フォトレタッチの極意36:色の大人しい夕日を印象的な色彩に仕上げる

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朝日や夕日が染め上げる景色は、実際にその場で見ると美しくても、写真に撮ると現実の色と記憶の色の違いもあって、がっかりすることが少なくありません。焼けた空の色彩や上空の青さを再現し、「こんなはずじゃなかった」写真を記憶どおりの仕上がりにレタッチしてみましょう。解説はレタッチャー/ライターの桐生彩希さん。「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に掲載した内容から抜粋してお届けします。

Before
After(※クリックで拡大)

レタッチの設計

1、全体の露出とコントラストを整える

(1)「トーンカーブ」を選択

少し色の濃さを出したいので、色濃く(暗め)補正するための「トーンカーブ」(調整レイヤー)を用意する。レイヤーパネル下部の「塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成」ボタンから「トーンカーブ」を選択する。

(2)明るさとコントラストを整える

トーンカーブが表示されたら、線グラフの左下と右上付近にポイントを作成。左下のポイントを上下するとシャドウの明暗が、右上のポイントではハイライトの明暗が調整できる。写真の変化を見ながらふたつのポイントを上下させて調整。作例の場合は、シャドウのポイントを下げて暗くし、色濃くなるようにコントラストを強めている。

2、空の青さに深みを出す

(1)「トーンカーブ」を選択

次に、空の高いところに見えている青系の色を補正する。空の高い位置になるほど青の強さを強めていきたいので、調整レイヤーのトーンカーブ+レイヤーマスクで作業を行っていく。まずは、レイヤーパネル下部の「塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成」ボタンから「トーンカーブ」を選択して2つ目のトーンカーブ機能を表示。

(2)「グリーン」チャンネルを編集

青に深みを出すには、マゼンタとシアンを増加すればOK。トーンカーブのチャンネルでいうなら、「グリーン」と「レッド」チャンネルに相当する。「チャンネル」を「グリーン」に設定して、線グラフの中央を下げてマゼンタを強めておく。

(3)「レッド」チャンネルを編集

続けて同じトーンカーブでシアンを増加していく。「チャンネル」を「レッド」に変更し、線グラフの中央を下げればOK。これで(2)のマゼンタと(3)のシアンが重なり、発色のよい青が再現できるようになる。

(4)マスク描画の準備

このままでは、空の青さを改善する補正が写真全体に適用されてしまう。必要なのは青い部分のある画面上部だけなので、補正をこの範囲に制限するために「レイヤーマスク」を使用する。まずは、「レイヤー」パネルで「トーンカーブ2」レイヤーの「レイヤーマスクサムネール」をクリックして選択。

(5)「グラデーションツール」を設定する

画面の上部に向けて滑らかに補正を適用したいので、レイヤーマスクへの描画は「グラデーションツール」で行う。①ツールパネルで「グラデーションツール」を選択したら、②「グラデーションピッカー」ボタンをクリックして、③「黒、白」を選択。グラデーションのタイプは④「線形グラデーション」に設定し、⑤「不透明度」を「100%」にしておく。

(6)補正の範囲を制限する

「トーンカーブ2」レイヤーの「レイヤーマスクサムネール」と、ツールパネルの「グラデーションツール」が選択されているのを確認したら、補正しない部分から補正を適用する部分に向けて写真上でドラッグ。このとき、Shiftキーを押しながらドラッグすると角度が固定できる。

3、青と赤の発色を調整する

(1)「特定色域の選択」を選択

青や赤系色の微妙な発色をコントロールするには、調整レイヤーの「特定色域の選択」が便利。「レイヤー」パネル下部の「塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成」ボタンから「特定色域の選択」を選択して属性パネルに「特定色域の選択」画面を表示。画面下部の設定は「絶対値」にしておく。

(2)赤系の色を調整する

まずは、赤系の色の発色から整えていく。属性パネルの「特定色域の選択」画面で「カラー」を「レッド系」に設定したら、赤い色に着目して各スライダーを調整。作例では、少しオレンジ色の雰囲気を出したかったので、「イエロー」スライダーを右に移動して色を整えている。

