Adobe SummitのSneaksに アドビジャパンのエンジニアが初めて登壇! アドビジャパンの研究開発本部が目指すイノベーション

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2019年3月に開催されたAdobe Summit 2019で、日本の研究開発本部が初めて「Summit Sneaks」にプレゼンターとして参加しました! 開発中の最先端テクノロジーを“チラ見せ”する人気セッションのSummit Sneaksで会場から絶賛されたその発表内容と、今回初参加を決めた経緯を、研究開発本部 ソフトウェアエンジニアの張 品(Pin “Mason” Zhang)、エンジニアリングマネージャーの河内正敏に聞きました。

Adobe Summitの花形セッション「Summit Sneaks」

2019年3月27日、米国ラスベガスで開催された「Adobe Summit 2019」。8年目を迎える今回は、1万7,000人を超える参加者が会場に集いました。

Adobe Summitで最もエキサイティングなセッションが「Summit Sneaks」です。

このセッションでは、まだ誰も見たことがないアドビの最先端テクノロジーやアイディアをいち早く見ることができる上、あえて技術に詳しくないセレブを聞き手に対話形式で紹介するステージはエンターテインメント性が高く、高い人気セッションとなっています。今回のSummit Sneaksでは、コメディ番組『The Mindy Project』や映画『オーシャンズ8』のアミータ役で人気のミンディ カリングがゲストでした。


アドビジャパンの社員として初めてSummit Sneaksのステージに登壇したMason

そんなSummit Sneaksに、今年初めてアドビジャパンの研究開発本部からテクノロジーを紹介するプレゼンターとして壇上に立ったのは、日本のアドビシステムズ、研究開発本部に所属するシニアソフトウェアエンジニアの張 品(Pin Zhang)、通称”Mason”です。

Adobe SenseiがSlackで答えてくれる

Masonが紹介したテクノロジーは、アドビのAIエンジンであるAdobe Senseiを、ユーザーが日常業務のなかで簡単かつ最大限に活用できるようにしたものです。

Adobe Senseiは優れたAIエンジンですが、アドビ製品のUIからでないと容易にアクセスできません。MasonはそんなAdobe SenseiとAdobe I/O を組み合わせることで、みんなが普段使っているツールから、必要な時に必要な機能を組み合わせて使えることを実証し、その無限の可能性を提案。プレゼンでは、コミュニケーションツールSlackによるAdobe Senseiの活用例を紹介しました。


Summit Sneaksで登壇するMason

まずはPredictive Subject Lineと呼ばれる機能です。これはメールの件名を入力すると、メールの開封率を予測する機能で、デモでは「今夜開催するミンディのコンサートを通知するメール」の件名を、4ワード以内でミンディ自身に考案してもらいました(どんな件名だったのかはこちらの動画をご覧ください)。

考えてもらった件名をSlackのテキストボックスに打ち込み、開封率を尋ねる専用コマンドを入力すると、なんと! 数秒経たないうちに「開封率は13.47%」という答えが返ってきました!(平均的な開封率は10%です)


ミンディが提案したサブジェクトラインの開封率を予測

効果的なメッセージができたら、それをさらに活用したいもの。Masonは次に、SlackからAdobe Senseiに向けて「ミンディのメッセージを自動的に画像にはめ込む」ように指示しました。するとAdobe Senseiは、メインの画像に文字がかぶらないようにテキストの位置や大きさを自動調整し、効果的に画像に配置してSlackに表示します。さらにMasonがAdobe Senseiに指示を出すと、画像を自動的にトリミングして美しく仕上げたり、モバイル機器の画面サイズに応じた大きさに変えたりし、さまざま用途に使えるバナー用画像を作成します。


Adobe Senseiがさまざまなパターンの画像をSlackで提案

これにはミンディも会場もびっくり。Masonは「会場にいた人たちだけではなく、YouTubeで動画を見た人たちからも好意的な反応がありました。この機能が役に立つと確信しています」と述べています。

日本の研究開発チームがSummit Sneaksに初参加した理由

Summit Sneaksは、開発中の先端テクノロジー発表の場ではありますが、必ずしもプロトタイプをデモする必要はありません。アイディア段階で発表するケースもたくさんあります。

