と小島敬土氏から、iPad版Adobe Illustratorの導入によって、どのようにしてこの伝説的ブランドに革新をもたらしたのか話を聞くことができました。

Kawaiiを生み出すデザイン

酒井氏と小島氏の主な課題は、キャラクターたちをさまざまなスタイルで「かわいい」と表現することです。サンリオピューロランドは、季節のイベントやキャラクターの周年記念に合わせて、常にコンテンツをアップデートしています。たとえば、ハロウィンの時期には、デザインの担当者はハロウィンにふさわしい環境装飾、インスタレーション、デジタル素材を作成しながら、イベント当日に向けて準備をしています。

「実利的すぎる考え方かもしれませんが、“かわいい”とは、それを購入したり、身の回りに置いたりしたいという欲求から来る感覚だと思います。製品を作るときの私の目標は、人々が欲しいと思うようなものをデザインにすることです。」 (株式会社サンリオエンターテイメント エンターテイメント企画・制作部 コンテンツデザイン課 小島敬土氏)

「私の個人的な印象としては、「かわいい」という言葉の中には、丸いものや小さいものという概念以外にある種の無力感が含まれていると思います。小さな手や足でちょこまか動いているキャラクターを想像してみてください。手が届かない高いところにあるものに、一生懸命手を伸ばしている姿は本当にかわいいものです。」  (株式会社サンリオエンターテイメント エンターテイメント企画・制作部 プロデュース課長 酒井宏高氏)

現地でのデザイン制作

サンリオピューロランドにおける各種デザイン作業にiPad版Adobe Illustratorを使用することの大きなメリットの1つは、酒井氏と小島氏がオフィスからデザインが設置される現地にデザインを持ち込めるようになったことです。常に新しいコンテンツの作成やデザインを手掛ける中で、たとえば季節のイベント向けのコンテンツ制作の場合、インスタレーションや看板が現地でどのように配置されているかを確認することで、効率的かつ迅速に複数のアイデアを試したり、納得がいくまで配置換えしたりできます。

「実際に使用する場所で周囲の雰囲気を確認しながら、ラフスケッチやデザインを作成できるようになりました。」 (小島氏)

小島氏は、Adobe Illustrator iPad版の柔軟性のもう1つのメリットとして、新型コロナウイルスのパンデミックが始まったときも作業を続けられたことを挙げています。iPadがあれば、社内外のミーティング中でも、自宅でも、場所を問わずにデザイン業務に取り組めるようになったのです。」

ドローイングとデザインのワークフローの改善

Adobe Illustrator iPad版によって、サンリオピューロランドのワークフローも飛躍的に改善しました。たとえば、サンリオピューロランドに新しい装飾を作成する場合、これまで酒井氏と小島氏は計測、写真撮影、またはアイデアを紙にスケッチして、これらのデータをデスクトップ版Illustratorに追加して、デザイン作業を開始し、オフィスと現地を絶えず行き来して、適切かどうかを何度も確認しながら作業を進めてきました。しかし、Adobe Illustrator iPad版を使用するようになってからは、オフィスに戻ることなく、現地でさまざまな角度から写真を撮り、リアルタイムでドローイングやデザイン作業できるようになったのです。

「以前は、紙のスケッチから始めて、スマートフォンで写真を撮ったり、スキャンしたりして、すべてをデジタル化していました。でも今では、Illustratorで写真を撮って、そのままスケッチできるようになりました。スケッチだけでなく、トレース作業もできるのでとても便利です。好きなだけ前の工程に戻すこともできるので、履歴パネルを使ってセクションを整理することで、作業も格段にスムーズになりました。」 (酒井氏)

社内で共有

ドローイングとデザインのワークフローでiPadを使用することによって、打ち合わせ中のメンバーにデザインを簡単に共有して、現地の写真の上にスケッチを重ねて、実際にどのように見えるかを確認してもらうことができます。自分のアイデアをメンバーに明確に示し、サンリオピューロランドを歩きながら一緒にデザインを作り上げることができるため、プロセスの効率化につながります。

「特定の場所に何かを配置したいときは、その場所に行って資料を作るだけで、すぐに打ち合わせを行うことができるようになりました。Adobe Illustrator iPad版を開いて、データや自分のアイデアをメンバー全員に共有しながら議論を進めることによって、何度も打ち合わせを行う必要がなくなり、打ち合わせにかかる時間が3分の1程度短縮しました。」 (酒井氏)

簡単なアクセスと完璧なバランス

iPadをドローイングとデザインワークフローの中心的ツールとして活用して、Creative Cloud Libraries経由ですべてのデータをリンクするという柔軟性の実現により、酒井氏と小島氏は、コンテンツ制作にかかる時間を短縮しながら、社内の他のチームともシームレスに連携できるようになりました。デザイナーは、スケッチを作成し、iPadによって現地で生データを収集してから、デスクトップ版Adobe Illustratorでスケッチを開いて、より明確かつ詳細なデザインドキュメントを作成して外部ベンダーに送信し、現実の世界に設置するインストレーションを完成させます。

また、ラジアル、シンメトリー、リピートグリッドなどのIllustratorの新機能によって、新しいスタイルの創造性を実現できるようになりました。サンリオピューロランドで販売されているオリジナル商品の多くには、リピートラジアル機能やリピートグリッド機能で作成したさまざまなパターンが使用されています。

「データをAdobe Creative Cloudに保存すると、デスクトップ版とiPad版の両方で使用でき、他のアカウントと共有できるため、仕事の引き継ぎや、チームで共同作業する際に便利です。デスクトップでグラデーションを作成し、それに基づいてiPadでより複雑なオブジェクトのグラデーションを設定することもできます。AdobeライブラリとAdobe Fontsにリンクされていて、Adobe Illustrator iPad版で作成したAdobeフォントをそのままデスクトップ版に変換できるのも便利です。」 (小島氏)

Adobe Illustrator iPad版によって、生産性を向上しながら、スタッフやチーム間の連携を促進する環境を構築して、オフィスの物理的な障壁を超えて創造的なアイデアを解き放つことに成功した酒井氏と小島氏。Kawaiiに対する飽くなき追求はこれからも続きます。

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POSTED ON 2020.11.16