(3)青系の色を調整する

(2)の「特定色域の選択」を使い、今度は青の発色を補正する。「特定色域の選択」画面で「カラー」から「ブルー系」を選択し、「シアン」と「マゼンタ」スライダーを右に移動。これで、青い色に対してシアンとマゼンタが増加し、深みを出すことができる。

4、全体の雰囲気を整える

(1)「カラーバランス」を選択する

各部の色は整えられたので、今度は全体の色を調整して雰囲気を再現する。「レイヤー」パネル下部の「塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成」ボタンから「カラーバランス」を選択し、属性パネルに「カラーバランス」画面を表示。「輝度を保持」のチェックは外しておく。

(2)燃え立つような夕景を再現

仕上がりのイメージは「熱っぽい燃えるような夕焼け」なので、それに合わせて暖色系に偏るように補正していく。補正する階調は「中間調」を選択し、全体的な色彩が調整できる設定に。オレンジ色を残しつつ藤色と熱い空気感がほしかったので、マゼンタとレッドを増加した。

(3)補正のバランスを整える

調整レイヤーを使った補正の最後に、各補正の強さを整えておく。たいていは補正が強過ぎる傾向にあるので、必要に応じてレイヤーパネルの「不透明度」を下げて補正を弱めておこう。

5、色温度で色彩を作り込む

(1)表示部分の複製を作る

「Camera Rawフィルター」で色彩を作り込んでいく。調整を試行錯誤できるように「補正された状態」のレイヤーを複製して、「スマートオブジェクト」に変換してから「Camera Rawフィルター」を使う。まずは、レイヤーパネルでいちばん上のレイヤーを選択して、キーボードで「Alt+Shift+Ctrl+E」(Macは「Command+Shift+Option+E」)キーを同時に押してレイヤーの複製を作成する。

(2)スマートオブジェクトに変換

複製したレイヤーを「スマートオブジェクト」に変換する。レイヤーパネルで複製したレイヤーを選択し、レイヤーパネルのメニューボタンから「スマートオブジェクトに変換」を選択。

(3)「Camera Rawフィルター」を選択

(2)でスマートオブジェクトに変換した画像のレイヤーを選択し、「フィルター」メニューの「Camera Rawフィルター」を選択すると「Camera Raw」画面が表示される。

(4)色温度を調整する

「Camera Rawフィルター」では、「色温度」と「色かぶり補正」を中心に調整していく。作例では、空の青と夕焼けの赤の色彩を強めるため、「色温度」を左に移動して青を強め、「色かぶり補正」を右に移動してマゼンタを強めている。さらに、澄んだ空気の透明感を出すために「露光量」と「白レベル」で明るめにし、薄くなったハイライトは「ハイライト」スライダーを左に移動して改善。調整できたら「OK」ボタンをクリックして確定。

(5)補正のバランスを調整するアイデア

「Camera Rawフィルター」の補正の強さは、レイヤーパネルで「Camera Rawフィルター」の名称部分をダブルクリックすれば調整できるのだが、ここでは、元画像によって補正をなじませるテクニックを使う。まずは、レイヤーパネルで「背景」レイヤーを「新規レイヤーを作成」ボタンにドラッグ&ドロップして複製を作り、「背景のコピー」レイヤーを作ったらドラッグで移動して一番上に配置する。

(6)補正のバランスを仕上げる

(5)の作業直後は、元の画像が見えているので補正は適用されていない状態になっている。そこで、レイヤーパネルで複製した元画像のレイヤーを選択し、「不透明度」を下げて補正された画像と色を混ぜ合わせていく。多くの場合、最初の補正は強過ぎるため、弱めてなじませるこの方法は覚えておくと便利。元の色調との差で補正の強さが調整できるので、違和感のない色に仕上げられる。


Before
After(※クリックで拡大)

さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO で連載中の「風景&ネイチャー レタッチの教科書」(解説・写真:桐生彩希)に掲載されています。サンプルファイルもダウンロードできますので、ぜひ挑戦してみてください!

POSTED ON 2019.10.10

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