クリエイティブなワークスペースの力

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アドビの「Design is Power」プログラムでは、このような記事の他にも様々なリソースやアイデアをデザインリーダーの皆様にお届けしています。

現在では、従業員の生産性や業績は、職業的な福祉、満足度、全体的な幸せに結び付いているという考えがしっかりと確立されています。これら3つに寄与する主な要因は、企業のしっかりした組織デザインです。企業の目標と一致した組織図を始めとし、明確に定義された役割や、心理学の裏付けがある座席表に至る、優れた組織デザインには、ブランドの成功や顧客ロイヤルティの大きな要素である企業の生産性を画期的に変える可能性があります。

組織図や企業理念に加え、物理的なワークスペース(作業環境)そのものも生産性に寄与しています。また、デザイナーにとっては、活動の独創性やインパクトレベルに影響を及ぼします。個々のスタイルや好みはありますが、デザイナーが実力を発揮できるのは、エネルギーにあふれ視覚的にインスピレーションを得られる環境、すなわち流動的なプロセス、クリエイティビティ、アイデアの発展がサポートされる環境です。その上、ユニークな企業のワークスペースは、デザイナーを目的意識と所属意識に結び付けます。つまり、デザイナーをサポートするワークスペースによって、アーティストのスランプを回避でき、企業が新しい方向へと進むことができます。

企業のアイデンティティを表現

ワークスペースは、組織の物理的なシンボルとして、企業の目標、優先度、存在を反映していることが重要です。表現豊かなアーキテクチャやアクセントは会社のアイデンティティを表すと同時に、従業員に視覚的なインスピレーションを与えます。

アドビでは、カリフォルニア州サンノゼ本社を最近リノベーションした際に、デザイナーのニーズに応えてバーが設けられました。ユニークなアート、広々とした明るい構造、緑地、メディテーションルーム、コミュニティガーデンが形成する空間で、リラックスし、エネルギーを貯め、インスピレーションを受けます。開かれたワークスペースと閉じこもることができるワークスペースが、室内にも屋外にもあり、毎日変化する仕事のニーズと目標に応じて選ぶことができます。

「私たちのワークスペースは、インスピレーションを引き出すようなデザインや、ブランドの活力を反映する美意識をかなり強調し、クリエイティブで革新的かつ協調的なカルチャーを表しています」と、アドビのJonathan Francom(Vice President, Employee & Workplace Solutions)は、Business Insiderに語りました。「私たちは、様々なコミュニティスペースや仕事用のサブスペースを作りました。従業員たちは仕事をする場所や方法を選ぶことができます。新たな方法で出会ったりコラボレーションしたりする機会も提供されます。1日の終わりには、人が集まってイノベーションのきっかけを作ることができればいいと思っています」

美的な感覚によって、会社の一体感が形成され、コラボレーションとインスピレーションが育まれます。しかし、アドビはもう一歩先に進んでいます。必要に応じてワークスペースの環境を選ぶことができるため、デザイナーは、好みや仕事のスタイル、業務のタイプに柔軟に合わせて、それぞれの創作活動の生産性を高めることができます。

クリエイティビティは変化するものです。作業は単独でおこなうこともあれば、大勢のグループや少数のグループ、ペアを組んでおこなうこともあり、アイデアはチームが有機的に反復するにつれて進化します。また、Steelcaseの調査では、対象者の44%が気を散らさずに仕事をできる環境があればもっとクリエイティブになれると感じていました。つまり、共同作業のための空間や1人でブレインストーミングをおこなえる空間など、企業が独創的な空間を用意して生産性のニーズを満たしたとき、デザイナーはクリエイティビティを発揮するために手厚くサポートされていると感じます。

