Photoshop iPad版が生み出す新しいアートワークとのかかわり方

Creative Cloud Design

もう10年近く前、カレン・カントゥは医学部の学生でした。彼女は休みなく勉強し、一生懸命働き、寝る時間はあまりなくて、それでも幸せに過ごしていました。しばらくして、彼女は病気になりました。あまりに病気がひどくて、彼女は中退しなければなりませんでした。

「医大に在籍中の私は、自分にはプランがあり、自分の人生がどこか目的の場所へと向かっているように感じていました」とカレンは語ります。「それで、すべてが崩壊したとき、私は落ち込んでしまいました。自分はどうしたらいいのか本当にわからなくなってしまいました」

カレンの父親は彼女のためにカメラを買いました。彼は、それが彼女の趣味となって、彼女を元気づけるきっかけになればと願ったのです。「私は写真を撮るのが下手だということが分かりました。でも、彼の意図は善いものでした」とカレンは言います。

ある日、オオカバマダラが家の周りを飛び回っていて、カレンはその蝶をゴールデンレトリバーのリリーと一緒にフレームに収めようと躍起になっていました。しばらく挑戦して、それがほとんど不可能な試みであることが判明し、彼女はがっかりしました。そして、その時、彼女はAdobe Photoshopのことを思い出しました。

「私は母のために、コントラストや露出を補正するちょっとした作業ををしていたものです。それまで写真を完全につくり替えたことはありませんでしたが、 『このプログラムを使えば、写真に蝶を追加できるかもしれない』 と思いました」。それから5時間かけて、彼女はリリーの写真に蝶を合成する試みに取り組みました。

画像をつくるのには予想以上に時間がかかりましたが、その数ヶ月間で初めて、カレンは自分が抱えている課題について考えることを忘れていました。「その時に私の頭の中にあったことといえば、『心をすべて奪われるような何かに没頭していることが私は大好きなんだ』という気持ちだけでした」とカレンは言います。「陳腐な話に聞こえるかもしれません。ですが、創造的な作業は私を救ってくれました。私をウツから引き戻し、再び目的を与えてくれました」

写真を編集したり、新しいビジュアルアートをつくることが、カレンの日々のセラピーになりました。彼女はまずとにかくPhotoshopを使い込み、使い方を自習して、自分のスタイルを見つけ出しました。

Photoshop iPad版のプレリリース版が公開されたとき、カレンはその機会を最大限に活用しました。そして、新しいベータ版が出るたびに、新機能を自分のワークフローに組み込む手段を見つけてきました。これから紹介するのは、カレンの作品と、彼女のお気に入りのいくつかの機能です。

インスピレーションを手軽で身近に

カレンは、自分のすべてのエネルギー、思考、感情をプロジェクトに投入することが大好きです。彼女は、それを「作品の中に感情を包み込む」と表現しています。動物好きなカレンにとって、野生動物とアウトドアの2つがそうした感情が向かう先で、また、インスピレーションの主要な源でもあります。それが意味しているのは、彼女がコンピューターから遠く離れているときに、インスピレーションを得る機会が多いということです。

「私にとって、iPadでPhotoshopを使えることは素晴らしい体験でした」とカレンは言います。「どこにいようとも、デスクトップの前にいるときの自分と同じ力を手に、作品に取り掛かることができるのです」

デスクトップ環境でPhotoshopを使って動物を扱うとき、カレンはブラシに大きく依存していました。しかし、Photoshop iPad版ではスタイラスペンを使えます。それにより、彼女はこれまでにないレベルのコントロールを手に入れました。

たとえば、トラのたてがみの毛並みを編集する場合、カレンは毛を一本一本描画することができます。ペンの筆圧を変えれば、まるで画像を手書きしているかのように、線の太さや形状をコントロールすることができます。

「どこにいても思いついたらその場で立ち止まって、1本1本の毛のように細かいディテールをつくり込むことができるため、作品にずっと多くの愛を注げるような気がします。画像の隅々まで自分の手で作成していると実感できることが、私にとって本当に大きな意味を持っています」とカレンは言います。

この感情的なつながりの強さは、カレンの完成した作品にはっきりと表れています。最近の作品では、様々な異なる責任に圧倒された気持ちと込み入った感情を表現しました。その結果として生まれた画像には、花に囲まれたベータフィッシュが進むべき道を見つけようとしている様子が表現されています。

ビジュアルアーティストとしてのカレンは、このようなリッチな画像の編集に、いくつか特有の課題があることを理解しています。モバイルデバイス向けの写真編集アプリにとって、最大のハードルのひとつはレイヤーです。

「Photoshop iPad版が、私のファイルのレイヤーをとても上手く扱えるのを見て驚きました。それぞれのレイヤーを見ることができて、デスクトップと同じようにマスクを利用することもできます。ペンを使って操作できるため、作業によってはiPadで行う方が容易なものさえあります」とカレンは言います。

新しいツールによる新しい可能性の発見

どこに行ってもPhotoshopの機能を使えるという便利さのために、カレンはデスクトップ版よりもiPad版を使うことが多くなりがちだと言います。しかし、どちらかの画面から別の画面に切り替える必要がある場合には、Adobe Creative Cloudのクラウドファイルのおかげでシームレスに移行することができます。

「Photoshopのおかげで自分の新しい面を発見することができました」とカレンは語ります。「私は何も持っていない場所から作品づくりを始め、人々は私の作品を気に入ってくれました。Photoshop iPad版のような新しいツールを使うことで、私はより新しい方法でアートワークをつくり続けることができます。これからも私の作品が人々にインスピレーションを与え続けられることを願っています」

Photoshop iPad版で独自のアイデアに形を与え、Adobe Creative Cloudをもっと活用するために、こちらの記事『iPadのために生まれ変わったPhotoshopと、その開発ストーリー』もお読みください。


この記事はWrapping Feelings in Works of Art with Photoshop on the iPad(著者:The Creative Cloud Team)の抄訳です

POSTED ON 2020.03.18