まゆみん 「Frescoは宝探しができる夢のようなパレット」 Adobe Fresco Creative Relay 04

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アドビではいま、Twitter上でAdobe Frescoを使ったイラストを募集しています。応募は簡単、月ごとに変わるテーマをもとに、Frescoで描いたイラストやアートをハッシュタグをつけて投稿するだけです。
6月のテーマは「虹」。雨上がりの空にかかる虹や、光の反射で映し出された色とりどりの光、虹色の世界などなど、描くイラストに制限はありません。みなさんがFrescoで描いた虹を #AdobeFresco #レインボー をつけてTwitterにアップしてください。
この企画に連動したFrescoクリエイターのインタビュー「Adobe Fresco Creative Relay」、第4回はイラストレーターのまゆみんさんにご登場いただきました。

ダブルレインボーからイメージした虹色の世界

「虹をテーマに作品を考えているとき、ちょうど虹が出たことがあったんです。SNSでたくさんの人が『虹が二重になっている』『ダブルレインボーだ』って言っていて。それが今回のイラストのヒントになりました。
いつも描くときには、そのテーマについて調べながら、少しずつ具体的なイメージに膨らませていくのですが、主虹は内側から紫〜赤になるのに対して、外側の薄い副虹は逆なんですね。そして朝虹は雨、夕虹は晴れのサインと言われていることを知りました。ツインの虹はおもしろいなと頭をめぐらせるうちに、私なりの色使いにアレンジしたふたつの虹が広がる、伸びやかなランドスケープと明るい展望を描きたいと考えました」

高校卒業後、ファッションの道へ

20年以上にわたりイラストレーターとして活躍を続けているまゆみんさんですが、もともとはアパレル業界からそのキャリアをスタートしました。

「中学から美術部で、高校のときには週3日くらいのペースで絵を習っていたんです。画家のアトリエのような予備校で、学校が終わってから夜の8時、9時までひたすら鉛筆や木炭デッサンをしていました。
受験対策は一通り教えていただいたのですが、いざ美大に目指そうと調べているうちに、“自分は美大でなにがやりたいんだろう?”と考えてしまって。上田三根子さんのような、当時スターだったイラストレーターたちに憧れがあったのですが、プロダクトデザインもグラフィックデザインも自分のやりたいこととは違いましたし、絵を描くのは好きだから絵画を選んだとして、その先はファインアートを目指すのか、学校の先生になるのか、当時の私にはイメージができませんでした。それでそのときもうひとつ、興味のあったファッションの道に進もうと決めたんです」

こうした決断の背景には、まゆみんさんのお母さまが服飾系の学校を経て編み物の先生をされていて、日頃からファッションや服を作ることが身近だったことも少なからず関係しているのでしょう。
その後、まゆみんさんは文化女子大学家政学部服装学科へと進学をします。

「通っていたのは女子大でしたが、お隣の文化服装学院のイラストコースにも参加していました。服飾系の学校ということもあって、卒業制作ではみんなドレスなどを作るのですが、私だけは“日本のファッションイラストレーション”をテーマに卒業論文を書きました(笑)。どこか、絵の道、イラストレーションへの興味が捨てきれなかったんでしょうね」

卒業後、就いた仕事はファッションのデザイナー。毎日深夜まで洋服のイメージを絵に描いてはパタンナーに渡し、詳細を指示しながら製品に起こしていく。まゆみんさんはここで服の成り立ちについて叩き込まれました。
そして、その仕事を続けるうちに、ファッションデザイン画でイメージを伝える力も、洗練されていきました。

アパレルのデザイナーから専門店の販売促進へ

「ファッションデザイナーを数年経験したあと、ファッションチェーンストアの販売促進の仕事に就くことになりました。1社目は百貨店向け高級ブランドのデザイナーでしたが、2社目は製造から販売も手がけているSPAストアでの販促業務でした。
そこでは本当にいろいろな経験をさせていただきました。なかでも、自分で絵を描いて説明する、発信するという機会が多かったですね。
仕事の内容は、ファッションに関するマーケティングから販売計画、トレンド発信の冊子を出したり、季節ディスプレイの企画などさまざまで、なかでも好きだったのは店舗デザインの仕事です。年間10件余りの店舗を出店改装で作るのですが、その経験のおかげで図面の情報から空間をすぐにつかむことができようになりました。すごく楽しかったです」

