アドビが自社のデジタルトランスフォーメーションで導入したデータドリブンオペレーションモデル(DDOM)とは

Experience Cloud

アドビは、Adobe Experience Cloudを通じて、企業が顧客とのつながりを深めるために役立つツールを提供しています。製品と同じくらいエクスペリエンスが重要な時代において、ブランド企業が顧客とエンゲージするたびに、パーソナライズされた一貫性のあるインタラクションを提供することが企業の課題になっており、消費者を動機づけるものの分析や理解をすることが必須とされます。そして、CXM(カスタマー エクスペリエンス マネジメント)の分野をリードするブランド企業にとって、顧客に影響を与える重要な意思決定を行う手段としてデータの活用が重要です。

アドビでは、Adobe Creative CloudのビジネスにAdobe Experience Cloudを活用しています。世界最大級のブランド企業のビジネストランスフォーメーションを支援する一方で、自社の事業にも目を向ける必要がありました。そのプロセスで重要だったのは、社内で「DDOM(Data Driven Operating Model)」という略称で呼ばれている、データドリブンのオペレーティングモデルの導入でした。このモデルの導入により、データに関する社内の共通用語ができ、業務の進め方が根本的に変わりました。スタッフから経営幹部レベルに至るまで、顧客体験に影響を与える意思決定は、直感や経験に基づく推測ではなく、データによるインサイトが求められるようになったのです。

具体的に何を行ったのか?
重要な第一歩は、すべての部門が信頼できる唯一のデータソースを構築することでした。Adobe Creative Cloudからのインサイトだけではなく、Adobe Analytics、Adobe Experience Manager、Adobe Campaignなども含めたアドビ製品や、サードパーティのシステムからの知見を結集させた基礎作りが必要でした。また、各部門のデータの見方や、意思決定を知らせる上でデータを使う方法を統一しました。さらに社内におけるナレッジシェアの仕組みも整備しました。

基礎を構築した後は、全チームで新たなKPIの作成に取り組みました。この新しいKPIより、顧客体験全体をファイナンス面から、またそれ以外でも測定できるようになりました。具体的には、Creative Cloudのカスタマージャーニー全体にわたって、発見、試用、購入、使用状況、更新を含めて分析できるようになりました。これにより、顧客価値とコンバージョンを推進する相関関係や兆候を読み取れるようになりました。KPIにはオーナーをつけ、各オーナーは自身が担当するユーザー体験上でのKPI達成に、責任をもって取り組むようになりました。共通の用語や測定方法を採用することで、チーム間の連携が強まり、重要案件に集中することができるようになりました。

新しいツールの導入と同時に、組織は働き方も変える必要があります。どのチームも長年にわたる働き方に慣れており、それを変えることは容易ではありません。DDOMを導入した時、アドビでも全てのレベルにおいて考え方と運営方法を変える必要がありました。このため、社内で推進するタスクフォースチームに加えて欠かせないのが、エグゼクティブのサポートでした。リーダーシップチームが、率先して変化を受け入れ、価値を高めました。信頼できる唯一のデーターソースの構築や、部門をまたいだ緊密な連携、全社を横断した計画立案を実現することで、業務遂行能力が向上し、お客様にとって最も重要なことに対して迅速に行動することができるようになりました。

DDOMの導入で得られた結果
導入した初期段階から、DDOMはアドビの運営方法に対する優れたインサイトをもたらしました。例えば、モバイルに関する知見です。これまで、アドビにとって優先事項だと直感的に感じていた一部のモバイルアプリに、大量のリソースおよびマインドシェアを集中していました。ところが、ユーザーの体験に焦点を合わせた新しいKPIを通じて、なおざりにされていた一部のアプリが、実際にはお客様に極めて大きな価値をもたらしていたことがDDOMを導入して明らかになりました。各部門はリソースを転用して、新しいオンボーディング体験を提供しました。それ以来、こういった取り組みが、アドビのモバイル関連の製品やサービスのエンゲージメントとコンバージョンを大幅に向上させています。

DDOMは、マーケティング費用の使い方にも変化をもたらしました。DDOMのインサイトにより、アドビに関するオンライン検索が、ブランド名検索から移行していることを特定しました。アドビは、この知見を活かして検索マーケティングを最適化しました。担当部門は消費者行動の変化に合わせることで、重要な領域のリソースと予算を強化できました。上記の例のようにDDOMは、気づいた時には手遅れだったかもしれないインサイトや、今まで考えてもいなかった手法など、実用的なインサイトを明らかにするために極めて重要な役割を果たしています。

今後の活用方法
DDOM導入の成功によって、アドビでは今後の活用方法、すなわち「DDOM 2.0」について考え始めました。Creative Cloud事業での導入は、意思決定を推進するためのデータ活用に極めて大きな価値を示したため、これを全社にわたってさらに普及させる予定です。また、AIと機械学習によって長期的な効果が得られることもわかっているため、今後、予想から予測モデリングに至るまであらゆるものにAdobe Senseiを活用していく予定です。

POSTED ON 2019.05.24