最高情報責任者(CIO)から最高変革責任者への進化

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CIOの役割は、もはや単なるテクノロジーの責任者だけではない。顧客への対応とともに、リーダーシップやイノベーション、データの戦略的な活用などを促進するための立役者となることが求められている。

今日ほど、ITと顧客が身近になったことはない。

今日のデジタル時代において、CIOはITインフラに関する知識やシステムインテグレーションに関する専門性、データの機能などを活用して、顧客エンゲージメントの強化に努力している。

30年前にその役職が誕生した当時、CIOとそのチームは企業のニーズに応えるバックオフィスの機能を担当していたが、その後、カスタマージャーニーの改善や製品開発の支援、データインサイトを活用したパーソナライゼーションなど、ビジネスの最前線に立つ役割へと変化してきた。

企業がビジネス活動の中心に顧客を据え、強化する中で、ITのリーダーは顧客中心のCIO、すなわち顧客理解とインタラクションの将来の可能性を設計する、いわば「最高変革責任者(ビジネストランスフォーマー)」への進化を求められている。

ここでは、その新たな役割に取り組むためのロードマップをご案内しよう。

リーダーシップを確立

年中無休かつパーソナライズされた顧客サービスが求められる中で、卓越したデジタルリーダーシップが必要とされている。ビジネスに精通したCIOが、ビジネス環境全体を見通す中心的なリーダーとなり、企業活動を促進できる機会がここにある。

しっかりとしたデジタルリーダーシップを取るためには、他の部門との連携を拡大し、イノベーションの文化を育成し、ITチームのマインドセットやアプローチの仕方を変革することが求められる。

  • ビジネスアライメントと連携の強化:縦割り組織の弊害は、今日のビジネス環境において最大の脅威だ。連携というマインドセットを持つことは、CIOに不可欠な条件となる。Software as a Service(SaaS)の登場により、テクノロジーが企業の組織全体をまたいで管理されるようになった。これにより、ITとビジネスはしっかりと連動し、他の事業チームと調和できることが求められる。これは、マーケティング活動のために強固なデータ機能を望むCMOやそのチームと連携する場合、特に重要となる。企業全体のシニアリーダーとうまく連携するために、CIOは主要な課題を理解し、会社全体のニーズを理解しておく必要がある。
  • イノベーションを社内で醸成:CIOは、企業の顧客エンゲージメント戦略を推進する中で、人材とスキルの両面の課題に直面している。適切な価値とスキルを身に付けたチームの育成が、ますます困難になっているのだ。これに対処するためには、イノベーションを社内で推進するための様々なアプローチが必要になる。エンジニア、プログラムマネージャー、マーケターなど、組織内のどこから始めても構わない。制約を課したり、細かい口出しをせずに、課題への対処をチームに任せることが重要だ。クリエイティブに考える自由を与える。失敗するかもしれないが、失敗は反復による成功への基礎となるだろう。
  • プロジェクトデリバリーからプロダクトデリバリーへの転換:ビジネスの成長と拡大に歩調を合わせるために、CIOとIT組織は品質と管理業務の改善を図りながら、要求への対応を加速する必要がある。これには、プロジェクトベースの考え方からプロダクトやロードマップベースの考え方への移行を含む、業務モデルの変更が必要になる。この業務モデルでは、一貫性のある基準によってロードマップと機能の構築を利害関係者に広く示すことにより、信頼と信用を築く。同時に、ビジネスに生かせる能力を開発し、提供し、維持するためのトータルな戦略も必要になる。利害関係者との間で透明性と一貫性の高いコミュニケーションを取ることにより、CIOは顧客中心の目標の達成に必要な連携を促進できる。

Roles of Leadershipデータへのこだわり

データは今やビジネスの通貨である。しっかりとしたデータ戦略がなければ、企業はマシンラーニング(機械学習)や人工知能(AI)などの新しいテクノロジーを使用したり、顧客の期待に応えることはできない。データに関する経験や専門知識を考慮すれば、CIOは、データ主導型の業務モデルにおいて事業を確実に推進できる立場にある。その目標とは、ビジネスと製品の両チームがデータアセットを縦横に活用し、インサイトや予測分析を推進できるようにすることだ。このモデルを使用すれば、企業がビッグデータを大規模に統合し、共通の言語、一貫した測定、データガバナンス、行動につながるインサイトにもとづいて、企業の組織全体をまたいで利害関係者の足並みをそろえることが可能になる。

人工知能を活用

卓越した顧客体験を実現するための基盤の構築に責任を持つCIOがますます増えている。こうした先進的な技術基盤の中心に、人工知能がある。

人工知能やマシンラーニングは、企業価値を高めるITの次世代の波だ。私のチームが最優先しているのは、このデータ分析技術をビジネスに活用することである。その目的は、自動化やセルフサービスモデルへの移行が可能なサービスやプロセスからITを切り離すことだ。これはITを排除するわけではなく、自動化によって反復的な業務から担当者を解放し、より分析的で創造的な業務への移行を目指すということである。

私たちは、人が介在することなく、人工知能やマシンラーニングを活用してシステム全体をまたぐ問題や機能停止などを解決できるようになる変曲点に到達しつつある。これは、いわゆる「自己回復プラットフォーム」であり、人工知能やマシンラーニングを応用してこうした業務上の課題を迅速かつ正確に解決できるようになるためのイノベーションだ。

顧客ファーストを徹底

あらゆる企業活動が顧客主導で推進される今日の環境において、顧客中心のビジネスへの移行は成功への唯一の方法となる。

CIOの役割は、テクノロジーの導入だけではない。顧客に対応することだ。継続的に顧客と会い、デジタルトランスフォーメーションの道程やその課題、ベストプラクティスなどについて話し合い、そこで得られたインサイトをチームや企業にフィードバックし、社内外のプロセスを改善することを最優先すべきだ。従業員がカスタマージャーニーや顧客が苦労するポイントを理解すれば、効果のある画期的なソリューションを創出し、顧客体験の向上につなげることができるだろう。

CIOが顧客への理解を深め、企業のデータを活用し、他の経営リーダーとの連携を強化できれば、企業にとって真に効果的な顧客中心のビジネス戦略を推進できる。

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この記事は、InformationWeekに掲載された記事の抄訳です。

POSTED ON 2019.03.1