データを活用して優れた顧客体験を創出

Experience Cloud 分析

飛行機の遅延、荷物の紛失、不安なタクシー乗車、騒がしいホテルの宿泊客。旅行にまつわるストレスを切実な問題と考えてきたMarriottは、つい最近になって、こうした問題をデータによって和らげる方法を発見した。

それは、ホテルの宿泊だけにとどまらず、旅行全体にわたって顧客情報を収集し、活用し、応用することだ。Marriottは、旅行検索サイトの利用から航空券やクルーズの予約、レンタカー、ホテルのチェックイン、ルームサービス、スパでのトリートメントなどに至るまで、情報を幅広く集め、初めての宿泊客もリピート客も含めて、「予測可能なデータポイント」を顧客ごとに作成した。

新たなソリューションを生み出したMarriottのデータ活用

旅のストレスの主な原因は、未知であることだ。そこで、Marriottは顧客の意識の中にある「データポイント」、すなわち、いつも乗る飛行機やよく訪れるコーヒーショップなどを把握し、その情報を統合されたひとつのデータ基盤に詰め込んだ。

これをベースに、予測可能なデータポイントで優れた顧客体験を提供する道を探る。例えば、コーヒーをいつもブラックで飲む顧客には、何も言われなくてもブラックコーヒーを差し出し、夜間のフライトで早朝に到着する顧客にはアーリーチェックインのサービスを用意するなど、ストレスを和らげるためのちょっとした気遣いやサービスなどだ。

顧客インサイト、例えば、Marriottが集めている予測可能なデータポイントなどは、効果的なパーソナライゼーションの中核となる。このように、深いインサイトを得るための第一歩は、顧客と企業の直接的な接点だけでなく、旅行のあらゆる接点を通じて、見込み客や既存顧客の人物像を知ることにほかならない。

すなわち、顧客が旅行を想起し始めた瞬間から、帰宅して旅行写真を知人と共有する瞬間に至るまで、旅行全体を通して、顧客とつながるということなのだ。

顧客の全体像はなぜ重要か

データシェアリングエコノミー
ホテル経営者の92%が、宿泊客は予約時や到着前に選択した要素を活用して、宿泊をパーソナライズしてほしいと期待していると回答(Amadeus)

ExpediaやOrbits、Travelocityといったオンラインの旅行代理店や、Kayakのようなメタ検索サイトは、既に旅行に存在する多くの接点を通じて旅行者とやり取りしている。

このような事業者は、従来型の大手旅行代理店より旅行者の全体像を大きく捉えているため、航空料金やホテル、レンタカーなど、ひとつのサイトで様々な提案ができる。大手旅行代理店は、この動きに遅れを取っている状況にある。

トラベルマーケターの43%は、既に「デジタルトランスフォーメーションのための統合機能」を保有
トラベルマーケターの43%は、既に「デジタルトランスフォーメーションのための統合機能」を保有。 出典:Digital Trends in the Travel and Hospitality Industry

旅行者の全体像を構築するためには、異なるデータソースから以下のようなデータを収集し、お互いを関連付ける必要がある。

  • CRMで管理されているオプトインデータ
  • コールセンターでのやり取りに関するデータ
  • 予約に至る過程で入力されたデータ
  • 購入履歴のデータ
  • ソーシャルメディアから得られる顧客データ
  • データ企業から得られる包括的なデバイス使用データ

顧客に関連するあらゆるインテリジェンスを集約することにより、通常の顧客接点だけでなく、いつでもどこでも、旅行期間全体で旅行者とつながれるようになる。

データ活用で失敗しやすいケース

しかし、以上に述べたことを実行するには、あらゆるユーザーがデータの意味を理解し、データに即して行動できる体制が必要になる。WestJetのデジタル戦略を担当するAhmed El-Emam氏は、旅行業界で失敗しやすいのは、まさにその点だと指摘している。

「この問題を解決するには、従来型のプロセスに多い記録中心のシステムから、人物にフォーカスした、新しいエンゲージメント中心のシステムへと移行する必要があります」と同氏。エンゲージメント中心の新しいシステムでは、モバイルとソーシャルのテクノロジーによって顧客データを統合し、旅行者が必要とする瞬間ごとに顧客体験を提供できる。

例えば、旅行者の位置情報とアプリを組み合わせ、宿泊客がいつホテルに入り、いつチェックインしたいか、いつ部屋に到着し、いつルームサービスを頼みたいかなどを把握していく。

El-Emam氏は、「これは、マーケティング機能だけの話ではありません。データをどこに保存し、どうアクセスし、システム同士をどう統合するか、そして、組織全体をまたぐデータの透明性をどう確保するかといった、包括的な話です。つまり、情報をいかに吸い上げ、利用可能にするかということなのです」と語る。

顧客の全体像が提供するもの

より完成度の高い顧客の全体像を構築することにより、旅行会社は顧客の未来の行動や反応を予測するモデルを手にすることができる。これにより、新しい認知技術が予測マーケティングを全く新しいレベルに高め、旅行会社はどのオファーがどの旅行者に響くかを推測する必要がなくなる。

例えば、IBMのWatsonプラットフォームでは、過去のやり取りに関するデータだけでなく、顧客が何を考え、何を感じ、何を発言しているかといった心理学的な属性も勘案し、予測可能なインサイトを提供できる。

Watsonは言葉を理解し、情報を処理しながら学習し、人間と同様に判断できるうえ、例えば、顧客がFacebookやTwitterでよく使用している単語など、ソーシャルメディアから得られる非構造化データを解読する能力も備えている。

このようなソーシャルデータを、心理学的な指標と組み合わせて分析することにより、顧客がどの程度快適なのか、どの程度ストレスを感じているかといった、旅行者ごとのパーソナリティを理解できる。

こうしたインサイトを収集し、従来は不可能だった方法で顧客を理解できれば、旅行者ごとに最適な顧客体験を予測できるようになる。こうして、相手の考え方や感じ方、行動習慣、生活習慣などに応じた顧客体験を、顧客ごとに個別に提供できる道が開かれるわけだ。

POSTED ON 2018.07.25

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