#Adobe Summit 2020 基調講演 アドビCEO シャンタヌ ナラヤン:時代遅れのインフラでは最先端の顧客体験は提供できない

Experience Cloud

アドビのCEOであるシャンタヌ ナラヤンが、初の完全デジタルのAdobe Summitの基調講演で語ったことは、まさに私たちが生きている時代を反映しています。

自宅オフィスで録画した基調講演(日本語字幕付)でナラヤンは、デジタルで顧客と関わることがこれまで以上に重要になっていることを踏まえ、業界として一致団結してベストプラクティスを共有しなければならないと述べました。

ナラヤンは、「私たちアドビも含め、誰もが自分たちのオペレーションのあり方を再考する必要があります」と述べました。彼は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大状況と、アドビの今回の危機への対応について話し、次のように付け加えました。「確実なことは、ひとつ。デジタルの重要性が増していることで、それは、私たちがお互いにどう関わりあっていくかを根本的に変えていっているのです。」

顧客体験の再考

物事はあまりにも急速に変化しています。ナラヤンによると、ほんの数ヶ月前までは、CX(顧客体験)とは、楽しく、パーソナライズされ、顧客に関連性の高い体験をリアルタイムで提供することでした。今では、デジタルが前提の世界で不可欠なニーズに対応していくことであると述べ、Eコマースによって、より多くの消費者に必要な製品を玄関先にまで届けられるようになったことを指摘しています。企業内のチームは、バーチャルオフィスでドキュメントを作成し、共同作業を行っています。また、企業はペーパーレスの契約書や電子サインで取引を締結するなど、デジタルで取引を遂行できるようになりました。

「デジタルは私たちの日常生活を変えるだけでなく、経済をも牽引しています。この新しいデジタル経済を見渡せば、それが常に変化しているということがわかります。ですが、驚くことに、デジタル世界における消費者の動向を測定する単一の方法はありませんでした。」

これこそがアドビが本日、Adobe Analyticsを活用したAdobe Digital Economy Index(DEI)(英語)を発表した理由であるとナラヤンは語ります。DEIは、匿名化して集計された何兆件もの小売サイトへのアクセスと、米国のトップ100の小売企業のうち80社が保有する数千万点の商品SKU (stock keeping unit)を元に分析しています。

ナラヤンは、全体的にデジタルデフレが進行し、電子機器、コンピューター、アパレルの価格が下落しており、その結果、消費者のオンラインでの購買力が高まっている、と説明します。DEIによると、この2週間で Eコマースの売上高は米国で25%、英国で33%増加しています。DEI は、ビジネスリーダーがリアルタイムでビジネスを調整、適応できるように世界のデジタルでのトレンドに関する最新のインサイトを提供しています。

「人々の日常生活を形成するテクノロジーから、オンラインでのデジタル行動の追跡まで、私たちアドビは、まさにデジタル革命の中心におり、そのことが私たちアドビの戦略を形成しています」とナラヤンは述べます。「Adobe Creative Cloudは、誰でも、どこからでも、美しいエクスペリエンスを構築するためのツールにアクセスできるようにし、すべての人のクリエイティビティを解き放ちます。Adobe Document Cloudは、チームが直接会うことができない場合でも、文書化の生産性を向上させています。またAdobe Experience Cloudは、デジタルビジネスを強化し、収益性とロイヤルティを促進する顧客体験の設計と提供を支援します。」

加えて、アドビがデジタルマーケティングの分野に参入して10年以上が経過したとナラヤンは振り返り、その間、コンテンツやデバイスが爆発的に増え、新しいメディア、新しいモダリティ、新しいプラットフォームも登場しました。さらに、人工知能(AI)はソフトウェアのあり方を根本から崩壊させました。ナラヤンは、アドビの目的は企業がデジタルの新時代に変革し、競争できるように、Adobe Experience CloudAdobe Experience Platformを通じて支援することだと述べ、現在の環境はこの必要性と緊急性を加速させているに過ぎないと語りました。

変革のトレンド

ナラヤンは、顧客中心のビジネス変革にはいくつかのトレンドがあるとします。何よりもまず第一に、「人々が買うのは製品ではなく、体験です。人々が求めているのは、簡単で、パーソナライズされた、効率的で、文脈に沿った体験です。それが信頼とロイヤルティを得る唯一の方法です。その鍵となるのは何か。それは、コンテンツとデータ、AIを統合し、このような体験をリアルタイムで提供することです」と語り、ナラヤンはこれを「デザインで至高を目指し、インテリジェンスのためにつながること」と表現しています。

彼は、アドビがリアルタイム顧客プロファイルを開発したのはこのためだとし、それによって企業全体にまたがる何百ものデータポイントを統合し、即座に実行可能な施策に繋がるインサイトを提供し、顧客が期待する体験を提供する能力を備えることができると述べました。

