魅力的な顧客体験の創出に欠けている要素は、感情データの活用法

Experience Cloud

CIOは企業が真に求めるデータをどう提供すべきか

どんな企業でも、顧客がどのように感じているか、その感情を知りたいと思うだろう。しかし、そうした顧客の感情が、企業との関わり方に与える影響を把握するための情報を得ることは、容易ではない。

アドビの社長兼CEOを務めるShantanu Narayenは、「心に残る記憶を生み出す感情は、企業への親しみを醸成します。だからこそ、私たちは顧客体験を追求し続けるのです。このような感情は、顧客の選択やお金の使い方、時間を過ごす場所、ロイヤルティを感じる相手などに多大な影響を与えます」と述べている。

感情データは顧客心理データなどとも呼ばれ、顧客の個人情報やクリック履歴、コンテクストに関する情報などと同様に、重要なデータになる。

しかし、データの取得に使用しているテクノロジーのインフラとエクスペリエンス基盤が様々な顧客接点で情報を収集しても、それが担当部門ごとに縦割りで管理され、連携できない場合、また、社内に顧客中心のカルチャーを醸成し、優れた顧客体験の創出にその情報を役立てることができない場合、収集した感情データは無駄になってしまう。

最近の調査を見ても、多くの企業がこの難題と格闘し続けている。Forresterのレポート、U.S. 2018 Customer Experience Indexによれば、顧客体験のリーダーに3年連続で選出された米国企業はない。

Adobe Marketing Cloudの製品マーケティング シニアマネージャーを務めるAdam Justisは、「有意義でパーソナライズされたエクスペリエンスを、できるだけ効果的に顧客に提供したいのなら、あらゆるエクスペリエンスに感情の要素を入れることが必要です。

また、ブランドが顧客にとって大切な存在であり続けたいのなら、感情的な反応を評価し、捉える方法を手に入れる必要があります。これまで考えていなかった企業は、今すぐ始めるべきです」と語る。

企業が感情データをどう活用し、顧客体験の戦略をどう推進すべきかを助言する経営幹部としては、CIOが最も適している。

心理データをクリエイティブに応用して顧客エンゲージメントを向上させ、顧客体験の企業競争を勝利に導くテクノロジースタックの開発を率いることができるからだ。

感情は顧客体験の価値ある測定基準

バイオアナリティクスと感情のテクノロジーを専門とするLightwaveのCEOを務めるRana Juneは、「20年前には最先端だったクリック行動の測定は、今や副次的な測定基準に下がりつつあります。今後使用される測定基準として、感情が注目されることは避けられないでしょう」と述べる。

今日の企業は、顔認識Haptic Touch、ウェアラブルなどのテクノロジーを使用してバイオフィードバックデータを取得し、顧客の感情をさらに詳しく把握できるようになった。複数の顧客接点をまたぎ、店内ディスプレイに対する反応や旅行体験のバイオフィードバック、動画を観てどう感じたかなど、多種多様な感情データを入手できる。

センチメント分析は意見マイニングとも呼ばれ、あらゆる顧客データの意味を理解してアクションにつながるインサイトを生み出すのに役立つ。このようなツールを活用すれば、顧客がオンラインや対面、ソーシャルメディアなどを介して商品を購入したり、ブランドとのやりとりが生じた際にどう感じたかなどの情報を入手できる。

感情データを収集している企業としては、Showtime and Stolichnaya Vodka (ハプティック広告)やDisney(センチメント分析と顔認識技術)、顔認識技術を購入客の満足度調査に利用しているConduentなどが知られている。

アドビの戦略、アライアンス、マーケティング担当バイスプレジデントを務めるJohn Mellorは、「感情はまさにエクスペリエンスの通貨であり、優れたエクスペリエンスの創出に欠かせない要素です」と述べている。

感情データの入手に必要なテクノロジー

いかなるデータを活用する場合でも、重要になるのは、様々なチャネルから収集したデータ間のギャップを埋め、データを顧客の全体像にまとめ上げ、顧客とブランドとの関わり方に関する企業ごとの具体的な課題に対応し、マシンラーニング(機械学習)のモデルに情報を与えてキャンペーンの展開に役立てられるテクノロジーだ。

種類の異なるあらゆるソースからデータを収集して統合できるデータ基盤がなければ、感情データを活用することはできない。

ここで重要な役割を果たすのが、CIOだ。データは顧客体験管理の向上に欠かせないものだが、その前に、まずどのような感情データを入手すべきかを正確に見定めることが必要になる。

これに加えて、データを標準化して一元管理し、あらゆるエクスペリエンスの提供システムをまたいで利用できる分析基盤の導入も欠かせない。

CIOは、種類の異なるデータを縦横に活用できる技術インフラの整備を先導できる。インフラは、CRMやERP、オンライン、オフライン、顧客とのインタラクションなど、あらゆるソースから得られたデータを一元管理し、顧客プロファイルの統合を実現できる環境である必要がある。

同時に、パーソナライズされたリアルタイムの顧客インタラクションの基盤となり得るマシンラーニングのモデルを、データサイエンティストが容易に構築できる環境であるべきだ。

また、今日のエクスペリエンス市場の現実では、すぐに使える標準装備のソリューションだけであらゆるニーズを満たすことはできないため、カスタムなアプリケーションをデータチームの手で容易に構築できるテクノロジースタックが必要となる。

つまり、個人情報を最優先に考えたデータガバナンスの仕組みが必要になるということだ。これにより、企業はエクスペリエンスのデザインを向上させ、顧客の価値を高め、個人データをさらに共有してもらうように顧客を説得できる材料が整う。

デジタルトランスフォーメーションを全社で推進

データの活用をさらに促進しようとする企業にとって、感情データは顧客に関して価値の高い、新しく主要なデータストリームをもたらす。

Adobe Experience Platformの製品部門を率いるJim Riveraによれば、感情データを含むクロスチャネルのデータは、CIOにとって企業が独自のビジネス課題に対処し、顧客への理解を全社組織で深めるための重要な機会になる。

Riveraは、「この大きな機会は、データのスナップショットのみで構築されるぼんやりとした顧客像から、行動データを活用し、連続した瞬間ごとに顧客が何を感じているかを把握できる体制への移行をもたらします。

これにより、特定の瞬間に最も顧客に響くエクスペリエンスやオファー、パーソナライゼーションを提供できるようになります」と語っている。

可能性の設計者としてのCIO、および顧客の全体像を得る方法についても、ぜひご確認ください。


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POSTED ON 2019.03.11