Adobe Creative Cloud 映像制作ツール ユーザー事例 – 日本ポストプロダクション

Creative Cloud

加盟社で進むAdobe Creative Cloud導入

ポストプロダクションとは、放送や企業 のPR映像等、あらゆる映像コンテンツ制作における編集や音付などの仕上げを行う工程のことだ。日本国内のポストプロダクションの業界団体である一般社団 法人 日本ポストプロダクション協会(以下JPPA)は、正会員社にAdobe Creative Cloud の導入の選択肢を拡張する事を目的として、Adobe Creative Cloud エンタープライズ版を契約した。このエンタープライズ版契約も含めて、ポストプロダクションの現場でもCreative Cloud の導入が広がり始めている。

JPPAの事務局次長の柴原邦彦氏と技術委員会委員長の後藤歩氏に協会の紹介やポストプロダクション業界の最新動向を含めて話を聞いてみた。

技術情報や経営情報の供与も魅力の日本ポストプロダクション協会

放送番組、テレビコマーシャル、企業PR、展示映 像、ミュージックビデオ、劇場映画、BDやDVD等のパッケージなども含め、質の高い映像コンテンツ制作において、撮影素材やCG素材の編集、合成、文字 情報入れ、ナレーション録音、音楽・効果音入れ、整音等の最終仕上げを行い、規定の納品フォーマットに格納する工程をポストプロダクションと呼ぶ。ポスト プロダクションの現場では、高い技術力と最先端の専門機器類を含む制作環境、そして何よりも豊かな創造性が必要とされている。

JPPAは、ポストプロダクションの業務に関わる情 報共有や協会内外での活動を通して会員社間の連携を強め、産業としての発展を目指し活動している団体だ。具体的には経営、営業、技術、市場調査、人材育成 などポストプロダクションの事業運営に関わるあらゆるテーマに関する情報共有や課題解決、各種セミナーの開催や機関誌の発刊、アウォードの開催、資格認定 試験、展示会の開催から関連業界団体との連携や協議に至るまであらゆる範囲で活動を行っている。

まずは柴原氏に国内のポストプロダクションの数や業務の形態などから伺ってみた。

柴原邦彦氏
日本ポストプロダクション協会 事務局次長 柴原邦彦 氏

「最近では、制作機材の機能と性能が上がり、導入コ ストが下がったこともあって、独立してごく少数でやってらっしゃる方々もいるほどの時代になっているので、どこまでをポストプロダクションと定義するのか 難しいところですが、国内のポストプロダクションの数は約300社位と推定されています。そのうち、現在JPPAに加盟している正会員は83 社です。会員社の殆どは放送やそれ以上の映像コンテンツの制作に対応する高い技術と創造性を持ったポストプロダクションです。放送番組を専門あるいはテレ ビコマーシャル専門の会員社もいれば、全てのジャンルをカバーする会員社がいます。事業規模としても1社で100チェーン以上の編集室を持つところから、 編集室やMA室(音の編集室)が1~2チェーンのところもあります。」(柴原氏)

次にJPPAのことについて伺ってみた。

JPPAへの入会資格は、ポストプロダクション事業 を営む法人及び個人並びにこれらの者を構成員とする団体で、入会希望者社は入会手続を行い理事会の承認を受ければ会員になれるとのことだ。会員になれば、 各種セミナーの受講、会報誌の配布やJPPA発行書籍を特別価格にて販売といった特典があるが、柴原氏や後藤氏が強調してアピールをしたのは、協会が行う リサーチ結果や各種情報の活用といったところだ。

「JPPAに入会していただければ、最新の技術情報 やその動向。そしてその運用からビジネスとしての活用に至るまで、専門的な情報を手にする事ができます。会員社からの技術的な質問には、各委員会や関連機 関と協議した上で回答するということもできます。また、協会の組織にはさまざまな活動を行う委員会が10以上あります。その委員会活動に参加する事で横の つながりができ、実務に直結する情報交換ができるというのもメリットの一つでしょう。例えば、新しい技術や制作環境が登場したけれども、使い勝手はどうな のか?といった事を、既に導入している会員社から生の声を聞いて今後の機種選択の参考にする事もできます。こうした業界内外の情報を共有することができる 事は、会員社の事業活動にとってとても有益なものとなっています。」(柴原氏)

「JPPAには、様々な委員会が活発に活動してお り、経営者、営業マン、技術者、クリエイターなど、誰にとっても、重要な情報がたくさんあります。各委員会の活動に参加する事で、最新情報に深く触れるこ とができますし、参加していない各委員会からも様々な報告があがってくるので、市場動向や最新技術情報はもちろんのこと、実務の信頼性向上や効率改善など にも役立つ情報やヒントがたくさんあります。また、トラブル情報の共有も積極的に行っているので、何等かのトラブルに遭遇したとしても、『よくある事なの か?それともイレギュラーなのか?』と判断ができたり、他社で起きたトラブル事例が参考に適切な対処ができたりもするので、事業運営という面においてもメ リットがります。」(後藤氏)

