フォトレタッチの極意34:繊細でリアルな波しぶきを再現する

Creative Cloud Photo

風景やネイチャー写真では、意図せず障害物が写り込んでしまうことが少なくありません。今回の作例は、波が重なるタイミングと波頭から飛沫が舞うタイミングを計って撮影したのに、背後にサーファーの影が写り込んでしまったというもの。色彩もすっきりしないので、障害物の消去と透明感のある色を目指して補正してみましょう。解説はレタッチャー/ライターの桐生彩希さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載した内容から抜粋してお届けします。

Before
After

レタッチの設計

1、露出とボケ味を整える

(1)「パッチツール」を選択する

「ツールパネル」で「パッチツール」を選択したら、ツールのオプションにある「パッチ」から「コンテンツに応じる」を選択する。

(2)消したい範囲を選択してドラッグ

「パッチツール」で消去したい障害物を少し大きめに囲んで選択。選択範囲内をドラッグすると枠が移動するので、元の部分を確認しながら、模様のつながりなどが自然に見える場所を探してマウスのボタンを離す。上手く消えないときは、作業を取り消してから移動先を別の場所を変えたり、選択範囲の大きさを調整してみるとよいだろう。残りの障害物も同じ方法で消去する。

2、「Camera Rawフィルター」を表示する

(1)レイヤーの複製を作る

「Camera Rawフィルター」を調整レイヤー的に使うため、「背景」レイヤーをスマートオブジェクト化する。まずは「レイヤー」パネルで「背景」レイヤーを「新規レイヤーを作成」ボタンにドラッグ&ドロップして複製を作成。

(2)スマートオブジェクト化する

複製したレイヤーをスマートオブジェクトに変換する。(1)で複製したレイヤーを選択し、右上のメニューボタンから「スマートオブジェクトに変換」を選択する。

(3)「Camera Rawフィルター」を選択する

(2)で作成したレイヤーが選択されている状態で、「フィルター」メニューの「Camera Rawフィルター」を選択し、「Camera Rawフィルター」画面を表示する。

3、基本的な補正を施す

(1)「自動補正」を試す

「Camera Rawフィルター」で便利なのが、「基本補正」タブにある、「自動補正」機能。クリックすると各パラメーターが自動で調整され、データ的に適切なコントラストや階調感に整えられる。作例は「自動補正」でほぼイメージに近い色調に仕上がっている。

(2)色みを調整する

作例は夕刻の撮影のため、透明感よりも暖色系の暖かな印象が強い状態。これを補正するため、「色温度」スライダーを左に移動して黄色っぽさを減らし、青みを強める。補正時は、ポイントとなる被写体(作例では波の色)が不自然な青さにならないように補正量に注意する。

(3)彩度を強めて色に深みを出す

仕上がりのイメージより色が浅い感じなので、「自然な彩度」スライダーを右に移動して鮮やかさを強め、色彩を深める。彩度の補正は強過ぎるとノイズが出るので注意。

(4)解像感を高める

波飛沫の描写をより繊細にするには、「明瞭度」スライダーを使うと効果的。「明瞭度」スライダーを右に移動して飛沫を際立てていく。ただし、この機能は強め過ぎるとエッジが太くなり、濁りのある画質になるので注意すること。わずかに違いが感じられる程度で十分。

4、部分的な補正を施す

(1)「段階フィルター」を設定する

画面上半分の海原と空の色彩にもう少し青みを出したい。そこで、段階フィルターアイコンをクリックしたら「色温度」と「露光量」スライダーを左に移動して、色濃い青になるように設定。この設定は後から修整できるので、「補正範囲が分かりやすい強さ」にしておけばよい。

設定できたら、補正したい画面上部から補正しない下部に向かってドラッグ。このとき、Shiftキーを押しながらドラッグすると角度を保つことができる。

(2)補正量を修整する

(1)の「段階フィルター」が選ばれている状態で、写真の色を見ながら補正量を修整する。作例はもう少しボケ部分の輝きを出したかったので、「コントラスト」スライダーを右に移動してメリハリを強めている。コントラストを強めたことにより暗くなり過ぎた暗部は、「露光量」スライダーを右に移動して修整している。

5、シャープ感を整える

(1)写真を100%表示にする

左上のズームツールアイコンをダブルクリックして100%表示にし、手のひらツールアイコンをクリックしてから写真上でドラッグしてシャープ効果の分かりやすい部分を表示。続けて、ディテールボタンをクリックして「ディテール」タブを表示する。

(2)シャープを最大で適用する

シャープ系フィルターを使うコツが、「効果の分かる最小の設定」にすること。これは、最大値から設定を下げていくと適量が見つけやすい。そこで、最初に「適用量」「半径」「ディテール」スライダーを最大に、「マスク」スライダーを最小に設定して、最大の効果が適用される状態にしておく。

(3)「マスク」スライダーを調整する

「マスク」とは、滑らかな部分のシャープ効果をマスクする機能のこと。スライダーを右に移動すると、滑らかな部分のザラつき(シャープ効果)が軽減される。写真の滑らかな部分に注目し、エッジだけにシャープが適用される状態を目指す。

(4)「ディテール」スライダーを調整する

「ディテール」の調整は、写真のエッジを見ながらスライダーを左に移動して、効果の分かる最小の設定を目指せばOK。

(5)「半径」スライダーを調整する

「半径」スライダーで、シャープを適用するエッジの太さを調整する。設定値が小さいほどエッジが細くなるので、スライダーを左に移動して効果の分かる最小の設定(細いエッジ)に調整する。

(6)「適用量」スライダーを調整する

最後は、シャープの強さを決める「適用量」スライダーを調整。この機能もほかのスライダーと同様に、効果の分かる最小の設定にすればOK。写真の状態を見ながら「適用量」スライダーを左に移動し、効果が分かるギリギリの設定を目指す。調整が完了したら「OK」ボタンで確定して作業完了。

Before
After

さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO で連載中の「風景&ネイチャー レタッチの教科書」(解説・写真:桐生彩希)に掲載されています。サンプルファイルもダウンロードできますので、ぜひ挑戦してみてください!

POSTED ON 2019.07.31

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