小学生が開発したアプリがスゴい!Adobe ☓ CA Tech Kidsコラボ「Kids Creator’s Studio」成果報告会レポート #アドビ教育

Creative Cloud 教育

3月27日、アドビとCA Tech Kidsが企画する小学生向けのクリエイター育成プログラム「Kids Creator’s Studio」の成果報告会が開催されました。その内容は、小学生が半年間かけて開発したオリジナルのiPhoneアプリを発表するというもの。デザインからプログラムまで、すべて小学生が作ったとは思えないほど、クオリティの高いモバイルアプリが披露されました。

「Kids Creator’s Studio」とは…?

「Kids Creator’s Studio」とは、CA Tech Kidsが運営する小学生向けのプログラミングスクール「Tech Kids School」と、アドビのコラボレーション・プロジェクト。プログラミング言語「Swift」を用いたiPhoneアプリ開発や、PhotoshopIllustratorAdobe XDなどのレクチャーやプロのデザイナーによるデザイン講義など、小学生が生み出したアイデアを実践的に行うスクールです。小学3~5年生の男女計5名が昨年10月から半年間にわたって、本格的クリエイター育成を目指すプログラムに参加しました。

授業時間は約100時間。4か月間プログラミングを学んだあと、1か月間かけてデザインを学び、オリジナルのモバイルアプリを開発します。デザインでは、サイバーエージェント社のチーフデザイナーによるデザイン講義によって、アドビのクリエイティブツールの使い方や、色やレイアウトの概念など、デザインに必要な思考を学んでいきました。

出典:アドビ「学校現場における『創造的問題解決能力』育成に関する調査」

「Kids Creator’s Studio」の目的は、アドビの「自分はクリエイティブだと言えるZ世代を増やしたい」という思い。日本は「クリエイティブな国」と海外から思われているのに、日本の学生は不安な気持ちがつよくて、ワクワクしていないという悲しい状況…。実際、学校の先生は授業と部活指導で忙しく、ツールを学ぶ時間がない、研修すらできないというジレンマがあります。

そこで、テクノロジー(Technology:技術)とクリエイティビティ(Creativity:創造性)を学びながら「アイデアを実現する力」を育み、「未来の創り手」を育成し、輩出するという今回のコラボレーション・プロジェクトがうまれました。

目指すのは、自ら価値を生み出す「クリエイター」の創出

■お待ちかね、アプリの発表!

開発されたモバイルアプリ



それでは、小学生たちの発表をご紹介します。

■毎日の献立づくりを楽しくする「たべガチャ」

まず登場したのは、小学4年生の吉田たくとさん。たくと君が好きなのは、“カマキリを捕まえること”と“野球”。身体を動かすのが好きな、元気な4年生です。

たくと君がプログラミングを始めたのは、小学2年生のとき。友達に誘われたことがきっかけでした。最初はキーボードの1文字を探すのに3秒かかっていましたが、今では0.7秒で打てるくらいに上達。「マインクラフト」が大好きで、これまでにjavaScriptで「もぐらたたきゲーム」を作った実績があります。「世の中の誰かの役に立つアプリ」をテーマに考えたたくと君。開発したのは、食事を作るお母さんを助けるアプリ「たべガチャ」です。

これは、「いろいろな料理を作りたい」「冷蔵庫の食材を使いたい」「でもすぐにメニューを決められない」という、お母さんの献立制作の悩みを解決するアプリです。家にある食材を選択すると、作れる料理が提案されるというもの。同じ食材を選んだときに、メニューがランダムで出るようにするなど、ガチャの要素を取り入れて楽しく選べるよう工夫しました。

使ったソフトはIllustratorとAdobe XD。「XDはデザインがしやすかった」と、たくと君は語ります。今後は栄養素などの要素を追加していきたいとのこと。「栄養いっぱいの料理を食べて、ホームランを打ちたい」と夢を語ってくれました。

Adobe XDを使ってデザイン

■おっちょこちょいのお母さんを助ける食事記録アプリ「イートデイリー」

続いては、チーム最年少の斉藤みりさん、3年生。みりさんの趣味は、一輪車に乗ることと絵を描くこと。お話するのが大好きで、SHOWROOMで毎日配信もしているという活動的な女子です。プログラミングに興味を持ったのは、「アメーバピグ」がきっかけでした。

みりさん「お母さんがおっちょこちょいで、同じ料理にならないように、毎日のご飯を記録すればいいと思って作りました」と笑顔でプレゼン

今回開発したのは、「イートデイリー」というアプリ。食事の写真を撮影して、日程と料理名を記録。朝昼晩の3食分を記録することができ、家族による料理の評価も記録できます。

デザインでがんばったのは、アイコンをIllustratorで描いたこと。「どういう顔なら料理が美味しそうに見えるかを考えた」そう。デザインを学んでからは、街でみる看板も「いいデザインだな」などと考えるようになったそうです。

■小学生のプログラム学習を助ける「プログラ」

3番目の発表は、小学4年生の曽田柑くん。将来は発明家になるのが夢だった(今の夢はプログラマ)。プログラミングが大好きっ子。1キロ離れていても遠隔で操作できるロボットなどを作った実績もあります。

プログラミングを始めたのは、お母さんにパソコンを買ってもらって、スクラッチをやったことがきっかけ。風船にカメラを付けて大空からの写真を撮影するアプリなどを作りました。

