CIOのためのデータ改革ガイド

Experience Cloud 分析

このエクスペリエンス時代において、どのようにCIOは組織内で分断しているデータをまとめて価値ある資産を生み出し、ビジネスに貢献できるかを解説

2010年、ドミノ・ピザは生地、ソース、トッピングを大幅に改良した。しかし、それ以上に重要だったのは、顧客との関わり方を一新したことだ。

例えば、ドミノ・ピザは他社に先駆けて、バーチャル音声アシスタントを自社のアプリに組み込んだ。

顧客は今や、電話、SMS、あるいはTwitterを用いて注文することができる。さらに、前回と同じ注文をリピートしたり、注文履歴をwebやモバイルから確認したりすることも簡単におこなえる。現在では注文全体のおよそ60%をデジタルが占めている。

あらゆる企業において、ビジネスに貢献するこのようなデジタルトランスフォーメーションが求められている。

しかし、そのためのデータ活用には取り組むべき課題が残されている。グローバル企業における72%のIT担当者(PDF)は、データを取り巻く環境は複雑だと考えている。

データソースの種類が多岐にわたり、数も多いからだ。また、これらの担当者の50%は、様々なビジネス関係者にとってデータは近づきにくいものであると理解している。

データは本質的にはテクノロジーの問題であり、CIOはそれを解決できる唯一の立場にある。

データの利用方法を改善し、顧客体験の向上を図るために、CIOができることは主として3つある。それは、経営幹部全員に戦略を共有すること、トランザクションデータの深層を読むこと、さらに破壊的技術を活用することだ。

エクスペリエンス戦略の下にリーダーを集める

デジタルトランスフォーメーションの成功には、経営幹部レベルでひとつの戦略を共有することが求められる。その戦略には、エクスペリエンスの目的およびビジネスの成果が必須だ。

例えば、ドミノ・ピザは組織内の意識を一本化し、賛同を得ることから始めた。各部署のリーダー達は、ドミノ・ピザは「たまたまピザを売っている eコマース企業」であるというビジョンの下に集結したのだ。

ドミノ・ピザのようにビジョンの共有は不可欠だが、情報とテクノロジーは戦略的な資産であり組織をまたいで利用するものである、という考えに根差していなければならない。このような局面をリードできるのがCIOだ。

CIOは、進行中の業務およびテクノロジーの改善を止めることなく、組織のイノベーションを支えることが可能だ。

取引データとインタラクションデータの連携

従来の顧客体験とは、一つひとつの取引を単位にした体験を意味していた。

しかし、現在は連続的かつ複数の顧客接点をまたぎ、大量の行動データを生み出すものだと認識されている。それはwebサイトへの訪問であったり、オファーに対する反応であったり、コールセンターでのやり取りだったりする。魅力的な顧客体験の構築には、取引データとインタラクションデータの両方が欠かせない。

多くの企業にとって、このことが課題になっている。MIT Technology Reviewの調査によると、78%の企業が所有している莫大な量のデータを整理、分析、理解することに苦労している。しかし、問題の本質はデータの量ではなく、複雑であることだ。

組織内で単一の顧客像を有することは、優れた顧客体験の構築に必須だ。これは、オンライン、オフラインを問わず、多種多様なインタラクションからさまざまなデータソースをまたいで顧客を特定することを意味する。

このようなインタラクションから得るデータは、正規化して価値を理解することが必要だ。その上で、ガバナンス、セキュリティ、およびプライバシーを適用し、GDPRをはじめとする現在の法規制に準拠させなければならない。

CIOはテクノロジーの動向に詳しく、従来のソフトウェアをつなぎ合わせて単一の顧客像を構築することが困難であり、非効率であることを理解している。そのため、顧客体験マネージメント(CXM)を中心とした包括的な技術を提案するのに適切なポジションだ。

データ量無制限のCXM

CXMは、企業が革新的なテクノロジーをすばやく採用するのにも役立つ。この最新インフラを導入することで、エッジコンピューティング人工知能(AI)などの破壊的技術を取り入れることが可能になる。

エッジコンピューティングのような分散型ITでは、データは顧客体験にできるだけ近い場所で処理される。これにより、企業はすばやく、信頼性の高いインサイトを得ることができ、現代の消費者が求める瞬時の対応が可能になる。

例えば、ドミノ・ピザで音声アシスタントによるピザの注文を可能にしているのはエッジコンピューティングだ。

同時に、人工知能とマシンラーニング(機械学習)の活用により莫大な量のデータを分析することが可能になり、従来は見過ごされていたインサイトを見つけられるようになった。

また、パーソナライゼーションのような顧客体験にもとづくテクノロジーを、これまでは不可能だった規模とスピードで活用できるようになる。

破壊的技術は、様々な時代に設計された時代遅れのテクノロジーから得ることのできる断片的な顧客像から、リアルタイムかつ包括的な顧客全体像の活用へと歩みを進めるための鍵を握る。それこそが、CXMを活用する意義だ。

未来のビジョン

顧客体験は、今や重要な差別化要因になった。 顧客体験中心のビジネスは、収益の増加をもたらし、ブランドの認知を高め、平均受注額を増やし、顧客のリテンション率および満足度を向上する。

データの活用は、CIOが経営幹部と連携し、優れた顧客体験を構築するための大きな機会をもたらす。また、その過程において、あらゆる顧客に適切な顧客体験を提供するために必要なインサイトを、社内の誰もが利用できる文化を創造可能だ。

POSTED ON 2019.03.12