カメラで撮影したままのRAWデータは、実はまだ画像ではありません。0と1の数字の羅列であり、「データ」のままです。このデータを解析して画像に仕上げる作業が「RAW現像」。RAWデータに記録された膨大な情報を使えば、真っ白や真っ黒になってしまった部分を回復したり、撮影時の露出やホワイトバランスを後から決め直すこともできます。
今回は、PhotoshopでのRAW現像の基本手順を紹介。フォトグラファー/レタッチャーの御園生大地さんが、「Shuffle by COMMERCIAL PHOTO」に投稿した記事から抜粋して解説します。


1、「基本補正」タブでの調整
(1)調整したいRAW画像をPhotoshopで開く
自動的に「Camera Raw」というプラグインが立ち上がり、「RAW現像」専用モードになる。初めにまず覚えたいのは、「基本補正」「トーンカーブ」「ワークフローオプション」の3ヵ所。
(2)「基本補正」タブの各スライダーで調整する。
上から見ていくと…
- 色温度:左に動かすとブルー系、右に動かすとイエロー系に、画像の色温度が変化する。
- 色かぶり補正:左に動かすとグリーン系、右に動かすとマゼンタ系に、画像の色調が変化する。
- 露光量:左に動かすと暗く、右に動かすと明るく、「画像全体の明るさ」が変化する。
- コントラスト:左に動かすとコントラストが低く、右に動かすとコントラストが高く、画像が変化する。
ここまでは、画像全体が変化するので効果がわかりやすい。ここから下の4つ、「ハイライト」「シャドウ」「白レベル」「黒レベル」は、画像の一部が変化する。少していねいに見ていく。
(3)ハイライト
画像のおもに「2番目に明るい部分」の明るさを調整する。ヒストグラム上で言うと、下図の辺り。左に動かすと暗く、右に動かすと明るく変化する。
(4)シャドウ
画像のおもに「2番目に暗い部分」の明るさを調整する。ヒストグラム上で言うと、下図の辺り。左に動かすと暗く、右に動かすと明るく変化する。
(5)白レベル
画像のおもに「1番明るい部分」の明るさを調整する。ヒストグラム上で言うと、下図の辺り。左に動かすと暗く、右に動かすと明るく変化する。
(6)黒レベル
画像のおもに「1番暗い部分」の明るさを調整する。ヒストグラム上で言うと、下図の辺り。左に動かすと暗く、右に動かすと明るく変化する。
(7)白トビ、黒ツブレ箇所の確認
ヒストグラムの上にある三角マークをクリックすると、白トビ、黒ツブレの警告が出る。明るさを調整する時は、警告に注意しつつ、なるべく白トビ、黒ツブレがなくなるように調整する。
(8)明瞭度/自然な彩度/彩度 各スライダーについて
- 明瞭度:最初の頃はあまり使わないので、パスしてOK。
- 自然な彩度:左に動かすと色の鮮やかさ(彩度)が低く、右に動かすと高くなる。彩度が飽和しそうになると、その色だけ彩度のアップがゆっくりになるように、Photoshopがブレーキをかけてくれる。
- 彩度:左に動かすと色の鮮やかさ(彩度)が低く、右に動かすと高くなる。Photoshopによるブレーキはないので、このスライダーを極端に上げると色はガッツリ飽和してしまう。
2、「トーンカーブ」タブでの調整
(1)必ず「ポイント」タブを使用
「ポイント」タブでは普段Photoshopで使い慣れている「トーンカーブ」と同様の動きをするので使いやすい。プレビュー画面を見ながら、好みの色に仕上げる。
3、Photoshopで「画像」として開く
(1)現像後のプロファイルや解像度を決める
写真の仕上がりに納得がいったら、ウィンドウの下部分にある「ワークフローオプション」をクリックする。
現像後のプロファイルや解像度を決めたら、「ワークフローオプション」ダイアログの「OK」をクリック。「Camera Raw」の画面に戻り「画像を開く」をクリックする。
(2)Photoshopに画像を渡す
ここで初めてRAWデータが現像されて、Photoshopで画像として開かれる。
さらに詳しい解説は、Shuffle by COMMERCIAL PHOTO の「Photoshop 色調補正ゼミナール」(解説・写真:御園生大地)に掲載されています。