ファッションデザイナーから販売促進の仕事へと転身したまゆみんさんですが、そこでも仕事のキーとなっていたのは“絵”でした。思っていること、考えていることを、絵にして伝える。それはコミュニケーションツールとしてだけでなく、表現としてのイラストレーションの力をも育てるきっかけになったと言えるでしょう。

「そのころ、自分でイラストを描いてデザインしたものをポスターとして印刷するということもありました。
今でも洋服を描くときには、ただ、そのかたちや色、デザインをイラストとして描くのではなく、これがどのようなマインドの服で、どういう重量感で、どういうふうに作られているのか……素材や質感についてバックイメージがあるのです。その上で抽象的に、あいまいさを残しながらイラストレーションとして描いてます」

イラストレーターという職業へのUターン

仕事のフィールドが広がるなかで、まゆみんさんは会社の枠組みにとらわれずに活動できるフリーランスへと転向します。

「まゆみんというペンネームは仲良しの女友達から呼ばれていた名前なんですよ。退職して、ちょっと長い旅行のあとに、それまで在籍していた会社の関係者からデザインのお仕事をいただいたり、いろんな方に助けていただきました。イラストレーションに限らず、いろいろな仕事をして。そうして過ごしているうちに偶然、プロのイラストレーターとして活動をしている方に出会ったんです。
その方は本当に多種多様なイラストを描かれる実力派イラストレーターで、話を聞くうちに、そうだ、やっぱりイラストレーターになりたかったんだ!ということにあらためて気付かされて。弟子入りを申し出て、しばらくお世話になったのです。アクリルで描くこともあれば、水彩のときもあり、ブラシを吹くこともありました」

この出会いがきっかけとなり、職業としてのイラストレーターの輪郭が徐々にはっきりしてきます。
ここでも多くの経験をし、さまざまなアドバイスを得たまゆみんさんが、いまでも印象に残っているのがこんな一言だったそうです。

「幸せ感がないと仕事は来ないよ、って。私はいまでこそ気立てのよさそうな人物を描くことが多いですが、ファッションイラストレーションとして描いていた女性は斜め上を睨んでいるようなイメージ。それは意識して直すようにして。フィールドによってはこの限りではありませんが、もともと私は平和主義者なので、幸せそうな女性を描く、そのスタイルのほうが性に合っていましたね(笑)」

こうした活動と並行して、知人のデザイン会社からもデザインとイラストを受注するなど、幅広いクリエイティブを展開していたまゆみんさんでしたが、大手通信会社のイラストの仕事をきっかけに、一気に専業イラストレーターへの道が開かれていきました。
以降、ファッションイラストレーションのイメージを引き継ぐ、女性的なイラストレーションが高い評価を得て、現在では、食品、美容、ウェルネス系の仕事を中心に活動しています。また、アーティストとして年間を通じて多くの展示会に参加し、オリジナルのテーマ作品も多く発表しています。

絵の可能性を広げたデジタルツール

まゆみんさんがデジタルツールを使い始めたのは、実にイラストレーターになって3年目から。一見、手描きのように感じられるイラストレーションですが、早くからデジタルでの制作に切り替えていたそうです。

