初めての音声プロトタイプをデザインして学んだ6つの教訓 | アドビUX道場 #UXDojo

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スマートフォンへの音声アシスタントの搭載、Amazon EchoやGoogle Home等のスマートスピーカーの登場などにより、音声体験は急速に普及しつつあります。それと同時に音声体験の種類も増加しています。Amazonは、2019年1月の時点で、8万以上のAlexaスキルがあると公表しました。相当な時間をAlexaやGoogle AssistantやSiriとのチャットに費やしてきた人も多いのではないでしょうか。音声はユーザー体験をデザインする際の重要なパーツになりつつあり、デザイナーにとってそうした状況に適応する努力をする価値は十分にあるように思われます。

アドビでのインターンシップの機会について初めて聞いた私は、毎日使っているツールを開発している会社で働ける可能性に胸が高鳴りました。ニューヨーク大学大学院の勉強とフリーランスのUXデザイナーとしての仕事の両方で、Adobe XDは大きな割合を占めるようになっていたからです。この夏のXDのコンテンツデザインのインターンとして認められた時、私は大変嬉しい思いをしたものですが、初めての音声プロトタイプを作成する機会を与えられたときも同様でした。そうして音声UIのプロトタイプに取り組むことで、音声を使うことの大きな可能性(といくつかの課題)についての洞察を得ることができました。

Behanceに公開されている私の音声プロトタイプは、音声を使ったホームセキュリティ関連のAlexaスキルで、HomeSafeと名付けられています。EchoとEcho Showの両方に対応し、ユーザーは自分の声だけで家の照明の操作や施錠ができるツールのアイデアです。

この記事では、最初の音声プロトタイプと取り組んだときに学んだ6つのポイント紹介したいと思います。

1. なぜそのアイデアが音声体験として理にかなっているのかを理解すること

私が最初に格闘することになった課題のひとつは、個々の良い音声体験を成り立たせているものが何かを突き止めることでした。つまり、なぜ代わりに普通のモバイルアプリをつくらないのかということです。

この問題について考えることで、音声インターフェイスが実際に有用な場面についていくつかの洞察を得ることができました。例えばユーザーがすでにベッドの中にいて目を開けたくないなど、ユーザーが手を使わずにタスクを完了する必要があるケースです。あるいは、必要な操作がアプリの設定の階層深くにある場合のように、小さなタスクに大きな手間がかかるケースもそうでしょう。こうした洞察を得たことで、初めてのプロトタイプのアイデアを絞り込むことができました。

私が想定したユースケースは、ベッドに入って眠ろうとしていた人が、家の明かりをちゃんと消してあるかとか、玄関をの鍵をロックしてあるかとか、急に気になったというものです。起き上がって家の中を一周して確認したり、暗闇の中スマートフォンを探す代わりに、音声で確認を頼むことができるアプリがあれば便利そうな状況です。

2. 可能な限り自分のプロトタイプに話しかけること

作成したプロトタイプに話しかけることは、最終的なインタラクションがどのように感じられるかを把握するための優れた方法です。

私は、最初のユーザーフローのシナリオを書いて、デザインした画面をワイヤーでつなげたら、すぐにプロトタイプモードでテストを開始しました。すると、それが効率的で優れた判断だったことが判明しました。紙の上では意味が通ると思っていた会話が、必ずしも音声ではスムーズにいかなかったのです。応答が長すぎたり、フレーズが不自然だったり覚えにくいことを実感できたおかげで、ユーザーフローの調整がやりやすくなりました。初期のフローのときは、対話を進めるために言うべきことを忘れたり、提示されたオプションを覚えられないことがありました。この経験が、コマンドを単純化し、応答を単純化するための優れた指標になりました。

3. 試行錯誤を受け入れること

プロトタイプが期待通りに動作していないとしたら、それは実際には良いことです。ユーザーテストの時に、正しいと思われる応答を返したのに失敗するユーザーの姿を見るよりも、初期段階で自ら失敗して、問題点を修正しておく方が望ましいでしょう。

私がよく使うことになったXDの機能のひとつは、プロトタイプのプレビュー中に音声入力に対する通知を表示する機能でした。この機能は、Adobe XDが何を聞いたのか知らせてくれます。一致するトリガーが無い場合には、通知を受けとることになるでしょう。

he show notifications for voice feature in Adobe XD's Voice Prototyping tool will generate feedback about an initiated command providing insight into why some interactions may not work as intended.