後藤歩氏
日本ポストプロダクション協会 技術委員会委員長 後藤歩 氏

オフラインで使えるCreative Cloudエンタープライズ版を契約

次にポストプロダクションの制作環境について聞いてみた。

現在ポストプロダクションが使用する編集システムは大きく二つのスタイルに分類することができる。ひとつはソフトウエアベースのノンリニア編集システムで、もうひとつはVTRとスイッチャー等によるハードウエアベースのリニア編集システムである。

後藤氏は、現場の制作環境についてこう解説をした。

「30年位前のポストプロダクションにはアナログ VTRとアナログスイッチャーによる編集システムしかありませんでした。1990年代に入ってPCで編集するノンリニアシステムが実用領域に入ってきて、 その後、急速に機能と性能があがっていきました。特にテレビコマーシャルなどの高画質で複雑な映像処理が必要となる作品では、早い段階から高性能ノンリニ ア編集システムが活用されていきました。一方、尺の長いコンテンツの制作にはリニア編集システムが向いていた事もあって、今でも放送番組の制作ではデジタ ルのリニア編集システムが多用されています。」(後藤氏)

では、ポストプロダクションの現場でCreative Cloud はどの程度利用されているのだろうか?そのあたりの現状を聞いてみると。

「映像編集の現場では、PhotoshopIllustrator はサブツールとしては昔も今もほぼ100パーセント使われています。また、日本の映画制作では合成用ツールとしてAfter Effectsは良く使われていますし、最近では4K映像の編集ツールとしてPremiere Proが利用され始めていますね。我々の仕事は技術ありきではありますが、クリエイティブサービスとしての側面無しには成り立ちません。Creative Cloud は長期間に渡って洗練され続けてきたアプリケーションの集合体であり、ポストプロダクションには必須アイテムになっています。」(後藤氏)

この話と同時にポストプロダクションで Creative Cloud を導入する際のひとつの障害に関する話が挙がった。Creative Cloud 個人版およびグループ版では、ライセンス認証のため30 日に一度インターネット接続が必要になっているが、ポストプロダクションの基幹システムはセキュリティ的な観点からインターネットには繋いでいないという ところが多い。実際のポストプロダクションのセキュリティの現状について後藤氏はこう解説をした。

「たとえば、テレビCMの作業をする場合、ポストプ ロダクションにとっては、直接の取引先である制作会社のみならず、その上流でCM制作を注文している広告主や、制作会社との間に立つ広告代理店等、多くの 企業がお客様になります。我々はこれらのお客様に安心してポストプロダクションをご利用頂く必要があり、セキュリティ面においてもしっかりした対応をしな ければなりません。そういう意味では映像制作システムはインターネットから切り離されたLAN 環境にある事が理想的です。とは言えインターネットを介した外部とのやりとり無しでは仕事にならない時代である事も現実である事から、現場ではインター ネットに繋ぐ端末をLANの外側に置き、HDD等を介してLAN内の作業端末に素材を移動させるような工夫をしているのが現状です。」(後藤氏)

このようなポストプロダクションでの実態を踏まえ、 JPPAはAdobe Creative Cloud エンタープライズ版を契約することで、オフライン環境においても常に最新バージョンが使えるAdobe Creative Cloud の導入を希望する正会員社に、導入の選択肢を提供することができた。つまり通常のCreative Cloud はインターネットに繋いで運用する必要があることからポストプロダクションの現場には向いていないが、エンタープライズ版はオフライン環境で問題なく利用 することができる。但し、エンタープライズ版はまとまった数のライセンス数が必要となる事から導入は容易ではなかったが、JPPAの正会員であれば、大口 ユーザーではなくともCreative Cloud を導入することが可能になるというわけだ。「エンタープライズ版の契約開始時には、約20数社にCreative Cloud が導入されました。すでにエンタープライズ版やグループ版を導入している会員社もありましたが、インターネット接続の条件により導入を見送っていたポスト プロダクションには喜ばれていると思います」(柴原氏)



Adobe Creative Cloud JPPA特別提供プログラムご導入JPPA会員社
※掲載許諾をいただいた会員社のみ掲載


映像制作の現場でも、新たなカメラフォーマットの登 場、4K映像制作など毎年のように最新技術への対応が求められている。このような最新技術に年に数回のアップデートで応えているAdobe Creative Cloud は、国内のポストプロダクションでも導入が進んでいる。これまでインターネット接続の条件などで導入を留保していたポストプロダクションには、JPPA正 会員社の特典でもあるエンタープライズ版導入も、最新の映像制作に対応するための一つの回答になるだろう。

日本ポストプロダクション協会の出版物
日本ポストプロダクション協会の出版物。映像制作業界において必要とされる2300語 もの技術用語について解説した「ポストプロダクション技術用語集」(左)。収録・編集・MAなど映像制作業界において必要な技術に解説をした「ポストプロ ダクション技術マニュアル」(中央)。映像・音響関連業界の基礎知識を認定試験にした「映像音響処理技術者資格認定試験問題集」(右)

POSTED ON 2014.10.9