デザインにおけるあらゆる要素と同じく、デザイナーの生産性に関する特定のニーズを満たすには、まず観察して質問します。何が役に立つのか、そしてそれはなぜなのか。

デザイナーの仕事のスタイルを学ぶ

環境心理学者によって、デザイナーがデザインするために何が必要かを正確に特定するのは簡単そうに思えるが、デザイナーが仕事に没頭して生産性を上げるために重要な方法であることが明らかになりました。これは、共同作業のためのスペース、個々の作業、全体的なクリエイティブ環境について計画することを意味します。また、仕事の習慣を調査することも意味しています。習慣に対応できるように選択肢を増やせるからです。

まず観察して質問します。デザイナーがよく共同作業をおこなっているのはどこですか。オープンスペースですか。仕切られた会議室ですか。個人の作業をよくおこなうのは、他の人たちと一緒の場所ですか。自分たちだけの場所ですか。デザイナーが感じることが、彼らのクリエイティビティを最大限に発揮する妨げになっていますか。

デザイナーたちと率直なコミュニケーションが十分に取れていれば、何を必要としているかという話し合いをすぐに始めてかまいません。正直に回答してもらうもう1つのよい方法は、環境心理学者Sally Augustin氏によれば、中立の立場の人物(組織の外部の人物でフィードバックのための回答の秘密を守ることができる)が調査することです。

このようなニーズの定義は、チームが個人として働く方法を把握するのに役立つだけではなく、一緒に働くために最適な方法や、彼らが必要としている選択肢を把握することにも役立ちます。現代の従業員はある程度の柔軟性を期待しています。例えば、自分のデスクではない場所で自由に仕事ができることや、チームと一緒にブレインストーミングをおこなうための場所やツールがあることです。また、戦略会議からコンセプト設定セッションに至るまで仕事のシチュエーションは日によって無数に変わるため、柔軟性が高く融通の効く空間が必要です。

インテリアデザイナーKelly Robinson氏は、「フリーアドレス」という仕事のスタイルの正当性を信じています。「いつも同じデスクで仕事をする日々は過ぎ去りました」と、Bone magazineで語っています。こうした現代の空間をデザインする方法を考慮するとき、彼女は会社と従業員に集中します。彼らを結び付けるものは何か、インスピレーションを与え興奮させるものは何か、一体感を維持または導入するためにデザインでできるのは何かを考えます。また、最も効率よく働くために必要なものは何かということも考えます。

「スペースの各部分に特定の機能を持たせることは、非常に優れたオフィスデザインを構成する要素の1つです」と、彼女はFirst Round Reviewに語りました。「その場所に行けば他の作業に関わらずベストの仕事ができることが望みです」

自然のすべての要素を考慮する

しかし、こうした融通の効くスペースは整理されているだけではありません。機能を備えた形式があります。最適なワークスペースでは、適切な照明や配色、屋外の景色、または均質な音により、気分を高めたり落ち着かせたりすることができます。活力と静けさのちょうどいいバランスを取ることで、楽しく穏やかなワークエクスペリエンスが実現し、生産性と幸福の向上につながります

シアトルの中心街に来年オープンするアマゾン社の「スフィア」のデザインはこの原則にもとづいています。ほとんどの部分が透明な球状の構造体は、仕事用のサブスペースとして利用され、同じ気候が生育に適した植物も植えられます。建築業者がこうした植物を植えたのは、気分の向上、ストレスの軽減、気持ちのリフレッシュに役立つという、働く人々にとっての植栽のメリットを示す研究者のアドバイスによるものです。アマゾンでは、このアプローチによって従業員の幸福、健康、生産性、クリエイティビティが増進すると信じています。

室内であれ屋外であれ、活気があっても穏やかでも、ワークスペースは、デザイナーが会社とチーム両方のクリエイティブな目標に到達できるように力づけるものでなくてはなりません。デザイナーに最適な作業環境では、デザイナーの仕事と健康のニーズが優先されます。そうすることで、気力を高め、思索と行動の両方に対応するすっきり整理された空間を提供し、創造するための精神的な空間を与えます。

POSTED ON 2019.04.1