これが便利な理由はいくつかあります。トリガーになる言葉が「ドル」だったのに、XDは「ドール」と聞きとったとしましょう。「ドール」をトリガーに追加すれば、プロトタイプは意図したとおりに動作するようになります。あるいは、混雑した場所でプロトタイプをテストしていたために、他の人の会話を拾ったのかもしれません。こうしたケースは複数回ありました。問題が何であれ、通知が表示されることで何が起きているかを把握でき、プロトタイプを調整することができます。

4. 早期に繰り返しユーザーテストを実施すること

これはUXデザインの一般的な約束事です。そして、音声を扱う際には特に重要です。GUIの場合は、ユーザーに視覚的なヒントや手掛かりを提供して、ユーザーがインタラクションの際に状況を判断できるように支援することが可能です。

音声UIではそうはいきません。自分では、ユーザーが正しい反応しかしないようにインタラクションをデザインしたと思っていても、ユーザーはあなたを驚かせるでしょう。ですから、多様な応答に対応できるように柔軟性が必要になります。

XDでは、同じアートボードへの遷移に複数のトリガーを作成できます。HomeSafeのプロトタイプ作成した時、「居間の電気がついています。消しますか?」という質問に対して、当初は「Yes(はい)」のトリガーしか設定してなかったのですが、ユーザテストを行ったところ、「消して」や「スイッチ切って」などと言われるケースがありました。私は、より滑らかなユーザー体験になるよう、これらのトリガーをプロトタイプに追加しました。

5. マルチモーダルな体験のデザインが、音声のみの体験のデザインとは異なる課題を提示すること

私のプロジェクトでは、音声入力だけのAmazon Echoに加え、タッチスクリーンが付いたEcho Showにも対応するAlexaスキルのプロトタイプを作成しました。音声フローの作成は、プロトタイプに話しかけたり、ユーザーテストにより進めました。

より厄介だったのは、Echo Showのために、画面をうまく利用したマルチモーダルな体験をつくり出す方法を見つけることでした。私のAlexaスキルは音声を第一にデザインされたものでしたが、複数の方法でユーザーがタスクを完了できるようにしたかったのです。視覚的に表示することが有用な情報やインタラクションと、音声による伝達との重複をバランスさせることは困難でした。最終的には、ユーザーがタッチスクリーンの操作と音声による操作を選べるよう、入力方法に依存しない仕様を選択しました。

6. フラストレーションを解消する方法をデザインすること

音声UIと日常的にやり取りしているおかげで、私はデバイスとの会話に不満を感じることに慣れています。SiriやAlexaに「申し訳ありません、理解できませんでした」と言われた回答はもう覚えていませんし、欲しい選択肢が含まれていないリストから選ぶように求められた回数は数えきれないほどです。

実際に音声プロトタイプを設計したおかげで、なぜ音声UIが正しく応答できないことがあるのか、その理由について新たな視点を得ることができました。設計に十分な応答のオプションが含まれているか?正しい応答に導くようにインタラクションがデザインされているか?などです。

では、ユーザーとデバイスの対話を成功させる音声UIをつくるにはどうすればよいのでしょうか。私のフラストレーションは好奇心に変わり、今ではこの挑戦に取り組り組める機会を楽しみに待っています。音声が将来の主要な媒体になるのであれば、音声UIがユーザーにスムーズな体験を提供するのに十分な寛容性を提供できるようにすることは必須です。

おわりに

初めての音声プロトタイプを作成して、音声デザインの可能性をさらに探るための次のチャンスが待ち遠しくなりました。私が特に楽しみにしている課題をいくつか挙げると、視覚障害者や身体障害者が利用しやすいアプリケーションを開発すること、母国語以外の言語スキルを練習する方法を培うこと、そして、高齢者の認知機能を向上させるゲームを開発することです。

冗談を言わせたり、家の多くの部分をコントロールするための媒体としても使える音声の柔軟性は、デザイナーが創造的な能力を発揮するための可能性を大きく開きます。私は、もっといろいろと手を動かしたい気持ちで一杯です。


この記事は6 Things I Learned by Building My First Voice Prototype(著者: Cara Neel)の抄訳です

POSTED ON 2019.08.21