Summit Sneaksはグローバルの研究開発チームからアイディアが公募されますが、これまで日本の研究開発チームアイディアを応募したことはありませんでした。研究開発本部 エンジニアリングマネージャー 河内正敏は「今回はアドビ内部予選でも勝ち残れ、革新的で将来的な可能性まで見せられる素晴らしいアイディアだと確信したので、チャレンジする価値があると判断しました」と説明します。

実はアドビジャパンの研究開発本部は、業界的にも世界的にも特殊な役割を担っています。それは、「グローバルでリリースされる製品そのものの機能と、日本市場が求める機能のギャップを埋め、アドビのソリューションとして提供できる高品質のサービスを開発すること」です。

製品の日本語化であれば、海外のソフトウェアベンダーの多くが行なっています。しかしアドビの場合は日本語化だけでなく、市場が求める機能にまで踏み込んで国内で開発している点が、業界視点から見ても非常にユニークな存在です。

そんな日々の業務を積み重ねる中で、「Summit Sneaksに応募しよう」と提案したのがMasonでした。きっかけは、昨年9月に東京都内で開催した「Adobe Symposium 2018」のデモのセットアップです。このデモのために準備をするうち、「こんなことを組み合わせたら面白いのではないか」とインスピレーションがひらめいたとのこと。


手前:アドビ システムズ 株式会社 研究開発本部
ソフトウェアエンジニア 張 品(Pin “”Mason” Zhang)
後方: エンジニアリングマネージャー 河内正敏

「LINE Channelの開発にてCampaignチームと協力して機能リリースを果たした実績をもとに、同製品の件名予測機能の日本語化の実装を担当しました。日本語化にあたっては、もともと件名予測機能を開発したインドのリサーチチームと協力して実現しており、Adobe Sensei についてより深い知識を得ることができました。加えて昨年のSymposiumイベントのデモサポートでAdobe I/Oのノウハウを得て、これら一連の経験が今回のSneaksデモに結びついていると言えます。」(Mason)

初めての参加で学んだこと

Masonは北京の大学を卒業すると同時に、Adobe Chinaに入社しました。最初の6年間を中国法人で過ごした後、4年前にアドビジャパンの研究開発部門へ転籍。以来、Masonはさまざまなアドビ製品の開発やテスト、デモ作成、ソリューション開発などに従事してきました。マーケティングオートメーションのチャネルにLINEを追加したのもMasonです。日本の研究開発本部になくてはならない人材として、チームを支えてきたのです。

そうした日々の研究開発を積み重ね、その成果としてSummit Sneaksへの参加を提案し、目標に向けてまい進していたMasonですが、もともとエンジニアであるため、プレゼンテーションには不慣れだったそう。実は参加者は、Adobe Summitの1週間前に現地に集まり、ほとんどホテルに缶詰状態で繰り返しプレゼンの練習を行うそうです。実際、「プレゼン本番より、練習で初めてプレゼンする時の方が、プレッシャーがありました」(Mason)と言います。

Summit Sneaksで流暢にプレゼンするMason

Masonはこの体験だけで、ブログ記事が何本も書けるほどさまざまなことを学んだそうです。また日本の研究開発本部も、Masonの経験「これだけの練習があるからこそ、あのSummit Sneaksはいつも有意義で楽しく、人気のセッションなのだ」ということを知ることができました。

さらなるイノベーションを目指して

Masonのプレゼンは非常に完成度が高く、その気になればすぐに製品に実装できるものです。ひょっとすると来年、数年のうちには、より高度化してリリースされるかもしれません。

そんな実績を作ったMasonですが、今後の目標について「Adobe Senseiの日本語サポートをさらに増やしていきたい」と考えています。

研究開発本部の目標としては2つあります。1つは、デモで行った具体的なテクノロジーを、製品として実現する方法を見つけていくこと。デモそのものの技術レベルも向上したので、今後はこうしたテクニックを生かしながら、製品化していくことへとエスカレーションさせていくことを目指しています。

もう1つは、日本の研究開発本部として、イノベーションをさらに推進していくこと。今回のSummit Sneaksの準備の中で、イノベーションのためのいろいろな発想法を学ぶことができたので、その方法を生かしてさらに革新的な提案をしていくそうです。

来る7月24日に開催される Adobe Symposium 2019 でもSneaksのセッションを予定しております。 現在鋭意準備中です。是非ご来場いただければ幸いです。

POSTED ON 2019.06.10