YOUCHAN 「Frescoはひと通りの画材が揃ったクロッキー帳」 Adobe Fresco Creative Relay 02

Creative Cloud Design

アドビではいま、Twitter上でAdobe Frescoを使ったイラストを募集しています。応募は簡単、月ごとに変わるテーマをもとに、Frescoで描いたイラストやアートをハッシュタグをつけて投稿するだけです。

4月のテーマは「レタリング」。手書きで綺麗な文字を描くもよし、フォントをベースにアレンジするもよし、文字のイメージに合わせてかたちを作り上げていくのもよし。文字を使ったグラフィックやイラストを募集中です。みなさんがFrescoで描いたレタリングを #AdobeFresco #レタリング をつけてTwitterにアップしてください。

この企画に連動したFrescoクリエイターのインタビュー「Adobe Fresco Creative Relay」、第2回はイラストレーターのYOUCHANさんにご登場いただきました。

架空の探偵小説『月夜のメェルヘン』

「今回のレタリングイラストは『月夜のメェルヘン』という架空の探偵小説をテーマにして描きました。レタリングは“どういう文言をかたちにするか”がとても重要なので、それを考える時間が一番長かったですね(笑)。

いろいろと小説のタイトルを思い巡らせているうちに、渡辺温の『影 Ein Märchen』にあったメェルヘンっていい言葉だなと思ったんです。そのときに聴いていた音楽がはちみつぱいの『月夜のドライブ』だったので、ふたつを組み合わせて『月夜のメェルヘン』にしました。渡辺温の時代の雰囲気、戦前の『新青年』の扉絵のようなイメージで仕上げています。

わたしは、レタリングはイラストと文字の中間にあるもの、イラストレーションもまたグラフィックデザインの一部と考えているので、今回、レタリングの文字とイラストが、一枚絵としてどう見えるのかをすごく意識しました。文字をメインにするけれども絵にも装飾性がほしい、文字はどこまで崩せるか……いろいろなことを考えて描いたのでとても楽しかったですね」

いつかはイラストレーターに……想いを胸にデザイナーとして活動

イラストレーターとして活動しつつ、ときに自らのイラストを自身でデザインして仕上げるデザイナーでもあるYOUCHAN(ゆうちゃん)さん。イラストとデザインを融合するそのスタイルはYOUCHANさんにとってひとつの理想形でもありました。

「子どものころから絵が好きだったので、将来は絵を描く仕事をしたいなと思っていました。でもそのときは、絵を描く仕事=漫画家くらいにしか思いつかなくて(笑)。高校くらいまでは漫画を描いたりしていたのですが、進学を考えているときにグラフィックデザインという分野があると知ってデザインの専門学校に進みました。

卒業後はCIをメインにしたデザイン事務所に就職しました。そこではレイアウトデザインやロゴマークのデザインをしていたのですが、やっぱり絵も描きたかったのでパンフレットに使うイラストを描かせてもらったりしていましたね」

その後、YOUCHANさんはデザイン事務所での経験を生かして独立。「イラストレーターになりたい」という想いを胸にデザイナーとして活動する日々だったそうです。

「デザイナーをしながら徐々にイラストの仕事を増やしていきました。デザインの仕事を受けたときに『こういうイラストを入れたらどうでしょう?』って提案するスタイルですね。今回のテーマでもある、レタリングも好きなので以前からよくタイトル文字などを描いてデザインに取り入れていました」

デザインの世界から、イラストレーションの世界へ

活動を重ねていく中でデザインの仕事よりもイラストの仕事を増やすことに成功したYOUCHANさんは、いよいよイラストレーターとして活動を開始。IT系出版社の仕事を手がけるうち、ツールにも変化が起こりました。

「当時はイラストレーターとして活動を始めたつもりだったのですが、仕事はアニメーションばかりでした(笑)。当時のPC誌にはCD-ROMが付録でついていたのですが、そのオープニングアニメーションを作ったり、(当時はmacromediaの)Flashで作品を作ったり。

でも、もともとイラストレーターとして一枚絵で勝負をしたいと思っていたこともあって、時間軸のあるアニメーションにはどこか違和感を持っていました。だから、Flashが流行りはじめるころにはその流れから抜けて、イラストレーターとしてあらためて営業をしたんです。自分の好きな小説のイラストを描いてブックカバーを作ってその展示をして、出版社に案内状を出したり。それ以降、徐々にイラストのお仕事をいただけるようになりました」

そうしてイラストの仕事を続けるうちに、今度はイラストだけでなくデザインを依頼されるケースも出てきたそうです。

「装幀の場合、デザイナーがイラストレーターを指名するケースと、編集者がイラストレーターを指名するケースがありますが、わたしの場合、後者のパターンが多かったんですね。打ち合わせの中で『デザイン込みでお願いできたら……』という流れになったときにはお引き受けしています。デザイナーと組んで、やりとりをしながらよりいいものを作り上げるのも楽しいのですが、自分一人で仕上げる楽しさもあって。どちらも大事にしたいと思っています」

タブレットからiPad Proへ……デジタルツールの変化

イラストを描くツールはいま、すべてデジタルに。PhotoshopとIllustratorを駆使して描く、独特のスタイルはデジタルアートが一般化した1998年頃からすでに確立していたそうです。

「Illustratorでフォルムを作って、Photoshopでテクスチャをつけるというスタイルです。色面で構成された絵に対して、選択範囲を指定してそこに質感を加えていきます。アナログの頃はマスキングをして描くという方法でしたが、それをデジタルに置き換えたかたちですね。

PCでイラストを描くツールは長くペンタブレット(いわゆる板タブ)を使っていましたが、いまは液晶タブレットとiPad Proですね。仕事で描くイラストも半分はiPad Proで完結できるようになりました」

テクノロジーの進化に合わせて日々環境のアップデートを行なってきたYOUCHANさんですが、iPad Proとの出会いはツールの進化、利便性以上に大切なものを思い出すきっかけになりました。
「iPad Proを使って、Frescoで絵を描いていると、とにかく楽しいんです。絵を描くのが楽しい、描いていて楽しいっていう原体験を思い起こさせてくれる。これは本当に大事なことだと思うんです」

絵を描きたい……その初心に戻れるというYOUCHANさんのiPad Proはまさに専用機。絵を描くためのツール以外はほとんど入れず、使うこともないそうです。

「私にとってiPad Pro+Frescoは完全に画材であり、クロッキー帳なんです。これを使うときは絵を描くことに没頭できる。それはパソコンにつながっている液晶タブレットに向かっているときにはなかった感覚です。

Frescoはどんなにレイヤーを重ねていってもアプリケーションが落ちたり、動作が遅くなることがないので、集中が途切れないのもいいところですよね。入力に遅延があったり、処理待ちの時間に邪魔されることがありません」

Frescoには多くのブラシや表現方法がありますが、YOUCHANさんはどう使いこなしているのでしょうか。

「わたしがよく使うブラシ設定はいまは5つだけ。そのうちメインで使うのはアクリルですね。
Frescoって本当にたくさんのブラシがあるので、最初はなにをどう使ったらいいか、迷ってしまうと思うんです。でも絵を描いてみようと思ったときに、画材屋さんに行って、全部の画材を買う人はいないですよね? ひとつひとつ試してみて、違うなと思ったら変えてみる……そうして好みを探っていけばいいんじゃないかなと思います。画材屋さんにあるものは、Frescoにほとんど揃っているんですから」

イラストレーター
YOUCHAN

Web|https://www.youchan.com
Twitter|https://twitter.com/youchan_togoru

POSTED ON 2020.04.13