不確実な時代にB2Bを支援するアカウントベースドエクスペリエンス(ABX)#AdobeSummit

Experience Cloud

非常事態が日常となったこのニューノーマルの世界で、B2Bマーケターは何をすべきか。この問いに対し、デジタルトランスフォーメーションが加速し、新型コロナウイルス終息後もそれは続くだろう、というのが、完全デジタルで初のオンライン開催となったAdobe Summitの登壇者たちの見解です。

B2B Innovation Trackの基調講演の登壇者たちは、現在も続くオフィス閉鎖や調整対応などがもたらす変化は、B2Bマーケティングの役割が、リード獲得エンジンから全方位のアカウントベースドエクスペリエンス(ABX)の提供へと進化するスピードを速めることになると指摘し、エンタープライズマーケティングの将来について楽観的な見方を示しました。

セッションの冒頭、Adobe Experience Cloudグローバルマーケティング担当バイスプレジデントのサラ ケネディは、制約がクリエイティビティを促すこともある、と語りました。「私たちは、この先のデジタルファースト、ある意味でデジタルのみの世界へと続く道筋を作ろうとしています。」

ケネディは、マーケティングは企業成長のエンジンであるべきで、マーケターは「CEO第一、マーケター第二」の精神でオペレーションに専念しなければならないとし、すなわちすべてのマーケティングの決定や測定基準、そして施策の実行は、会社全体のためという意識のもとに進めるべきだと述べます。

SAP Concurで新規ビジネスの展開に取り組む、米国グロースマーケティング部門総責任者のナムディ ウォーケ氏は、マーケティング部門はすでにこのことを認識している、と指摘します。エンタープライズのマーケターたちも、自社のビジネスにおいてオペレーションと戦略双方でより大きな責任を担うことが求められ、そのために各ビジネス領域の専門知識をチーム内に蓄える必要さえあるとしています。

「組織内のより多くの関係者から頼りにされるパートナーであり続けよう」と彼は呼びかけ、この緊急時だからこそ「マーケティング部門がビジネスに必要なスキルを持ち続けることの重要性が高まっている」と続けます。

エンタープライズのマーケターはまた、自分たちが担当しているのビジネス分野の言語を学ばなければならない、とウォーケ氏は述べ、「マーケティング用語やマーケオタク用語を捨てるのです。そしてビジネスに求められる作法でコミュニケーションを始めましょう」とアドバイスしました。

顧客の成功をサポートする「キャリアの触媒」

これだけ多くのマーケティングテクノロジーがある中で、やはり重要なのは、関わりを持つ人間に焦点を当てることであり、彼らに最適な経験を提供することが最も重要だとケネディは述べます。つまりマーケティングは、B2B顧客にとって「キャリアの触媒」となり得るのです。

「それは、エクスペリエンス経済における私たちマーケターの強みとなります。B2Bのバイヤーは、スクリーンでも会社でも事業体でもなく、仕事上の成功を求める一人の人間だからです」そしてROIが測定可能であるときそこに関係が構築される、と彼女は述べます。「顧客のあなたに対する信頼はそうやって生まれるのです。」

「人と人との繋がりの力がすべてです」とケネディは続けます。マーケターの力とは本来、顧客体験のパワーそのものですが、現在のアカウントベースドマーケティングはまだ、包括的なアカウントベースの顧客体験システムへと進化する余地を残していると言えます。

アドビ自らが、旧来のリードファネルからアカウントベースのアプローチへの転換の好例を示している、と述べるのはグローバル エンタープライズマーケティング担当シニアディレクターのマリッサ ダカイです。アドビは、リードジェネレーションエンジンから「真のクロスチャネルABXエンジン」への変革を迫られたが、この変革から得た最大の学びは「ABXは戦略であり、戦術や最終結果として扱うべきではない」ということだった、と彼女は語ります。

アドビのマーケティング部門は、案件の成約に寄与するエンゲージメントパターンの提供だけでなく、「ノルマをセールスの現場と共有する」ことを学んだ、とダカイは続けます。さらに、同グループが現在、「案件創出および成約に繋がるエンゲージメントを予測可能なものとするため」に、アカウント全体を2,000以上の属性で分析していることを明らかにしました。

そして、このような困難な時期にABXを前面に打ち出し、中心戦略に据えた企業が将来的に成功するとし、顧客との関係性を高める強力なデジタルプラットフォームを持つようになるだろう、と付け加えました。

アドビのプロダクトマーケティング ディレクターのブライアン グローバーは、「世界中でデジタル化が進むことで、私たちがもともと備えている、互いを見つけて繋がる、という能力が強化されている」と説明します。

彼は、Honeywell がマシンラーニング(機械学習)を使用して重要なアカウントをプロファイリングし、予測フィルターを使って選定された主要ペルソナに対し、デジタルプラットフォームからコンテンツをターゲット配信している例を取り上げます。同社は、すべてのキャンペーン活動を測定し、どのコンテンツが反響を呼んでいるかを分析、特定します。続けてグローバーは、Honeywellのマーケティング担当者が、中古航空機部品を売買するためのEコマース機能に、顧客ごとにパーソナライズされたセールスコミュニケーションを組み合わせて活用する様子を、画面上のデモを交えて紹介しました。セールス担当者は、ダッシュボード上で見込み客の購買活動を確認できるだけでなく、予測分析やその他のツールを使用して見込み客のエンゲージメントを高めることができます。

ケネディは、エンタープライズのマーケティング担当者はいま、砂上に線を引き、ゴールを設定し、自己を再定義する必要があると述べ、こう続けます。「マーケティングチームの持てる力を発揮して業績の回復を牽引すべきで、回復を待っている時ではありません。」

この再定義の機会は、通常時のオペレーションの延長線上では可能ではなかったかもしれません。そして今、多くの企業が実際に、デジタル顧客体験の未来とは何かを再定義しているとケネディは指摘し、「今年の危機的状況を共に乗り越えるなかで、マーケターは成功の意味を再定義し、コンフォートゾーンから抜け出ようとしている」と続けます。

ケネディは、「この機会の到来を期に、非常に多くの人々にとって最高のアイデアと、おそらく次の10年間のベストプラクティスが生まれています。今こそが行動する時です。新しい現実は、私たちにこれまでとは異なる考え方を迫っているのです」と締めくくりました。

※本記事は、2020年4月1日にメルセデス コードナ(Mercedes Cordona)氏が寄稿したブログの抄訳版です。

POSTED ON 2020.04.6