ナラヤンはまた、さまざまな企業が顧客を中心としたシステムとプロセスの構築に取り組むなかで、最も成功しているデジタルビジネスには共通点があり、それは「CIOとCMOの間の強力なパートナーシップ」であると語ります。

また、「以前は、CMOはカスタマージャーニーに関する深い知見によるマーケティングやコミュニケーションの専門知識を提供し、CIOはビジネスを継続させるためのシステム構築やデータ統合を理解することで貢献していました。ですが、互いの交流はいくぶん限られたものでした」しかし、今日ではそのような状況は変わりつつあり、「ITはより顧客中心に、マーケティングはよりデータドリブンになり、リーダーたちはかつてないほど緊密に連携している」と言います。

ナラヤンは、事実、CMOとCIOの最高のパートナーシップによって、企業は魅力的な顧客体験を大規模に提供できるようになっていると述べています。そのためには、Cレベルの経営層が足並みを揃えて顧客中心主義を実行することが成否を分ける、と指摘しています。

魅力的な顧客体験を提供するためには、テクノロジーも重要です。ナラヤンは、「時代遅れのインフラストラクチャーでは、最先端の体験を提供することは不可能」と述べ、アドビが支援するさまざまな方法について説明しました。

最後にナラヤンは、デジタルトランスフォーメーションは、テクノロジーだけの問題ではないと述べました。それは人、プロセス、そして組織の新しいDNAを生み出せるかどうかにかかっているとしています。彼は、Adobe Summit 2019で語った、データドリブンオペレーティングモデル(DDOM)を用いた自社のデジタルトランスフォーメーションのストーリーを例にとり、アドビはデータとテクノロジー、プロセスを駆使し、いまや大規模に顧客体験が管理できると述べ、講演を締めくくりました。

このことに関連し、アドビは業界における効果的な顧客体験管理(CXM)のための設計図「CXM Playbook」(英語)を作成しました。CXM Playbookは、データドリブンなエクスペリエンスビジネスへの変革に必要なカスタマイズされた計画策定を支援します。

デジタルトランスフォーメーションは、すべての企業にとって必須の課題であり、あらゆる業界のリーダーたちは、顧客体験管理に力を入れています。そのトランスフォーメーションこそが成長を生みます。今日、CXMが期待通りにうまく行くかどうかは、アプリケーションおよびサービスの統合が成功するか、そして適切な人材と正しいプロセスが実装されるかどうかにかかっています。それには、広範でオープンなエコシステムと、クリエイティビティ、そして顧客を第一に考える文化が組織に浸透している必要があります」とナラヤンは述べています。

具体的な方法とは?

アドビのデジタルエクスペリエンス事業のビジョン策定と経営を担う、エグゼクティブ バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのアニール チャクラヴァーシーも、アドビ自身のデジタルトランスフォーメーションと、データドリブンオペレーティングモデル(DDOM)の活用について述べました。

「世界中どこに行っても、私がいつもお客様から尋ねられるのは、アドビはそれをどのように実現したのか、ということです」とチャクラヴァーシーは語ります。「私たちのお客様はみな、自分のビジネスに変革が必要であることを理解しています。難しいのはその方法を見極めることです。皆さんがどの業界で、どのようなビジネスをしていても、この規模の変革を成し遂げるためには、設計図を持つことが重要です。つまりプレイブックが必要なのです。」

アドビが特定した6つの重点領域から構成されるCXM Playbookは、以下の分野それぞれにおける、カスタマイズ可能なベストプラクティスを提供します:

  • デジタルファースト:デジタルリーダーシップが企業の戦略の中核に置かれ、競争力の源泉であることが共通認識となり、企業が顧客を最優先できるようになる。
  • データおよびインサイト:ビジネス上の判断に不可欠なインサイトを提供するため、従業員に対し広範なデータを提供する。
  • スケーラブルなコンテンツ:顧客のニーズと文脈に沿ったコンテンツを、大規模にさまざまなチャネルでどのように提供するか。
  • 最適化されたパーソナライゼーション:顧客育成(ナーチャリング)に必要なエクスペリエンスをデザインし測定する。
  • カスタマージャーニー管理:自動化手法やAIによってパーソナライズかつ最適化された、一貫した顧客体験を、さまざまなチャネルで構築する。
  • 全方位コマース:デジタルでの収益を成長させ、顧客のライフタイムバリューを増大させるため、全てのチャネルでショッピング可能な体験を確立する。

CXM Playbookが提供するこれら6つの領域の知見は、エクスペリエンスビジネスへの変革を望む企業にとって、包括的な設計図を提供するとチャクラヴァーシーは述べています。

※本記事は、2020 年3月31 日にアドビのエンタープライズソートリーダーシップ エグゼクティブエディターのジゼル アブラモビッチ(Giselle Abramovich)が投稿したブログの抄訳版です。

POSTED ON 2020.04.2