「当時はいわゆるMacの黎明期で。“これからはパソコンの時代”という盛り上がりのなかで、私もワクワクしていました。“きっといまが始めどきだ!”いうカンのようなものもあって、Macを買ったんです。
でも、デジタルで描くイラストレーションは、最初は質感がなじまず、うまくいかない面もありました。印刷とのマッチングも違和感があったり。徐々にデジタル環境ならではの作品や作り方を、展示会用の作品などで自分でも納得がいくまでシミュレーションして、制作のレシピを作り出してきました。
画力もテーマも常に悩みの種ではありましたが、デジタルツールを通して自分なりのトーンを見つけてからは、仕事も伸びてきたと思います。
またイラストレーションは、デザイナーさんの手で最終的にアウトプットされますが、デジタルのほうがレイアウトや色といったデザイン面とのコンビネーションも確認しながら制作できるので安心です。とはいえ、すべてをコントロールしたいというわけではありません。制作チームとコミュニケーションしながら作品がより媒体の役に立てるように、進めたいと思っているんです。そうしたときにも、手描きだと要望に合わせた修正や調整、いわゆる“お直し”がしにくいですから……デジタルのほうが絶対に便利ですよね」

イラストレーションに使うのはPhotoshop+ペンタブレット。
なかでもレイヤーの使い方にはまゆみんさんならではのイラストレーションのノウハウが詰まっています。

「手描きでは絶対できないことがPhotoshopならできますよね。いわばデジタル空間のつづれ織りのようなものです。私の場合、コラージュによる奥行きで、イラストのムードを作っていくのですが、そうした試行錯誤ができるのがPhotoshopのいいところです。
何かを描いたらどんどんレイヤーをわけていくので、1枚描き上げると1,000枚くらいのレイヤーができることもあります。モチーフの関係を少しずつ調整したいときにも便利ですし、描き進める中でレイヤーごとに調整を繰り返しながら、画面のバランスや構成を作っていく作業にもレイヤーは欠かせません」

Frescoは宝探しができる夢のようなパレット

Frescoを使い始めてからそれほど時間は経っていないと話すまゆみんさんですが、自身のイラストレーションのなかでの活用方法は見えてきているようです。

「基本的にはPhotoshopで描いているイラストレーションですが、ペン画や水彩、ガッシュでモチーフを起こしたり、実はアナログで素材を作ることも多いんです。
これまでは手描きで描いて、Photoshopに取り込んで使っていましたが、Frescoなら作った画像をクラウドドキュメントに保存すれば、すぐにPhotoshopで利用できますし、ちょっと試してみて違うなと思えば、Frescoで加筆すればすぐにまた、Photoshopにも反映されます。これは便利ですね。欲を言えば、Frescoに画像調整機能があったら……と思いますが(笑)」

「Frescoはベクター画像も描けますが、水彩やガッシュ、ペンといったツールのテクスチャがすごくリアリティありますし、筆圧をかけて、入り抜きのある感覚的なドローイングもとてもいいので、今までPhotoshopになかった部分が本当に気持ちいいんです。
これからはFrescoのみでペン画として仕上げたり、描きたいものをしっかり描き込んで、必要ならPhotoshopでアレンジするという使いかたもあるでしょう。Frescoならではの画材を見つけて自分用のブラシパレット作りをしながら、使っていきたいと思っています」

新しいデジタルツールも積極的に導入しているまゆみんさんですが、手描きの作業台には多くの画材がスタンバイ。ライトテーブルもいまだに備えています。

「手描きのアート作品も制作しますからね。でも、クライアントワークでは急いで仕上げなければならないこともあるので、Fresco+Photoshopだけで、デジタル+アナログの味わいを表現できるのが本当にうれしいです」

「いまの作業デスクでは、Fresco作業用のiPadをペンタブレットの左脇において、マイパレットのように使っています。私はマウスを持ってないので、気づくとタブレットのペンとApple Pencilを2本持ちしてしまっていることもあります。まるで絵筆ですよね(笑)」

「自宅は自分でリノベーション設計した木造住宅なんです。居心地がよくて、いつもここにいるんですけれど(笑)。これからはiPadでもFresco+Photoshopが使えますし、キーボードも導入して、どんどん出かけて、いろいろな場所で使いたいですね」

イラストレーター
まゆみん

Web|https://mayumin.net
blog|https://mayuminlif.exblog.jp
Instagram|https://www.instagram.com/mayuminhosoya_illustration/
Behance|https://www.behance.net/mayumin

POSTED ON 2020.06.20