今回開発したのは、小学生がプログラミングを学べるアプリ「プログラ」。

条件分岐など、プログラミングの考え方をクイズ形式で学んでいくアプリです。

24個のクイズがあり、タイムアタックでワクワクしながらプログラミングを学ぶことができます。最初は動かないドリルを作っていたそうですが、アドバイスをもらってアニメーションアプリに変更。IllustratorとAdobe XDを駆使してデザインをしています。


■暗記シートをデジタル化「メモリス」

続いて登場したのは、5年生の高橋温さん。好きなことはスノボ、キャンプ、ボルダリングというアウトドア派。3年生の春に、アプリを開発するワークショップに参加してからプログラミングが大好きになりました。過去にはUnityなどを使って、本格的な3Dゲームの開発に挑戦。その時、デザインをしていなかったので「見た目が地味」だったため、もっと見た目がステキなビジュアルを作りたいと思って今回参加したそうです。

温さんが開発したアプリ「メモリス」は、暗記用の赤いシートをデジタル化できるというもの。暗記用のシートは移動中に使えない、ペンが消えないなどの使いづらい点があり、勉強する時に悩んでいたので、開発したそうです。「メモリス」の機能は3つ。写真で文章を撮影して、赤線を引き、問題を解くというもの。普段の勉強ですぐに使えそうなアイデアが実装されています。

デザインを勉強して、「レイアウトや色彩が重要なので、配色をするようになった」という温さん
デザインを学ぶ前と後のUIの変化

アプリの設計にはAdobe XDを使っており、手描きの設計図よりも使いやすかったと語りました。

■すぐに欲しい!刺繍図案作成アプリ「写刺繍 Sha-Shi-Shu」

トリを飾るのは、プログラミング歴3年のベテラン小5女子、菅野晄(ひかり)さん。これまでに県の特産品を当てるゲームや、石取りゲーム、百人一首の読み上げをしてくれるアプリを作るなど、すでに経験抱負。プログラミングコンテストでの受賞歴も多数という優秀なクリエイター。

「自分が面白いと思うゲームよりも、人の役に立つアプリを作りたいと思った」という、晄さんが作ったのは、刺繍アプリ「写刺繍 Sha-Shi-Shu」。

写真を取り込んで、刺繍の設計図である図案を作成できるアプリです。作ったきっかけは、晄さんのおばあちゃんが刺繍をしているのだけど、図案を作るのが一番むずかしいし、図案は似たようなものばかりという悩みを聞いたこと。

また最近、刺繍の販売コーナーが小さくなっていることに、晄さんは危機感を感じ、もっとたくさんの人に刺繍を楽しむようになってほしいという思いからこのアプリを作りました。

アプリでは刺繍の大きさや、刺繍糸のメーカーなどを指定すると、アップした写真の画像処理を行って、図案を自動的に作成します。

この刺繍糸を自動で判定するところがミソで、これまで判定するのに知識が必要だったのが、初心者でも自分の好きな図案が作れるようになったのが画期的。また図案はテキストファイルとして保存できるので、ミシンで縫うこともできます。アプリのロゴや図案はIllustratorで作成。Adobe XDでインターフェースをデザインしました。

Illustratorでのデザイン


「画像処理はやったことがなかったけれど、メンターさんやお姉ちゃんに助けてもらった」と晄さん。作成にかけた時間は、一日30分から1時間ぐらいで、土日は4時間くらいだったそう。あまりの完成度の高さに、来賓一同驚くばかりでした。

■トークセッション

発表に続いて、来賓を交えてのトークセッション。

総務省の犬童周作さんは「素晴らしいの一言。総務省では、2040年に向けて人工知能やロボットなどの未来をイメージし、どういう人を育てるかを議論している。想像力やコミュニケーション力、語学や情報リテラシーという能力があるけど、一緒に学べる取り組みだと思う。自分が作りたいというだけではなく、友達が使いやすいデザインを試行錯誤している点が素晴らしい」とコメント。

慶應義塾大学の中澤仁先生は「プログラミングは2020年から必修科目になります。学校の教育では追いつかないので、サッカーにおける地域のスポーツ少年団のような仕組みをプログラミングでも作りたい。プログラミングは身体の成長のサイズに関係なくチャンスがある。こうした世界観を作っていくことで、日本の経済が上向きになっていくのでは?」と語りました。

また、子どもたちはデザイン研修中、IllustratorやAdobe XDを抵抗なく、スラスラと覚えていったそう。

温さんは、「Illustratorを使ったら、お店で売ってるような絵が書けるようになった。Illustratorとか、大人向けのツールを使うことで、最初は難しいけど、慣れてくると自分の好きなイラストがかける。大人になっても使いやすくなるので良いと思う」
みりさんは、「Illustratorは図形から作る絵も多いので、いつもとは感覚が違って面白かった」と語ってくれました。

また、Adobe XDに関しても、「実機でプロトタイピングが出来るのが良いところ。オプションもいろいろ考えられるので、紙に描くより完成度が上がる」と晄さん。「手描きよりも簡単にイメージできるので、いい開発に繋がると思う。紙が無駄にならないからエコ」と温さんも絶賛でした。

以上で発表は終了。
子どもたちの無限の可能性に、驚くばかりの発表会でした。
次回、アドビの教育イベントは7月に開催予定です。今後もアドビのエデュケーション活動にご期待ください。

POSTED ON 2018.03.31