オンライン価格の上昇に伴い、減少に転じる消費者のデジタル購買力

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今回アドビが集計したデータから推測すると、消費者は今後6か月の買い物を2020年前半に済ませておくべきだったと感じることになりそうです。2020年6月のDigital Economy Index(DEI)(英語)によると、アドビがデジタル購買力(DPP)の推移を追うようになってから初めて、消費者のオンラインにおける購買力が減少に転じました。

アドビのデジタルインサイト担当マネージャーであるヴィヴェック パンドゥヤ(Vivek Pandya)は次のように述べています。「2020年の上半期は、オンライン価格が急落しました。アパレルを例にとると、3月と4月にこれまでで最大の価格下落が起きました。理由としては、在庫一掃セールの前倒しと、パンデミックにより特定の種類の衣服の需要が減ったことが考えられます。ところが、例年なら価格が低下する今の時期に、価格の上昇が発生し始めています。他の主要な買い物カテゴリーで生じている価格上昇と併せて、消費者がオンラインで同額支払って得られるものは減少しています。」

オンライン販売の伸びに鈍化の兆し

こういった通常見られないようなデータの推移は、COVID-19に起因する外出自粛要請ならびに実店舗の閉鎖が影響していると考えられますが、それでも季節的な変動の範囲内といえます。例えば、6月のオンライン支出総額は730億ドル(約7.8兆円)で前年比76.2%増となったものの、5月の825億ドル(約8.85兆円)からは減少しており、例年通りの傾向を示しています。「とはいえ、COVID-19の影響がなかった年と比べれば支出は加速しています。2020年4月〜5月のデータと同様、2019年のホリデーシーズンの水準を超えて推移している状態です」と、パンドゥヤは付け加えます。

上昇するオンライン価格

一方で、食料品に関しては、6月に上昇したオンライン価格がわずか0.5%でありながら、例年よりも高くなっていることが明らかになりました。DEIは、Adobe Analyticsによって集計された小売店サイトへの匿名訪問データ(1兆件超)に基づいており、米国のオンライン小売業者上位100社中80社の製品SKU(Stock Keeping Unit)1億件超を対象としています。

例年であれば、食料品の価格は下半期、とくに年末のホリデーシーズン頃に上昇傾向を示します。ところが今年はCOVID-19関連の要因により、1月から6月にかけてすでに4.2%という急激な上昇を見せています。この上昇率は、例年同月の平均累積インフレ水準に比べて500%上回っており、突如品薄になった商品需要の急激な増加を反映したものです。

「消費者が再び実店舗で安心して買い物できるようになったとき、この傾向がどのように変化するか注目しています。これまで私たちは、消費者にとって『お買い得』、つまり同額で少しでも多く買い物ができることが、オンライン マーケットプレイスの価値だと考えてきました。そして例年ならこの時期こそ価格面でのメリットが得られるはずですが、実際にはそうなっていないのです」と、パンドゥヤは述べています。

コンピューターの価格も同様に3月から6.2%上昇しており、「2019年6月以降にこのカテゴリーに生じた価格低下はすべて打ち消されています。ただ、この価格上昇傾向は今年6月に鈍化し、対前年比で1%上昇と、COVID-19以前のレベルに戻っています」と、パンドゥヤは指摘します。

アパレルのカテゴリーに話を戻すと、例年通りであれば上半期に4%から6%の価格低下が発生していました。ところが、今年の価格低下はより顕著で13%となっています。購買行動の停滞に対応するにあたり、小売店は「消費者が買いたくなる衣服に入れ替えるため、通常は夏に実施するセールを前倒しして在庫を回転させました。今年後半に小売店が例年通りのディスカウントを実施できるのか、それとも上半期におこなった価格とマージンの見直しを挽回するため値上げに踏み込むのか、今後明らかになっていくでしょう」とパンドゥヤは分析しています。

COVID-19状況下の生活態度が消費者行動に反映

消費者は外出して、実店舗に足を運ぶことに抵抗を感じなくなっています。これを示すと考えられるのが、オンラインで購入し店舗で受け取る(BOPIS:Buy Online Pick-up In-Store)注文数の減少です。前年比で130%の増加ではありますが、6月のBOPIS注文は5月に比べて21%減少しました。

「店舗が再開してきたため、BOPISを使いつつ、COVID-19以前のような実店舗での買い物も再開するという、よりハイブリッドなかたちでの回帰が見られます。といっても、以前のような実店舗利用のレベルには遠く及びません。」

また、DEIでは、顧客ロイヤルティが持続性に繋がることも明らかになりました。新規オンライン顧客と一回限りの買い物客による支出は、5 月と比較して 6 月に減速している一方で、忠実な顧客(2回以上の買い物をした顧客)による支出は安定していました。

「これは小売業者にとって朗報です。なぜなら、オンライン ショッピング経験者のカスタマージャーニーの成功が、オンライン購入の継続に繋がることが示されているからです。優れたデジタル顧客体験の提供と、顧客ニーズに応える能力が結果を生むことの証です」と、パンドゥヤは述べています。 

Adobe Digital Economy Index(DEI)レポート(英語)では、より詳細な分析を提供しています。

*本記事は、2020年7月13日にゲイル ケステン(Gayle Kesten)氏が寄稿したブログの抄訳版です。

POSTED ON 2020.07.21